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Jackson Browne ジャクソン・ブラウン/OR,USA 2008

しばらくアコースティック・シリーズが続いていたところで6年ぶりのスタジオ作『TIME THE CONQUEROR』を発表した2008年のジャクソン・ブラウン。その現場を伝える超極上ライヴアルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「2008年9月30日ポートランド公演」。その超絶美麗オーディエンス録音です。2008年と言えば、『TIME THE CONQUEROR』だけでなく『SOLO ACOUSTIC, Vol. 2』もリリースされ、4年ぶりに実現した来日公演も思い出深いところ。まずは、そんな当時のスケジュールを振り返り、ショウのポジションを確かめてみましょう。《3月4日『SOLO ACOUSTIC, Vol. 2』発売》 ・3月7日-4月23日:米国#1(10公演)・6月1日:ロサンゼルス公演・9月15日-21日:米国#2a(4公演)《9月23日『TIME THE CONQUEROR』発売》・9月27日-11月2日:米国#2b(13公演)←★ココ★・11月20日-24日:日本(3公演)・11月29日:サンタモニカ公演 ・12月28日:アトランタ公演 これがジャクソン・ブラウンの2008年……と言いますか、その一部。当時の記録は曖昧で、恐らくこれで全公演ではないと思われます。2008年というとつい最近のように感じますが、現在ほどSNSが発達しているわけでもなく、70年代のような掘り起こし活動もない。ちょうど狭間期なのか、厳密なアーカイヴが残されていないアーティストも結構いるのです。ともあれ、秋に『TIME THE CONQUEROR』がリリースされ、来日直前まで全米ツアーを行っていたのは確実。本作のポートランド公演は、アルバム発売直後となる「米国#2b」の3公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作ですが、その最大の魅力は衝撃的なまでのハイクオリティ・サウンド。とにかくド密着で超美麗! 芯に距離感など微塵もなく、ディテールは指が巻き弦をこする微細部まで克明。高音は輪郭もクッキリしたままどこまでも伸び、スカスカになりがちな中音域も手応えたっぷり。重低音がフィーチュアされるショウではないものの、低音もしっかりとリッチでヴァイヴも細やかに腹に響く。さらにバランスも整っていれば、間近なオーディエンス・ノイズもない。それこそ「まるでサウンドボード」……いえ、「まるでオフィシャル作品」。それも発掘盤の類ではなく、歴史的名盤級のサウンドなのです。録音者本人が「1階バルコニーの4列目で録ったよ」と付記しながら公開しているので間違いなく客録なのでしょうが……。と言いつつ、ヘッドフォンで目を閉じ、全霊の集中力で聴き込むとやはりオーディエンス録音に違いない。ただし、これは欠点ではなく美点。ブラウンの歌声から立ち上るうっすらクリアな鳴りが包容力を生みだし、アコギやベースも芯丸出しではない荘厳な響きをたたえている。もちろん、女声コーラスやリズム隊が入ってきても同様。トラック毎にバラで録って作為的にミックスするサウンドボードとは違い、綺麗にセパレートしつつもトータルで均整の取れたナチュラルな一体感が美しい。オフィシャル級オーディエンスと言いますか、“客録だからこその美”の理想像と言いますか……。ともかく、とてつもない絶世の美録音なのです。そんな魂が溶ける美音で描かれるのは、さり気なくキャリアを総括しながらも新作『TIME THE CONQUEROR』をフィーチュアするフルショウ。ここでその内容を整理しておきましょう。 アサイラム時代(7曲)・70年代:Fountain of Sorrow/Doctor, My Eyes/Something Fine(★)/The Pretender/Running on Empty・80年代:Boulevard/Lives In The Balance(★)エレクトラ時代(6曲)・80年代/90年代:The Barricades of Heaven/Everywhere I Go/Culver Moon/ I Am A Patriot・ネイキッド・ライド・ホーム:About My Imagination/For Taking The Trouble(★)TIME THE CONQUEROR(8曲)・時の征者:Time The Conqueror/Off Of Wonderland/Live Nude Cabaret/Giving That Heaven Away/Going Down To Cuba(★)/Just Say Yeah/ The Drums of War/Far From the Arms of Hunger ※注:「★」印はアコースティック・セット。……と、このようになっています。ショウは二部構成(第一部=DISC 1/第二部=DISC 2)となっており、第二部の冒頭にアコースティック・セットを配しつつ、基本はバンド編成。アサイラム/エレクトラ時代は各アルバムから代表曲だけを1-2曲セレクトするスタイルで幅広く押さえ、リリースされた最新作『TIME THE CONQUEROR』からは「The Arms of Night」「Where Were You」以外の全曲を大盤振る舞いしている。アンサンブルにしてもセットにしても『『SOLO ACOUSTIC』シリーズとは対極となるショウなのです。6年ぶりの新作を大盤振る舞いし、現役感たっぷりのステージを繰り広げた2008年のジャクソン・ブラウン。その一部始終を絶世の美音でフル体験できる大傑作です。「良い曲」「良い演奏」双方とも非常に高いレベルにある音楽作品ですが、それ以上に「良い音」の衝撃が凄まじい。オーディエンス録音という文化自体の魅力や可能性まで書き換えかねないライヴアルバム。 Live at Arlene Schnitzer Hall, Portland, OR, USA 30th September 2008 ULTIMATE SOUND Disc 1(70:36) 1. Intro 2. Boulevard 3. Barricades of Heaven 4. Everywhere I Go 5. Fountain of Sorrow 6. Time The Conqueror 7. Off Of Wonderland 8. Live Nude Cabaret 9. Culver Moon 10. Giving That Heaven Away 11. Doctor My Eyes 12. About My Imagination Disc 2(64:06) 1. Intro 2. Something Fine 3. For Taking The Trouble 4. Lives In The Balance 5. Going Down To Cuba 6. Just Say Yeah 7. The Drums of War 8. Far From the Arms of Hunger 9. The Pretender 10. Running On Empty 11. I Am A Patriot Jackson Browne - Vocal, Guitars Mark Goldenberg - guitars Mauricio Lewak - drums Kevin McCormick - bass Jeff Young - keyboards, backing vocals Chavonne Stewart - backing vocals Alethea Mills - backing vocals

Jackson Browne ジャクソン・ブラウン/OR,USA 2008

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