歴史的な一大絶頂期でありながら、満足なサウンドボードひとつ残されなかったロック界の秘境“1984年のVAN HALEN”。ロックファンなら誰もが望む現場をリアル体験できるライヴアルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「1984年8月31日ヴィンタートゥール公演」。伝説的な“MONSTERS OF ROCK TOUR 1984”の一幕を伝える絶品オーディエンス録音です。“MONSTERS OF ROCK TOUR 1984”と言えば、今週は2タイトルが同時リリースとなるだけでなく、名盤『STOCKHOLM 1984』も定番として君臨しております。1984年の活動概要は同時リリースの『MONSTERS OF ROCK 1984』解説に譲るとして、ここでは伝説のフェスツアーの詳細から各タイトルの位置関係を確認しておきましょう。・8月18日『MONSTERS OF ROCK 1984』・8月25日『STOCKHOLM 1984』・8月31日:ヴィンタートゥール ←★本作★・9月1日:カールスルーエ・9月2日:ニュルンベルク・9月5日:ローマ・9月7日:トリノ 以上、全7公演。これが“MONSTERS OF ROCK TOUR 1984”の全体像なわけですが、本作のヴィンタートゥール公演はその3公演目。『MONSTERS OF ROCK 1984』→『STOCKHOLM 1984』→本作と、3連続公演を一歩ずつフル体験していくライヴアルバム・シリーズなのです。そんなショウで収録された本作は、サウンドも実に素晴らしい。あくまでもヴィンテージ・オーディエンスではありますが、マスター鮮度は絶品。ダビング劣化による曇りや歪みがまったく感じられず、輪郭のキリッとした演奏音がクリアな空気感の中で際立ち、そのまま真っ直ぐ手元に届く。しかも現場となった“シュターディオン・シュッツェンヴィーゼ”はオープンスペースのサッカー・スタジアムであり、もちろん反響もゼロ。PAから吐き出された出音がそっくり36年の時空を飛び越えてくるような瑞々しさなのです。しかも、本作はそんな名録音の可能性を追求した最高峰盤。実のところ、2作『MONSTERS OF ROCK 1984』『STOCKHOLM 1984』に比べると、スイス録音の原音は若干ドンシャリ気味でもありました。そこで本作は精緻にマスタリング。ピッチを正確にするだけでなく、各音域のバランスや鳴りも整理。アンサンブル全体が整って聞こえるように磨き上げました。そのフレッシュ・サウンドで描かれるのは、ロックファンなら誰もが憧れる“MONSTERS OF ROCK TOUR 1984”の現場。セットは他国と同じではありますが、一応ここでも整理しておきましょう。・炎の導火線:On Fire(★)/Runnin' With The Devil/You Really Got Me・暗黒の掟:Everybody Wants Some!!・戒厳令:Unchained・ダイヴァーダウン:Little Guitars/(Oh) Pretty Woman ・1984:Hot For Teacher/House Of Pain(★)/I'll Wait/Jump/Panama ※注:「★」印は再編時代には演奏していない曲。……と、このようになっています。この決定的なセットを大名盤『1984』を創り上げたばかりのバンド・ポテンシャルでぶちまけるショウは、まさにパラダイス。これ以上は考えられない素晴らしさです。そのパフォーマンスだけでも胸いっぱいなのですが、本作はさらに臨場感まで特別感が漂っている。実は、このショウはVAN HALENにとって初めてのスイス公演でもあったのです。“MONSTERS OF ROCK TOUR”でもスイス公演は他国と違って出演バンドが少なく、AC/DC、VAN HALEN、MOTLEY CRUEの3組だけでした。もちろん、ヘッドライナーはAC/DCだったわけですが、彼らはこれまで何度もスイス公演を行っており、そこまで特別でもなかった。つまり、観客にとって一番の注目バンドは初めて観るVAN HALEN。本作のサウンドは、あくまでも骨太な演奏音が主役の座を譲らないのですが、同時にその期待と興奮が吹き出す現場の空気感もリアルに感じられるのです。空前の成功を満喫し、アメリカンHRの至高とも言うべきステージを繰り広げていた1984年のVAN HALEN。スイス公演は、極めつけのショウに初体験の衝撃感まで上乗せされていました。本作は、そんな二つとない現場にリアル・サウンドで立ち会い、極上体験ができるドキュメント・アルバムでもあるのです。1984年の感動と驚きと興奮がスピーカーからダイレクトに吹き出してくるライヴアルバム。 Schutzenwiese, Winterthur, Switzerland 31st August 1984 TRULY PERFECT SOUND (71:00) 1. Intro. 2. Unchained 3. Hot For Teacher 4. Drum Solo 5. On Fire 6. Runnin' With The Devil 7. MC 8. Little Guitars 9. House Of Pain 10. Bass Solo 11. I'll Wait 12. Everybody Wants Some!! 13. (Oh) Pretty Woman 14. 1984 15. Jump 16. Guitar Solo 17. Panama 18. You Really Got Me David Lee Roth - Lead Vocals Eddie Van Halen - Guitars, Vocals Michael Anthony - Bass, Vocals Alex Van Halen - Drums