大好評「FILLMORE WEST 1969 DAY 2」に続いてリリースされるのは「DAY 4」。こちらもまた1969年1月にZEPがフィルモアから生み出された名演を捉えた古典音源の一つ。古典というのは音質に関しても当てはまり、録音状態は「DAY 2」の音質を粗くしたようなビンテージ・オーディエンス。それでも演奏内容が「DAY 2」に負けじと充実していたこと、またCDでは一枚に収まる演奏時間であったことからいくつかのアイテムが生み出されてきました。とはいえここ最近は新たなアイテムがリリースされることもなく、時間の経過とともにこの日自体を聞いたことがない…というマニアも少なくなかったのではないでしょうか。そうした状況の中で現在の決定版となっていたのが1月のフィルモア音源の集大成であるGRAFF ZEPPELINの「FRESH GARBAGE: FILLMORE WEST JANUARY 1969」でしょう。それまでの「DAY 4」アイテムはビンテージ・オーディエンスにありがちなピッチの不安定さがおざなりであったり、あるいは古めかしい質感を緩和させて演奏の輪郭を浮き立たせるようなイコライジングをほどこしたは良かったものの、それが仇となって不自然に映ってしまうアイテムなどもありました。こうした問題を解消したベストバージョンが「FRESH GARBAGE」だったのです。しかし今回はネット音源界でおなじみKrw_coが公開してくれた1st gen.バージョンを元に改めてこの音源を徹底的にレストア。まず最大の問題である不安定なピッチを徹底的にアジャスト。それ以上に問題だったのが古めかしくてこもり気味だった音質。ビンテージ・オーディエンスと言えば聞こえはいいですが、この音源の場合はちょっとビンテージすぎるきらいがある。それ故に今までは「DAY 2」と比べて敬遠されがちな音源であったのは事実かと。今回のリリースにおいては高域を調整した結果、こもり気味だった音質がだいぶ改善されて聞きやすくなっています。「FRESH GARBAGE」も見事な仕上がりを見せていましたが、そこにあった最後の薄皮がようやく取り除かれたのが今回のバージョンだと言えるのではないでしょうか。何しろ古めかしい音質ですので、ヒスノイズが大なり小なり気になる音源。例えばロバートが一人で始める「I Can't Quit You Baby」の冒頭などで目立ってしまうのですが、それを抑え込むとどうしても違和感が生じてしまいます。その代わりに高域を調整することで聞き心地の良さを上げたのが今回の仕上がりです。そしてマニアックな視点ではありますが、過去のリリースにあった微弱なカットが最小限にとどめられているのも今回のバージョンのメリットの一つ。この辺りは1st gen.ならではの強みと言えるでしょう。こうして一段と聞きやすくなった「DAY 4」ですが、改めてこの日の演奏の素晴らしさに打ちのめされる思いがします。何しろ「DAY 2」とはライブの構成がまるで違う。そもそもオープニングがこの日は「As Long I Have You」。そこでも素晴らしい演奏が繰り広げられていましたが、この日の重厚な演奏がまた圧巻。本当に同曲は初期のZEPライブを代表するレパートリーですよね。とにかく「DAY 2」とまるで違う演奏が面白く、「Communication Breakdown」がその日よりシンプルな展開で披露されたかと思いきや、今度は「How Many More Times」の展開がまるで違う。「DAY 2」どころか1月他の演奏と比べても非常に変わった展開で、ジミーのボウイングなどは珍しくオリエンタルなフレーズを弾いていて面白い。そして極めつけはジミーのインストゥルメンタル「White Summer / Black Mountain Side」の後で「The Train Kept A Rollin'」を演奏するとは。オープニングでなく、こんな位置での演奏だなんて。さらに変わっているのが「Killing Floor」でライブを締めくくるという。プラントのMCからも本当にラストナンバーとして演奏されたことが解りますが、それにしても意表を突いたエンディングでした。ロバートはどんな曲を歌おうとも無理なくスクリームを炸裂させ、ジミーはトリッキーなフレーズをやすやすと弾いてみせる。ZEPがもっとも創造性あふれたステージを繰り広げていた69年一月のフィルモア、これまで見過ごされがちだった「DAY 4」の決定版が遂に登場です!(リマスター・メモ)ランダムにかなり遅いピッチをなるべく修正。高音が弱すぎるので調整しました。原音よりは数段鮮明になっています Fillmore West, San Francisco, CA, USA 12th January 1969 (UPGRADE) (77:55) 1. Intro 2. As Long As I Have You with Fresh Garbage / Mockingbird / Bag's Groove / Baby Please Don't Go 3. I Can't Quit You incl. Don't Know Which Way To Go 4. Dazed And Confused 5. Babe, I'm Gonna Leave You 6. Communication Breakdown 7. You Shook Me 8. White Summer / Black Mountainside 9. The Train Kept A-Rollin' 10. Pat's Delight 11. How Many More Times incl. The Hunter 12. Killing Floor incl. The Lemmon Song