エリック・クラプトンの初公開マスターからの秘蔵ライブ音源のリリースです!1979年6月2日、アメリカ、オハイオ州クリーヴランドのリッチフィールド・コロシアムで行われたコンサートの、ネット上に上がった非常に良好なステレオ・オーディエンスソースがマスターで、過去にリリースされていた2種類の既発盤をはるかに上回る高音質で収録されている上に、それら既発盤には未収録だったCocaine、Layla、Further On Up The Roadといった終盤のハイライト曲までが収録されたコンプリート版となっているのが大きなセールスポイントです(因みに既発盤の一つは「サウンドボード録音」と表記されていますが、実際には「オーディエンス録音」です)。元のネットマスターでは、 If I Don't Be There By Morning の4:18時点にテープスリップがありましたが、これは定評をいただく当店のプロエンジニアにより違和感なく修正しました。また、Disc1のBadgeの5:00辺りまで右マイクが不調だったようで、ノイズと音落ちが頻発していましたが、こうした欠点も極力緩和しました。ネットにアップした人物がアピールしているように非常にクリアな音質である上に、ネットマスターそのままではなく、さらにグレードアップを図ったのが本盤というわけです。 【6年間連れ添ったタルサトップスとの最後のツアーを捉えた思い出深い貴重音源】それではこの公演が1979年にどのような意味合いを持っていたかを時系列で振り返ってみましょう。・1979年3月4日~17日:アイルランド・ツアー・1979年3月28日~6月24日:長期全米ツアー ←★ココ★・ 1979年9月7日:イギリス、サリー州クランレーでオール・ブリティッシュ・バンドでの初めてのウォームアップギグ・1979年9月30日:イギリス、スタッドフォードシャー、ハンレーで二度目のウォームアップギグ ・1979年10月6日~29日:東欧、中東ツアー・1979年11月16日~12月6日:極東、ジャパン・ツアー この年にはアルバムのリリースはありませんでした。その理由は、前年に「BACKLESS」がリリースされていたこと、そして当該アルバムをレコーディングしたバンド(タルサ・トップス)でのプロモーション・ツアーを行なう必要があったからです。ところが、です。3月から6月までタルサ・トップスを率いて行なったツアーが終わると、クラプトンは何とアルバート・リーだけを残し、6年間も一緒にやってきた他のメンバー全員を解雇してしまったのです。そして7月、8月に「BACKLESS」のプロデューサー、グリン・ジョンズの取り計らいにより、イギリスのセッションマンとオーディション的セッションを行い、そのフィーリングを気に入ったクラプトンは、そのミュージシャンをバンドメンバーに採用しました。そうしてここに全員がイギリス人という、69年のブラインド・フェイス以来の布陣が誕生したのです。その後、このオールブリティッシュバンドでツアーに出たクラプトンが、その行程で行なわれたジャパン・ツアーから名ライブ盤「JUST ONE NIGHT」を生み出したことはファンならずともご存知でしょう。となると、それ以前のタルサトップスでの同年ツアーのライヴ盤が出ることなど、有り得ない話でした。タルサトップスは、74年のカムバック以来クラプトンを支えてきたアメリカ人のバンドです。当時流行語にもなった「レイドバック」を体現するおおらかなグルーヴ感とその一方でタイトネスとを両立した変幻自在のバンドでした。ここでのセットリストのナンバーは「JUST ONE NIGHT」とほぼ重複していますが、演奏のグルーヴがまったく違います。タイトにこじんまりとまとまったブリティッシュバンドも良いですが、本盤のタルサトップスの演奏を聴くと、決してダラダラなどしていない、スケールの大きなイメージを抱かせます。これを聴くと、「別に解雇などせずともよかったのでは?」とさえ思えるほどです。当時のクラプトンは、このアメリカ人特有のルーズなノリにマンネリズムを感じ、メンバーを解雇したわけですが、実はそれこそがクラプトンが目指したアメリカンミュージックにぴったりだったことは否定できません。何せリズムセクションは、長いクラプトンのキャリアでも最もクラプトンを理解していたと言ってよいカール・レイドルとジェイミー・オールデイカーだったのですから。タルサトップスとのツアーの最終行程に当たった6月のこの公演は、タルサトップスの実力を改めて知る上でも貴重な音源であり、クラプトンのキャリア上の重要な節目となったものと言うことができます。 【BACKLESSのプロモーションツアーとして最適の内容】前述しましたように、この年はアルバム「BACKLESS」のプロモーションに充てられました。その意味では、翌年リリースの「JUST ONE NIGHT」よりも当該アルバムの楽曲を多く含んでいた上に、何よりも当該アルバムをレコーディングしたバンドでのツアーであったことで、よりこのツアーの性格を的確に表現していたと言えます。当該アルバムからは4曲がセットインしていましたが、中でもWatch Out For Lucyはこの時しかプレイしていない激レアナンバーとして一際聴く価値のあるものです。しかもこれぞグルーヴィー、と表現できるノリノリのプレイが聴かれます。さらにこの時期には珍しく「461」のMotherless Childrenをプレイしています。74年のカムバックツアーでもプレイしなかったこのナンバーをこのタイミングでプレイしたというのも貴重です。Tulsa Timeからこの曲への流れというのは、85年ツアーの布石とも感じ取れます。他曲も是非「JUST ONE NIGHT」と聴き比べてみてください。「JUST ONE NIGHT」もブルース中心のセットでしたが、本盤のセットもブルースナンバーが中心となっています。10分を越えるEarly In The Morning、8分を越えるCrossroads、15分を越えるDouble Trouble、いずれも聴きごたえたっぷりで、クラプトンのプレイが冴え渡っています。あなたは「JUST ONE NIGHT」か本盤か、どちらのノリを好まれるでしょうか?「BACKLESS」は渋~いアルバムでしたが、ここで聴かれる収録ナンバーのパフォーマンスも、さすがタルサトップスと唸らせるような懐の深さを感じさせます。メンバー入れ替えをクラプトンに決意させたツアーでありながら、実のところタルサトップスが最後の輝きを見せたツアーと断言できる貴重音源を収録したのが本盤です。余談ながらこの日の面白いところは、Laylaが既に同年のジャパンツアー時のように、後奏の演奏中にクラプトンが挨拶を述べて一足先にステージを去るというエンディングアレンジになっていたことです(どうもこのエンディングは、「バングラデシュ・コンサート」時のジョージ・ハリスンを参考にしたと思えてならないのですが)。さらに面白い点は、Double Troubleの曲前MCでクラプトンがこの演奏を自分自身に捧げたいとコメントしていることです。「いろいろあったけど、こうして乗り切ってきた自分に拍手を送ってやりたいんだ。」と言ってオーディエンスの喝采を受けています。有森裕子ならぬ、自分を褒めてやりたいというわけです。クラプトンがこんな発言をするのは非常に珍しいことです。さらにはWonderful Tonightをアルバート・リーの奥さんに捧げるとも言っています。この日はクラプトンなりにいろいろ思うところがあったのでしょう。そういう意味でも聴く価値のある音源だと言えるかもしれません。本盤は、クラプトンのキャリア上重要な節目に位置し、その前後の変化を明らかにするものです。タルサトップスが有終の美を飾ったこの貴重な時期の初公開高音質マスター、しかも当店だけのさらなるグレードアップ・バージョンが本盤です。 Richfield Coliseum, Cleveland, OH, USA 2nd June 1979 TRULY PERFECT SOUND Disc 1 (58:01) 1. Intro 2. Badge 3. If I Don't Be There By Morning 4. Worried Life Blues 5. Tulsa Time 6. Motherless Children 7. Early In The Morning 8. Crossroads 9. Setting Me Up 10. Watch Out For Lucy Disc 2 (49:04) 1. Double Trouble 2. Lay Down Sally 3. Wonderful Tonight 4. Cocaine 5. Layla 6. Further On Up The Road Eric Clapton - guitar, vocals Albert Lee - guitar, vocals Dick Sims - keyboards Carl Radle - bass Jamie Oldaker - drums