ここ数年、ジョニ・ミッチェルのライブ音源の発掘が続いていますが、それらは1983年の来日公演「TOKYO 1983 1ST NIGHT」に「BUDOKAN 1983」、そしてジャコ・パストリアスやパット・メセニーがバックを務めたマイク・ミラードによる極上録音「GREEK THEATRE 1979: MIKE MILLARD FIRST GENERATION TAPES」など、80年代前半辺りの音源に集中している感がありました。確かにそれらは素晴らしいのだけれど、もっとビンテージな時期のジョニのステージも発掘してもらえないだろうか…というマニアからの声、当然だと思います。そんな声にお応えすべく今回リリースされるのが1976年のナッソー・コロシアム。それはアルバム「夏草の誘い」を引っ提げて行われたツアーの一環であり、1974年のツアーにも参加していたギタリストのロベン・フォードを中心としたジャズ畑のミュージシャンを中心に結成されたバンドを伴っていました。この年の秋にはジャコパスとの出会いによってジャズ路線さらに加速するジョニでしたが、76年ツアーに関しては従来のフォーク寄りなサウンドも残っており、いい意味での過度期ステージと呼べるかもしれません。そんな貴重な時期のツアーを捉えた今回の音源ですが、これぞ理想的なビンテージ・オーディエンス。モノラル録音ですが演奏はかなりオンな音像で捉えられていて非常に聞きやすい。おまけにネット上に公開される前でしっかりとピッチがアジャストされており、聞きやすさがさらに増している。実際、今回のリリースに際しても手を加える必要はありませんでした。それにジョニというアーティストの性質上、ナッソー・コロシアムというアリーナでも静かな演奏になるとちゃんと周囲が大人しくなってくれるのがまた聞きやすい。何より魅力的なのは、この時期ならではのジャズ色を漂わせつつも、それでいて従来のジョニの音楽性をリスペクトさせたバンドのサウンド。先のフォードを中心としたメンバーによる控えめなバッキングは好感が持てます。それ以上に面白いのが、既に次作「逃避行」、それどころか次々回作「ドンファンのじゃじゃ馬娘」に収録されることになる新曲までステージ・レパートリーに加えていた攻めの姿勢。そのセットリストを眺めるだけでも当時のジョニの創作意欲が頂点に達していたことを物語っています。よって後に彼女のクラシックの一つとなる「Coyote」もここではリリース前、オーディエンスの反応が淡白なのがむしろ新鮮。そしてジャズ寄りなサウンドを導入しつつも「Raised On Robbery」を皮切りとしたアンコール前の二曲になると一気にロック寄りなサウンドとなるのがこれまたこのツアーらしいところ。本来であれば二か月後に初来日公演が実現していたはずも、ジョニが急性肺炎を患った(寒い時期にアメリカを回ったからでしょうか)せいで実現しなかったという時期でもあった。よって幻に終わった来日公演を夢想させてくれる貴重音源でもある。久々に登場したジョニ1970年代半ばのライブ音源。この時期ならではの魅力満載なステージを非常に良好なビンテージ・オーディエンスにて心ゆくまでお楽しみください!リリース当時は今ひとつ評価が低かったものの、現在ではファンの間では、名盤として人気の高い1975年「The Hissing of Summer Lawns/夏草の誘い」発表直後の1976年北米ツアー終盤、2月20日のニューヨーク州ユニオンデールはナッソー・コロシアム公演を高音質AUD音源で収録。アルバム「夏草の誘い」よりの6曲を中心に、次回作「逃避行」に収録される2曲、次々回作「ドンファンのじゃじゃ馬娘」収録の2曲も披露された、熱心なジョニ・ミッチェルのファンには人気のツアー! バックはロベン・フォードを中心とした新生LAエクスプレスでバンドの演奏も最高!このツアーは過去に、10年以上前に前日のボストン公演がリリースされただけなので、ファンは必聴。 Nassau Coliseum, Uniondale, New York, USA 20th February 1976 TRULY AMAZING SOUND Disc 1(65:53) 1. Help Me 2. Love Or Money 3. Free Man In Paris (incl. false start) 4. For The Roses 5. Cold Blue Steel And Sweet Fire 6. Big Yellow Taxi 7. Shades Of Scarlet Conquering 75年「夏草の誘い」8. For Free 9. Coyote 76年「逃避行」 10. Don Juan's Reckless Daughter 77年「ドンファンのじゃじゃ馬娘」11. Just Like This Train 12. Shadows And Light 75年「夏草の誘い」13. In France They Kiss On Main Street 75年「夏草の誘い」 Disc 2(43:47) 1. Edith And The Kingpin 75年「夏草の誘い」2. Talk To Me 77年「ドンファンのじゃじゃ馬娘」3. Harry's House/ Centerpiece / 'Furry' intro story 75年「夏草の誘い」4. Furry Sings The Blues 76年「逃避行」5. Trouble Child 6. Rainy Night House 7. Raised On Robbery 8. The Jungle Line 75年「夏草の誘い」9. Encore Call 10. Twisted Joni Mitchell - vocals, guitars, piano Robben Ford - electric guitar Victor Feldman - Fender Rhodes electric piano and congas David Luell - flute, saxophones Max Bennett - Fender bass John Guerin - drums