YES来日史でも録音の穴場となっている1998年の“OPEN YOUR EYES Tour”。その現場を伝える初登場オリジナル録音が登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1998年10月9日:渋谷公会堂」公演。その絶品オーディエンス録音です。長い洋楽史でもYESは常に高い人気を誇ってきたのですが、1998年のジャパン・ツアーはどういうわけか(業界が過渡期だった!?)録音はほとんど出回りませんでした。良い機会ですので、そんな秘境来日のスケジュールから初めてみましょう。・10月8日:渋谷公会堂・10月9日:渋谷公会堂 ←★本作★・10月11日:川口LILIA・10月13日:名古屋市公会堂・10月14日:大阪厚生年金会館 以上、全5公演。関東圏では3公演が実施され、本作はその中日にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作は、鳴りも端正な美録音。2階席から捉えられているためにサウンドボード的なド密着感ではないのですが、空気感のド真ん中を貫いてくる芯は力強く、それに伴って細部もしっかりと伝わってくる。ホール鳴りも吸い込みつつ、それがディテールを隠さず、厚みのダイナミズムとシンフォニックな降り注ぎ感を添加しているのです。この美しさの要因は、マスター鮮度でしょう。鳴りを含む録音の場合、ダビングを重ねる事で簡単にディテールが潰れてしまいますし、芯の伸びにも揺らぎが生まれて汚くなってしまう。しかし、本作は録音家本人から蔵出しされた秘蔵のオリジナル・マスターでして、もちろんダビング痕ゼロ。歪みのない真っ直ぐな伸びはレーザー光線の光芒のようにキリッとしており、複雑な演奏が重なり合っても細部までキッチリ楽しめる。もしこの録音が23年前に発掘されていたら、1998年のジャパン・ツアーを代表する名作として、広く愛されてきたことでしょう。そんな美音で描かれるのは「90年代の最強ラインナップ」とも言われたイゴール・コロツェフ時代のフルショウ。イゴール時代のライヴと言えば、公式作『HOUSE OF YES』が有名ですが、本作のセットは似ても似つかない。ここで比較しながらセットを整理してみましょう。70年代クラシックス・サードアルバム:Yours Is No Disgrace(*)/I’ve Seen All Good People(*)・こわれもの:Heart Of The Sunrise/Long Distance Runaround/Roundabout(*)・危機:Siberian Khatru/And You And I(*)/Close To The Edge・究極:Wonderous Stories 80年代以降・ロンリー・ハート:Owner Of A Lonely Heart(*)・ビッグ・ジェネレイター:Rhythm Of Love・オープン・ユア・アイズ:Open Your Eyesソロタイム・ハウ:Arada/Mood For A Day/Sketches In The Sun/Clap・その他:赤とんぼ/Whitefish ※注:「*」印は公式ライヴアルバム『HOUSE OF YES: LIVE FROM HOUSE OF BLUES』と被っている曲。……と、このようになっています。通常でしたら『HOUSE OF YES』で聴けない注目曲に印を付けるところですが、今回は逆。何しろ、被っているのは超ド定番の5曲だけですので、印だらけになってしまうのです。つまり、それくらい公式では聴けないイゴール版のYESクラシックスが大量に味わえる。特に『危機』に至っては収録3曲を全部披露しており、抜き出して「イゴール版の危機」としても楽しめてしまうのです。また、クラシックスだけでなく各メンバーのソロ・タイムも充実。ハウのアコギ・ソロでは『NOT NECESSARILY ACOUSTIC』の「Arada」「Sketches In The Sun」が取り上げられていますし、ジョンの童謡シリーズ「赤とんぼ」も貴重です。この後、90年代の最高傑作とも言われる名作『THE LADDER』を創り上げることになるYES。90年代も激しい離合集散を繰り返していましたが、その中でもイゴール時代は確実にバンド・ポテンシャルを高めていた時期でした。本作は、そんなラインナップ唯一の来日公演を極上サウンドで体験できる貴重なライヴアルバムです。「1998年10月9日:渋谷公会堂」公演の絶品オーディエンス録音。鳴りも端正なオリジナル録音で、空気感のド真ん中を貫いてくる芯は力強く、それに伴って細部もしっかりと伝わってくる。ホール鳴りもきめ細かく、厚みのダイナミズムとシンフォニックな降り注ぎ感を添加しています。「90年代の最強ラインナップ」と言われたイゴール時代でありつつ、公式作『HOUSE OF YES』とのダブりは5曲のみ。ジョンの「赤とんぼ」も含め、1998年だからこその貴重アレンジのYESソングスがたっぷり楽しめます。 Live at Shibuya Kokaido, Tokyo, Japan 9th October 1998 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)*New Source Disc 1(76:45) 1. Firebird Suite 2 .Siberian Khatru 3. Rhythm Of Love 4. Yours Is No Disgrace 5. Open Your Eyes 6. And You And I 7. Heart Of The Sunrise 8. Arada 9. Mood For A Day 10. Sketches In The Sun 11. Clap Disc 2(67:21) 1. Akatombo 2. Wonderous Stories 3. Khoroshev Solo 4. Long Distance Runaround 5. Whitefish 6. Alan White Solo 7. Owner Of A Lonely Heart 8. Close To The Edge 9. I've Seen All Good People 10. Roundabout Jon Anderson - Vocal Steve Howe - Guitar Chris Squire - Bass Alan White - Drums Billy Sherwood - Guitar Igor Khoroshev - Keyboards