マイケルが世界を制した「BAD」ツアーは足掛け三年に渡って行われた1980年代後半ならではのマンモス・ツアーであり、87年と88年にはそれぞれ定番たるマテリアルが存在しています。まず87年と言えば我々が誇る永遠の名作プロショット横浜スタジアム。「JAPAN TOUR '87: YOKOHAMA STADIUM」はDVD-RながらYouTube上に横行している画質劣化バージョンとは一線を画す鮮明画像にて収録という事から現在も驚異的なロングセラーと化しています。それ以上に世界中のマニアを驚かせたオーディエンス・アルバムが「NISHINOMIYA 1987 FINAL NIGHT」。これまで横浜一辺倒だった87年の来日公演から別の日を極上オーディエンスにてドキュメントしてくれた衝撃の発掘。マイケルがうっかり「トーキョー」と発しそうになったズッコケ場面まで捉えていた貴重音源であり、こちらもまたベストセラー続行中であります。一方88年の方は「BAD」ツアー二年連続の来日にて今度は出来たばかりの東京ドームでの公演の断片的な映像に加え、ベールに包まれていた二度目の来日ステージをオーディエンス録音で明らかにしてくれた「GREATEST MOMENTS IN THE EAST」がリリースされてきましたが、前年のような「これぞ」といった映像や音源が存在しませんでした。そんな状況を堂々オフィシャルで一石を投じてくれたのがウェンブリー・スタジアムのプロショット映像。今や太っ腹にもYouTube上で公開してくれている映像ですので簡単に見られるのも定番に相応しい。そして「BAD」ツアーは1989年の1月にロス・アンゼルスのメモリアル・スポーツ・アリーナで本国凱旋公演&千秋楽を迎えました。この凱旋公演は都合五回行われたのですが、世界中を駆け抜けた「BAD」ツアー最後のサービス日程といった感があり、放送や流出マテリアルの類が一切存在しないことから89年まで同ツアーが続いていたことすら知らない人の方が多いかもしれません。むしろオフィシャルのウェンブリー・スタジアムと横浜スタジアムで満足してしまったマニアが多かったのでは。ところが先月、世界中のマニアをアッと言わせる衝撃の発掘が何の前触れもなしでネット上に現れたのです。それは千秋楽LAスポーツ・アリーナのステージを完全に捉えたステレオ・サウンドボード録音。元は関係者からリークしたカセットテープだとのことですが、何より驚かされるのは完璧な音質のステレオ・サウンドボード録音であったということ。しかもマルチトラックを用いて収録されたと思われる見事なステレオ・セパレーション。それでいて全体的に楽器やマイケルの歌声のダイレクト感が強く、まだラフミックスな状態でリークしたのだと推測されるもの。一方「I'll Be There」におけるじらし&煽りでは歓声がこれまた左右からステレオで聞こえ、そうした状態がマルチトラック録音であることを証明してくれます。もし今回の音源をミキシングで整理すればウェンブリー・スタジアム映像にあった音声のような仕上がりになるのではないでしょうか。それほど驚異的なクオリティを誇る発掘音源なのです。そして極めつけは、これほどまで音質の秀でたステレオ・サウンドボード録音が捉えてくれていたのが何と1月27日のツアー最終日!つまり一連のLA千秋楽の最終日というだけでなく、1987年から始まった「BAD」ツアー全体のグランド・フィナーレを完璧な音質で捉えてくれたのです。マイケル絶頂のツアー、しかもその最終日がオフィシャル・レベルの最高音質で聞けるとは。この頃からクラプトン仕事との掛け持ちを始めたバンマス、グレッグ・フィリンゲインズを始めとして本ツアーで名を上げたジェニファー・バトゥン(裏ジャケでは彼女をフィーチャー)そしてドラマーの故リッキー・ローソンといった職人ミュージシャンたち、さらには下積み時代のシェリル・クロウらによる盤石なバックアップぶりが生々しい質感かつ最高にクリアーな状態で鑑賞できるという贅沢。そんな彼らの揺るぎない演奏をバックにマイケルはすべてをさらけ出すかのごとく熱唱。彼のトレードマークとなったユニークなシャウトまでもがラフミックスならではのむき出しな状態で聞くものの耳にダイレクトに迫ってくる快感。これはもうマイケルのマニアだけでなくすべての音楽ファンに聞いてもらいたい絶頂期の記録。まるで幻のような時期と言えた「BAD」ツアー終盤を代表する音源が発掘されました! Memorial Sports Arena, Los Angeles, CA, USA 27th January 1989 STEREO SBD Disc 1 (58:17) 1. Intro 2. Wanna Be Startin' Somethin' 3. Heartbreak Hotel 4. Another Part Of Me 5. Human Nature 6. Smooth Criminal 7. I Just Can't Stop Loving You (with Sheryl Crow) 8. She's Out Of My Life 9. Jackson 5 Medley (I Want You Back/The Love You Save/I'll Be There) 10. Rock With You 11. Thriller Disc 2 (76:24) 1. Bad Groove Interlude (Band solos) 2. Working Day And Night 3. Beat It 4. Billie Jean 5. Bad 6. The Way You Make Me Feel 7. Man In The Mirror STEREO SOUNDBOARD RECORDING Michael Jackson - lead vocals Greg Phillinganes - Lead keyboards, synthesizers Rory Kaplan - keyboards, synthesizers Christopher Currell - Synclavier synthesizers, digital guitar, sound effects Ricky Lawson - Drums, percussion Jennifer Batten - Rhythm and lead guitar Jon Clark - Lead and rhythm guitar Don Boyette - bass guitar, synth bass Background vocals Darryl Phinnessee Dorian Holley Sheryl Crow Kevin Dorsey