エリック・クラプトンが珍しくブルース・ギタリストとしての自身のキャリアを逸脱し、ジャズ・フュージョンに接近したといえば、1997年夏場の2週間、ヨーロッパ・ジャズ・フェスティバルツアー限定で結成されたクロスオーバー・ユニット、レジェンズでした。メンバーには、クラプトンをサポートあるいは共演した実績のあるスティーヴ・ガッド、デヴィッド・サンボーン、ジョー・サンプルらがいたため、彼らとの親交からクラプトンの冒険心に火が点いたプロジェクトでした。さらにこのユニットのキーマンとなった凄腕ベーシスト、マーカス・ミラーとの交友も新たに生まれ、クラプトンはこの活動を心から楽しんだのでした。2週間限定とは言え、当時の音楽メディアから大注目されたことで、後に初日公演となったモントルー・ジャズ・フェスティバルでのステージはオフィシャル映像作品としてリリースされましたし、ヨーロッパ各国ではサウンドボードを含む良質なマスターから全12公演中8公演の音源がブートレッグとしてリリースされました。その中ではオーディエンス録音の最高峰と称された7月5日のフランス、ヴィエンヌ公演のステレオ・オーディエンスの大元のマスターを今回、当店はイギリス在住の重鎮テーパーから入手したのです!この日のオーディエンス・タイトルは存在しますが、そのマスターは当時、カセットテープに収録されたマスターでした。それに対し、今回、当店が入手しましたマスターは、元マスターからダイレクトにコピーしたDATフォーマットでした。既発盤をお持ちの方は是非聴き比べてみてください。オープニングのFull Houseのベースとドラムのサウンドが既発盤とはまったく違います。ヒスノイズによる篭りのため、ベースとドラムの音に聞こえないアンナチュラルな既発盤に比べ、本盤はこれがまさにマーカス・ミラーのチョッパー、ガッドのスネアだ、という自然なサウンドを実現しています。これまでもブートレッグ評価サイトGeetarzで6ポイント中5を獲得してきた既発盤をあっさり上回った本盤は、当然満点の「6」ポイントがつくクオリティと断言できます。ヒスノイズのまったくないこのクリアな音質で聴くこの日のパフォーマンスは、初日のモントルーで聴かれたぎこちなさが取れ、リラックスした中にも各メンバーが火を噴くような凄まじいプレイが収められています。それはモントルーではミストーンが散見したクラプトンに顕著で、フュージョン・ナンバーをペンタトニック・スケールで見事に弾き切る彼の凄さを実感させるものです。5人のスーパー・ミュージシャンが己のスキルの限りを尽くしてぶつかり合い、しかしトータルとして見事な調和を見せる一期一会のステージです。今は亡きジョー・サンプルのリリカルなピアノプレイにも注目です。全公演、セットリストは変わりませんでしたが、サウンドボード・レコーディングとはまた違う、オーディエンスの熱狂具合も生々しく捉えられた本盤でこのスーパー・ユニットの実力をご体感ください。 Live at Theatre Romain, Vienne, France 5th July 1997 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1 (57:31) 1. Introduction 2. Full House 3. Marcus #1 4. Ruthie 5. Snakes 6. Going Down Slow 7. Peeper 8. Suggestions Disc 2 (53:27) 1. Third Degree 2. 1st Song Tango 3. Put It Where You Want 4. Member Introduction 5. Jerry Roll 6. In A Sentimental Mood 7. Layla 8. Everyday I have The Blues Eric Clapton - guitar / vocals David Sanborn - saxophone Joe Sample - piano / keyboards Marcus Miller - bass / bass clarinet Steve Gadd - drums