『DIVER DOWN』を全米3位に送り込み、一段高いレベルへ飛躍を遂げた1982年のVAN HALEN。その知られざる2公演を伝えてくれる秘蔵ライヴセット4枚組が登場です。そんな本作に吹き込まれているのは、同会場の2連続公演。「1982年8月13日+14日デトロイト公演」の新発掘オーディエンス録音です。この両日ともはこれまで一切の記録が知られていなかったのですが、最近になって同一録音家による大元マスターで初登場しました。まずは、当時のツアー・スケジュールからショウのポジションを確かめてみましょう。 1982年《4月14日『DIVER DOWN』発売》・7月14日-8月21日:北米#1(26公演) ←★ココ★ ・9月1日-25日:北米#2(17公演)・10月7日-12月11日:北米#3(38公演)1983年・1月16日-2月12日:南米(15公演)・5月29日:USフェスティバル出演 これが“HIDE YOUR SHEEP Tour 1982/1983”の全体像。1983年編はVAN HALEN史上唯一となる南米ツアーや歴史的な“USフェスティバル”が行われましたが、実質的なツアー本編はあくまで1982年ですべて北米。本作のデトロイト公演は、その前半期となる「北米#1」の19公演目・20公演目にあたるコンサートでした。前述の通り、これまで聴く事のできなかった2公演なのですが、それを伝えるサウンドはエッジもシャープなオーディエンス・サウンド。2公演とも同じ録音家によるマスターだけにサウンドも酷似。あくまでヴィンテージ録音の範疇で距離感もそれなりではあるものの、それを相殺するほどにディテールが鮮明。大元マスターだからこその鮮度がモノを言い、ダビングによる歪みのない鮮やかさに胸がすく。盛大な喝采もたっぷり吸い込みつつ、その上をレーザー光線のようにキリッとした芯が手元まで飛び込んでくるのです。「喝采も吸い込んでいる」と言うと絶叫まみれのように思われるかも知れませんが、そうではありません。ここが本作の旨みでもあるのですが、凄まじい大熱狂が遠く地平線まで伸びていくようなスケール感を持っている。これが本当に凄い。普通、オーディエンス録音であっても歓声が沸くのは曲間であって、演奏中は静まり返るもの。ところが、本作はずーっと熱狂が止まない。もちろん、演奏中は多少下がりはするものの消えずに湧き続け、まるでわざわざ大歓声をオーバーダブしたままミックスで下げ損ねたAM放送かのよう。そして、そんな大歓声をやすやすと切り裂き、突っ切る演奏音やデイヴのヴォーカル。いかに当時のVAN HALENの人気が凄まじかったのか、それを肌感覚で感じつつ、生演奏もしっかりと楽しめる録音なのです。しかも、本作はそんな原音をさらにブラッシュアップ。実のところ、さすがに原音ではキツすぎた高音を緩和して全体バランスを調整。2公演を通してじっくり浸れるサウンドを実現しました。そんなシャープ・サウンドで描かれるのは、オリジナルVHの旨みを濃縮したフルショウ。“HIDE YOUR SHEEP Tour”と言えば、何はさておきUSフェスティバルのプロショットが有名ですので、比較しながらセットを整理しておきましょう。 ・炎の導火線:Runnin' With The Devil/Jamies Cryin'/Ice Cream Man/Eruption/Ain't Talkin' 'Bout Love/You Really Got Me・伝説の爆撃機:Somebody Dance The Night Away/Get Me A Doctor/D.O.A.(★)/Bottoms Up!・暗黒の掟:Romeo Delight/Everybody Wants Some!! ・戒厳令:Unchained・ダイヴァーダウン:Where Have All Those Good Times Gone!(★)/Hang 'Em High(★)/Little Guitars/Cathedral/Secrets/Intruder/Oh! Pretty Women/The Full Bug/Happy Trails ※注:「★」印は“USフェスティバル1983”のプロショットでも聴けない曲。……と、このようになっています。2公演ともセットは同一で、USフェスティバルで聴けなかった3曲は全キャリア視点でもレア。「Hang 'Em High」は再結成時代に2回だけ演奏されましたが、「Where Have All Those Good Times Gone!」はこのツアーだけの限定曲ですし、「D.O.A.」にしても限られた会場でだけ演奏されたナンバー。『DIVER DOWN』自体もカラフルな作風でしたが、その多彩さで一層エンターテインメント色が鮮やかになったフルショウを楽しめるのです。それにしても凄い人気、凄まじい勢い。数々のスタジオ名盤やチャート記録で怪物ぶりを知っているつもりでしたが、最前線たるショウ現場の熱量は想像を超えていました。本作は、そんな熱気と全盛の生演奏を2公演丸ごと現場体験できるライヴアルバム……いや、ドキュメント・アルバムです。これまで一切の記録が知られていなかった2公演「1982年8月13日+14日デトロイト公演」の新発掘オーディエンス録音セット。大元マスターだけにダビングによる歪みのない鮮やかさに素晴らしく、レーザー光線のようにキリッとした芯が手元まで飛び込んでくる。そして、ショウ全体をくるむ熱狂が凄い。耳障りな間近声はないのですが、遠く巨大なスペクタクルが曲間だろうが演奏中だろうが止まない。いかに当時のVAN HALENの人気が凄まじかったのかを肌感覚で感じつつ、生演奏もしっかり2公演丸ごと楽しめるビッグ・ドキュメントです。Cobo Hall, Detroit, MI, USA 13th & 14th August 1982 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND Live at Cobo Hall, Detroit, MI, USA 13th August 1982 Disc 1 (41:28) 1. Romeo Delight 2. Unchained 3. Drum Solo 4. The Full Bug 5. Runnin' With the Devil 6. Jamie's Cryin' 7. Little Guitars 8. Where Have All the Good Times Gone 9. Bass Solo 10. Hang Em High Disc 2 (77:39) 1. Cathedral 2. Secrets 3. Everybody Wants Some 4. Dance the Night Away 5. Somebody Get Me a Doctor 6. Ice Cream Man 7. Intruder 8. Oh, Pretty Woman 9. Guitar Solo 10. Dead or Alive 11. Ain't Talkin 'bout Love 12. Bottoms Up 13. You Really Got Me w Happy Trails Live at Cobo Hall, Detroit, MI, USA 14th August 1982 Disc 3 (45:09) 1. Romeo Delight 2. Unchained 3. Drum Solo 4. The Full Bug 5. Runnin' With the Devil 6. Jamie's Cryin' 7. Little Guitars 8. Where Have All the Good Times Gone 9. Bass Solo 10. Hang Em High 11. Cathedral 12. Secrets Disc 4 (66:12) 1. Everybody Wants Some 2. Dance the Night Away 3. Somebody Get Me a Doctor 4. Ice Cream Man 5. Intruder 6. Oh, Pretty Woman 7. Guitar Solo 8. Dead or Alive 9. Ain't Talkin 'bout Love 10. Bottoms Up 11. You Really Got Me w Happy Trails David Lee Roth - Lead Vocals Eddie Van Halen - Guitars, Vocals Michael Anthony - Bass, VocalsAlex Van Halen - Drums