ジョン・サイクスを迎えつつ、ツインギターのぶ厚さも両立していた1984年初頭のWHITESNAKE。あの『SLIDE IT IN(US Mix)』の6人による最高傑作がアップグレード。その最高傑作に刻まれているのは「1984年4月4日ノッティンガム公演」。「4・4・4」の日に記録された超絶級オーディエンス録音です。本稿に目を留められた方ならご存知とは思いますが、“SLIDE IT IN Tour”はツアー中に「6人→5人→4人」とメンバーが減っていった事でも有名。それだけに時期が最重要でもありますので、まずは基本のおさらいから始めましょう……(ご記憶の方は読み飛ばしてください)。 【貴重な「サイクス入りの6人組」】サイクスとニール・マーレイを加入させ、1983年の12月に新ラインナップを固めたWHITESNAKEは、1984年1月に旧メンツによる『SLIDE IT IN(UK MIX)』をリリース。それと同時にサイクス&マーレイを米国に送り込み、「SLIDE IT IN(US REMIX)」を製作します。わずか10日間(!)の突貫スケジュールに加え、リミックスを担当したキース・オルセンの急病もあってサイクスの全面差し替えは実現しませんでした。他のメンバーは英国に残っており、ドラムやキーボードでも“ここの音が欲しい”というときには、シンセサイザー(一説にはビル・クオモ)で代用されたようです。リミックス作業の後、2月半ばからツアーが開始しました。その“SLIDE IT IN Tour”は、1本のワールド・ツアーとは言え、その行程には以下の3ラインナップがあります。ラインナップA:メル・ギャレイ入り(6人編成)・1984年2月17日ー4月5日(28公演) ←★ココ★ ラインナップB:ギャレイが怪我で脱落(5人編成)・1984年4月8日ー16日(6公演)ラインナップC:ジョン・ロードも離脱(4人編成)・1984年6月30日ー1985年1月19日(74公演) 【伝説の超・録音を最新トランスファー】これが“SLIDE IT IN Tour”のざっくり概要。公演数をご覧の通りメインは「C:4人編成」で、日本のSUPER ROCK ’84やROCK IN RIO ’85、スポケーン公演など、サウンドボード/プロショットも潤沢に残されました。その一方で稀少なのは「A:6人編成」「B:5人編成」。本作は、そのうちメル・ギャレイも在籍していた「A:6人編成」時代の最高傑作となるライヴアルバムなのです。もうピンと来ている方もいらっしゃると思いますが、本作は以前から知られる伝統録音の最高峰バージョン。かつて『SHERWOOD LEGEND』として愛されてきた超名録音のブラッシュアップ盤なのです。この録音は、まさに「最高傑作」。何しろ、「音質・完全収録・演奏内容」の三要素が比類ない高みで揃っていたのです。まず、何より「音質」。実のところ、この超名録音を手掛けたのは、あの世界的名手“Crazy S.”氏。その大元カセットから再デジタル化された銘品なのです。しかも、その名手コレクションでもズバ抜けてハイ・クオリティ。距離のない芯のダイレクト感、輪郭の微細部まで克明なディテールの鮮やかさ、6人が全力で音を重ねても混じり合わない綺麗なセパレート感……従来盤でも「まるでサウンドボード」「白蛇全史でもNo.1の名録音」と絶賛されてきたわけですが、本作は最新機材による再トランスレートにより、さらにディテール・アップしている。 【公式超えしている完全収録&大名演】現在では「A:6人編成」の最高峰は『SLIDE IT IN』のアルティメイト・エディションで公式化されたグラスゴウ公演サウンドボードと言われておりますが、本作はオーディエンス録音にも関わらず、半歩も譲っていない。いや、ややノイジーだった公式サウンドボードよりも艶やかで、音圧稼ぎもしていないナチュラル感は本作の方が遙かに上なのです。そんなサウンド以上に大胆な公式超えを果たしているのが「完全収録」と「名演」です。公式のグラスゴウ・サウンドボードもかなりの長尺化が図られましたが、それでも(CD1枚に収めるためなのか)コージーのドラム・ソロが丸ごとカットされていました。もちろん、本作では「Mars」を流しながら叩きまくるドラマティック・ソロも完璧に楽しめるのです。そして、極めつけなのが名演ぶり。この辺の事情をご説明するため、ここで6人編成の詳しい日程にズームしてみましょう。《1月30日『SLIDE IT IN(UK Mix)』発売》 ・2月17日ー3月20日:欧州#1(24公演)←※公式《3月21日:カヴァデールのノドに不調》・4月1日ー5日:欧州#2(4公演) ←★ココ★《4月7日:メル・ギャレイ負傷》これが「A:6人編成」による全28公演。一般的にひと続きのように思われていますが、詳しく見ると2つに分かれている。ツアーは普通に始まったのですが、約1ヶ月ほどでカヴァデールのノドに異常が発生。それほど深刻でもなかったようですが、大事を取って10日ほど休養し、「欧州#2」を再開したのです。公式のグラスゴウ公演は「欧州#1」でも序盤の11公演目でしたが、評価が高いのは「欧州#2」の方。20公演以上こなしていることで新ラインナップのアンサンブルがこなれてきており、意図せず休暇が入ったことでコンディションもバツグン。懸念されたカヴァデールのノドも完璧に復調しており、その喜びがテンションに転化した円津園を聴かせてくれるのです。上記の通り「再開してからメル離脱まで」はたった4公演しかないわけですが、本作のノッティンガム公演はその3公演目。まさに奇跡のショウで奇跡の録音が実現していたのです。公式によって長尺化されたグラスゴウ公演サウンドボードの登場をもって王座を追われたかと思われたノッティンガム録音。しかし、実際にはノッティンガム録音こそがオフィシャルでも届かない高みにある事が証明されただけでした。そんな伝説の超名録音を現代技術の粋を凝らして丁寧に再デジタル化した銘品中の銘品です。6人編成に限らず、サイクス時代で本作より音の良いオーディエンス録音は存在しないでしょう。それほどの高みにある1本。サイクス&ギャレイ時代の最高傑作。「1984年4月4日ノッティンガム公演」の超絶級オーディエンス録音です。世界的名手Crazy S.氏の伝説録音で、大元カセットから最新技術でトランスファーした銘品中の銘品。距離のない芯のダイレクト感、輪郭の微細部まで克明なディテールの鮮やかさ、6人が全力で音を重ねても混じり合わない綺麗なセパレート感……従来盤でも「まるでサウンドボード」「白蛇全史でもNo.1の名録音」と絶賛されてきたわけですが、さらにディテール・アップしている。グラスゴウ公演の公式サウンドボードでもカットされていたコージーのドラムソロも収録し、貴重なサイクス&ギャレイ時代を極上&完全体験できます。 Royal Centre, Nottingham, UK 4th April 1984 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND(from Original Masters)*Upgrade Disc 1 (45:51) 1. Intro. 2. Gambler 3. Guilty Of Love 4. Ready An' Willing 5. Love Ain't No Stranger 6. Here I Go Again 7. Slow An' Easy 8. Crying In The Rain 9. Blindman / Soldier Of Fortune Disc 2 (44:59) 1. Member Introduction 2. Keyboard Solo 3. Drum Solo feat. Mars 4. Ain't No Love In The Heart Of The City 5. Fool For Your Loving 6. Need Your Love So Bad/Thank You 7. Slide It In 8. Don't Break My Heart Again 9. We Wish You Well David Coverdale - Vocal John Sykes - Guitar Mel Galley - Guitar Jon Lord - Keyboards Neil Murray - Bass Cozy Powell - Drums