プリンス2015年の最後のペイズリーパークでのライブ、そして事実上バンドとして最後となるライブが発掘されました。ジュディス・ヒルのファースト・アルバムのリリースを記念しての15年10月24日のペイズリーパークでのパーティをオーディエンス録音で収録。。大きなThe Sound Stageではなく、より小さなNPGMC roomで行われました。やや音が割れる箇所があるのはやはり会場から来るのもあるのでしょう。しかししっかりリマスタリングしているため聴きやすくなっておりあまり気になりません。メンバーはカーク・ジョンソンがドラム、モノネオンがベース、ドナ・グランティスがギター、エイドリアン・クラッチフィールドがサックスとウインド・シンセ、そしてジュディス・ヒルとプリンスがいます。まずは優雅でとてもファンキーなジャズ・インストを4分程プレイしそれをイントロに、とてもスリリングなAll The Crticsのニューバージョンへと変化します。ボーカルはもちろん、キーボードはプリンスがほぼ弾いているので、この曲の主軸となって演奏を牽引します。エレクトリック・ソロとプリンスが言うのはキーボードではなく、管楽器の奏法でシンセをコントロールできるウインド・シンセサイザーによるもの。とても面白い音がします。プリンスの16年のバンド・スタイルは好んでウインド・シンセを使うようになっていたのかもしれません。そしてモノネオンのベースがブリブリでファンキー、やはり凄腕です。Stratusはドナのギターが轟き、流麗なピアノをプリンスが、気品のあるベースをモノネオンが、他のメンバーも卓越したソロを披露していきます。そしてプリンスに紹介されてこの時の主役ジュディス・ヒルが登場(実はこのライブの前に2曲彼女はプレイしており、その2曲はDisc 2、3のボーナス・トラック扱いで収録しています)。My Peopleのソウルフルなヴァ―ジョンはエイドリアンのサックスが響き、ザップのMore Bounce To The Ounce風のカッティングも飛び出しファンクネスさも忘れていません。プリンスも後半歌で入ってきてバンドも自己主張する上げムードの10分弱ロング・バージョンとなってます。そしてそのままビル・ウイザースのUse Meのカバーへ。プリンスは張りのある声でしっかりと歌って観客の合いの手を要求しつつ演奏をグルービーに展開していきます。ドナのファンキーなギター・ソロも身震いするほどのカッコよさ。そして尚演奏は途切れることなくやや不穏なサウンドに。Ruff Enuffのライブ・バージョンです。プリンスの指示する声がファンキーで、徐々にサウンドに方向性が定まってくるとプリンスはいよいよ歌い出します。スタジオ・テイクにはヴォーカル・バージョンがありますが、そこではエイドリアンがヴォコーダー(talkingsaxboxと名付けています)で歌っているのですが、ここではプリンス・バージョンということになります。やはりプリンスが歌うとあたりまえなのですがとてもプリンスらしい曲となっていて、ポップで踊り出したくなる演奏になってます。そしてジュディスのアルバム・タイトルBack In Timeを観客に連呼させて演奏はフィニッシュ、そしてMillon $ Showのプリンスのサンプル曲が流れるイントロに。ジュディスがそこから飛び出すように歌います。スタジオ・バージョンを再現、それでもやや長めに演奏されており、ライブ感もあってとても嬉しい披露です。そして突然の変化、スライのThank Youのプレイ。プリンスがしっかり歌い、面白いキーボードの音と中盤からのクールな展開を含め、このバンドならではのThank Youになっています。ジュディスがコーラスで参加しています。ここでギター、プリンスによるもののようですが、キーボードと合わさってファンキー展開するAlphabet St.に。やがてそのギターがロッキッシュに変化していきAmerican Woman風のジャムとなっていきます。その流れに気が付くと観客が皆叫び声をあげて応えます。そしてこれで終わるのかと思わせてSign O The Times、プリンスがオーリオ、オーオを入れながら歌い、キーボード・ソロを入れ、グンナイ!とプリンスは挨拶しています。しかし777-9311となり、なんとプリンス自身がこの曲の難解なドラミングを再現しています。モノネオンのベースもブリブリ入って、いつものサンプリング・セットとは異なるファンクネスがあります。そしてHot Thingへ。プリンスがしっかりボーカルを取っていますが、ちょっと面白い歌い方もしています。カッティング・ギターが入ってこれもファンキーです。これがプリンスの最後のバンドでのテスト演奏、更なう高みへと向かうプリンス達がいたのです。激レア過ぎるライブです。Disc 2は2015年11月6日、Bringyojammies #1と題されたペイズリーパークでのライブ。音質はとても臨場感のある良好オーディエンス録音です。いつものLet's Go Crazyでスタート、では全くありません!なんと衝撃の21分バージョンです!こんなに長くプレイしたのはリハーサル以外なら初めてでしょう。イントロから早くも怪しげなギターが展開されます。そして5分過ぎからまた異なるガリガリとしたカッティングの荒々しいファンクにエイドリアン・クラッチフィールドによるサックスが絡むジャムへ。バックはカークのドラム、しっかりとしたもので多分にLet's Go Crazy風です。ドナの鋭いギター、モノネオンの重いベース、不穏なプリンスのキーボード、そしてまたサックスの調べ。フリーキー且つジャジーなジャムですが、プリンスのキーボードが全体をコントロールしているのでまとまりがあります。14分経ってやっとプリンスがLet's Go Crazyを呟き気味に歌い始めます。全く過去に聴いたことのない歌い方ですし、展開です。今度は落ち着いたオルガン・ジャズで進むのかと思えば、弾んだり変なエフェクトが入ったりと、やや実験的ムードとなりますが、直ぐに急展開、またプリンスが歌い始め、サックスが入って緩いファンキーさがあるバージョンとなります。でもいつものギター・ソロをドナが弾き、キーボードも入ってくるので、ちらちらと変則さを垣間見せてくれて飽きさせません。エイドリアン!のプリンスの叫びからサックス・ソロが飛び出し、どんどん盛り上がっていきます。後半からはファンキーなLet's Go Crazyとなって、最後はいつものサステインのギターが入ってクローズ。しかし途切れずThe Ballad Of Dorothy Parkerへ。やはりとてもジャジーなバージョンで、ピアノが活き活きとしたフレーズを入れます。ややタイム感を取ってすかしながら歌うプリンス、とてもご機嫌です。エイドリアンによるフルートの調べも優雅、かなりインスト部分が多いバージョンで5分弱、そしてそのままインストがXpectationにするっと変わります。このレア曲がしっかりとそして気高く4分続きそのままスライのThankful N' Thoughtfulへ。歌こそそれですが、バックがIn Timeになったりして複雑に展開します。エレピのようなオールドマナーなサウンドが切り込んで驚かされますし、サックスもいい味出しています。プリンスの観客への会話やワウギター、震えるベース、絶妙なタイミングでのYou Can Make If You Tryのボーカル入れとか、どれもこれもファンキーです。DトレインのカバーYou're The One For Meはジャズ・バージョンでありながらどこかDeliriousのようなアップテンポさがあり、スリリングなギターもあいまって思わず体が動いてしまうアレンジ。そしてその鋭いギターの余韻から最後は怒涛の重量級ファンクネス、猪突猛進のDays Of Wildへ。観客も大喜びでプリンスもありがとうと言っています。エフェクト音やカッティング、ホーン、細部から後半のジャムまであらゆる所にニューマナーさがあるアレンジとなっていて、この名曲の価値を大いにあげています。プリンスの新しいバンドを唯一垣間見せてくれている大変貴重なライブですが、内容も超絶悶絶モノです。こんな音源が残っていたこと、その奇跡、大感謝です。尚Disc1の10月24日のジュディス・ヒルのライブの最初の2曲の内の1曲A Trains Go Byをオーディエンス収録。ファンキーで長いイントロからやっと歌い出すジュディス、プリンスの声も聞こえ、歌い、更にジュディスと二人でハモるように歌う場面も。飛び出すギター、サックス、目くるめく20分弱という長尺さはプリンスとバンドの卓越した演奏が奥深く楽しめる仕組みとなっています。Disc 3も凄いです。2016年になってプリンスがペイズリーパーク、そしてピアノ・アンド・ア・マイクロホーン・ツアーで展開したピアノ・セットだけのコンサート。常に万華鏡のように変化していく素晴らしいものでしたが、なんとそのプロト・タイプといえる大変貴重な15年11月7日のBringyojammies #2と題されたペイズリーパークでのライブです。Diamonds And Pearlsをイントロに軽く弾くと、いきなりレアなIf Eye Could Get Ur Attentionを披露、アルバムHinrun Phase Twoに収録させる予定にして再レコーディングされた昔の曲ですが、ここでとりあえずピアノで試しにプレイしていたのです。これは後のピアノ・マイクロホン・ツアーでもプレイされてません。そして皆で大合唱になるRaspberry Beret、しっかりと歌って観客も聴き入ってしまうStarfish And Coffeeは一度演奏を終えてからもアウトロもプレイして3分10秒と長めのプレイ。そしてSweet Thingに流れていきますが、まずかなり崩して歌っています。そして実はStarfish And Coffeeとのマッシュアップになっているのが衝撃的です。Something In The Waterはやはりピアノ一本ですが、ゆったりと噛み締めるように歌いプレイしているのが新鮮です。With Youの美しい調べがやがて悲哀を帯びたトーンに。そこで拍手が入ります。どうやらバンド・メンバーが入って来たようです。When Will We B Paid?を歌うプリンス。そしてサックスも揺らめくように重なります。カーク・ジョンソンのドラミングも入ってバンド・サウンドになり、そしてそこからピアノをブリッジにしてBlack Museへと移行します。これはピアノだけのバージョンもありますが、ここではバンド・サウンドであるのが素晴らしいです。プリンスもしっかりと歌って、サックスも切り込んできます。モノネオンのベース・ソロもグルーブ感溢れています。When Will We B Paid?も歌われ、ワウ・ギターがファンキーなドナがいます。エイドリアンのサックスもプリンスより紹介され、最後はとてもファンキーなドラミングのカーキーJ、そこからGirls & Boysのスロー・グルーブへ。そしてプリンスが歌います。バンド・サウンドは継続、Love Or Moneyをプリンス続けざま歌いますが歌詞を変え、更にGirls & Boysのホーン・フレーズが重なってくるという、バンドでマッシュアップしてしまう荒業を行っています。そしてGirls & Boysのリズムをかすかに残しつつ、プリンスがブギーを演奏するよ、と重いビートを提供し始めます。ホーンが薄く入り、面白いキーボード・フレーズ、プリンスの叫び、突き刺すようなギター、新しい感覚のジャズとも呼べるものです。プリンス達は全9曲入りのBlack Is New Blackというアルバムを制作していたとされていますが、そのタイトル曲なのでは、という話もあります。そして最後はバンド・メンバー全員が一丸となった驚異のStratusでフィニッシュ。前半はピアノ・セット、後半はバンド・セット、変則的ですが、これがエイドリアン、モノネオン、ドナ、カークらBlack Is New Blackとしての最後となろうバンド演奏です。尚Disc1の10月24日のジュディス・ヒルのライブの最初の2曲の内の1曲Cry, Cry, Cryを収録。14分の超ロング・バージョンでプリンスもいますが、ここはバンドとジュディスの濃厚なミュージックをたっぷりと楽しむことが出来ます。そしてDVDが付きます。ジュディス・ヒルのアルバムのリリース・パーティ、しかし彼女のホームタウンで行われたスマホ撮影映像です。彼女のピアノセットのみ30分程、アルバムBack In Time収録曲を披露します。一曲カバーがあり、ミュージカル・夢のチョコレート工場からPure Imaginationです。とても美しいライブとなっています。そしてプリンスがインスタグラムにあげた映像、2015年11月6日のペイズリーパークでのLet's Go Crazyを部分的に捉えたショット7種。わずか15秒ずつですが、超ロング・バージョンのLet's Go Crazyがどのように行われたかその片鱗を知ることが出来ます。そして翌日7日のplectrumelectrumを1分少し収録した映像も収録しています。 Disc 1 "Party Celecrating Judith Hill Album" Paisley Park October 24, 2015 1.Instrumental Jam 2.All The Critics Love U In Minneapolis incl. A Love Bizarre (instr.) 3.Stratus 4.My People (feat. Judith Hill) 5.Use Me incl.Prince speech 6.Ruff Enugg incl. Kirk A Johson drum sol 7.Million $ Show (feat. Judith Hill) 8.Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin) incl. Shut This Down 9.Alphabet St. 10.American Woman 11.Sign O' The Times 12.777-9311 (feat. Prince on drums) 13.Hot Thing Disc 2 "BRINGYOJAMMIES Party #1" Paisley Park November 6, 2015 1.Let's Go Crazy incl.Frankenstein 2.The Ballad Of Dorothy Parker incl.Four 3.Xpectation 4.Thankful N' Thoughtful incl. In Time, You Can Make If You Try 5.You're The One For Me 6.Days Of Wild Bonus (Paisley Park October 24, 2015) 7.As Trains Go By (Judith Hill Feat. Prince) Disc 3 "BRINGYOJAMMIES Party #2" Paisley Park November 7, 2015 1.Diamonds And Pearls instr. 2.If Eye Could Get Ur Atention 3.Raspberry Beret 4.Starfish And Coffee 5.Sweet Thing 6.Something In The Water (Does Not Compute) 7.With You instr. 8.When Will We B Paid? 9.Black Muse incl. When Will We B Paid?(chant) 10.Black Muse incl.band introduction 11.Girls & Boys 12.Love or $ 13.Boogie Instrumental 14.Speech (Prince in the Zone) 15.Stratus Bonus (Paisley Park October 24, 2015) 16.Cry, Cry, Cry DVD Judith Hill Release Party (LA, 2015.10.22) 1.Intro 2.Turn Up 3.Cry, Cry, Cry 4.Love Trip 5.Pure Imagination 6.Angel In The Dark 7.Beautiful Night 8.As Train Go By (part) excerpt #1 excerpt #2 excerpt #3 excerpt #4 excerpt #5 excerpt #6 excerpt #9 LAUGHING STALLIONS