ラスト・アルバム「DIG OUT YOUR SOUL」リリース後のツアー最初の年である2008年は積極的なプロモーション戦略によってツアー開始前のウォームアップからテレビで放送されるほどでして、一年を通してプロショット映像やサウンドボード録音に恵まれています。そんな中でも名音源かつ名演だったのが11月8日のコペンハーゲン。この日は地元のFMラジオ局から放送された最高音質のステレオ・サウンドボード録音が存在します。そんな優良音源がリリースされないはずもなく、リアタイでリリースされていた名盤がGODFATHERの「PRAY FOR THE LIGHT」。瞬く間に2008年ツアーを代表する名盤の一つに君臨したものの、それも今や10年以上前のリリース。結局リリースされず今に至っています。よって「PRAY FOR~」がベスト・タイトルであり続けました。そんな「PRAY FOR~」は問題がない訳ではありませんでした。まずGODFATHERということから放送を素直にCD化するはずもなく、そこは同レーベルらしい硬質で派手めなイコライズが加えられていた。もっともデジタル時代の放送ですのでそうした処理も悪くはなかったのですが。また「PRAY FOR~」は放送時に入っていたアナウンスをすべてカットしていたものの、これが曲者。放送の合間、ライブとは関係のない場面でアナウンスされるのかと思いきや、ライブの最中にアナウンスが現れるのです。まだMCもなく演奏が始まる前のSEが流れるだけの場面だった「To Be Where There's Life」はよかったのですが、「The Masterplan」ではアナウンスの後ろでノエルのMCが聞かれますし、さらに「Morning Glory」の演奏終了直後にも。これらの場面を「PRAY FOR~」は巧みにカットしていた訳ですが、それによって「The Masterplan」で聞こえていたノエルのMCもカットされてしまうという弊害が生まれてしまいましたし、「Morning Glory」では演奏が終わった後で毎回流れされるヘリコプターのSEがばっさりカットされた違和感はかなりのもの。リリースされる2008年コペンハーゲンのラジオ放送はもちろんGODFATHER盤の安易なコピーではなく、そのようなアナウンスも寸分漏らさず捉えられた完全版。確かにアンコール前で入るアナウンスなどを聞けば英語以外の言語という違和感があるのも確かで、先の盤がそれを奇麗にカットしてみせたのも理解できる行為。しかしアナウンスのバックでもライブの場面が流されていただけに、マニアでなくとも放送の完全版で持っておきたくなるのは当然かと。おまけに音質の非常に優れたステレオ・サウンドボード録音でもありますので、GODFATHER盤にあったようなイコライズがなく、スッキリとした放送の原音で楽しめるというのもポイントが高い。さらにこの放送は左チャンネルでたまにノイズが入るという現象があり、中でも顕著だったのが「Rock 'n' Roll Star」。これは明らかに2008年のテクノロジーがもたらした当時の放送時点からの問題であったのだと推測されますがそれらを可能な限り削除。元々レベルの高いサウンドボード録音をさらに磨きあげました。そしてこの日は演奏内容の素晴らしさも大きなポイント。まず何と言ってもリアムの調子が非常に良く、どの曲でも力強い歌いっぷりが冴えわたっている。音質が非常に良いのでなおさら際立って聞こえるのです。2008年のリアムはスマートになった当時の容姿が物語っていたように、それまでになくツアー中の節制を務めたこともあって「調子の悪い日」というのが少ない。そんな一年の中でも、この日はライブのオープニングからフィナーレまでしっかり歌い切ってくれており、それがまたこの日のラジオ音源の定評を確固たるものとしていました。ノエルを始めとしたバンドの演奏もツアー開始から二か月が経過して盤石の域。そもそも「DIG OUT YOUR SOUL」ツアーはドラマーのクリス・シャーロックが加入してそれまで以上に強靭なライブ・サウンドを作り上げていただけに、ツアー開始当初と比べても一段と力強くなった演奏は圧巻。そして観客の盛り上がりも素晴らしく、リアムをして「top crowd」と言わしめただけのことはある。そんな会場の雰囲気と骨太な2008年ならではの演奏が絶妙なバランスで捉えられた名音源。ようやく「PRAY FOR THE LIGHT」以来となる新たな決定版が誕生します!Falconer Salen, Copenhagen, Denmark 8th November 2008 STEREO SBD Disc 1 (47:40) 01. Fuckin' In The Bushes 02. Rock 'n' Roll Star 03. Lyla 04. The Shock Of The Lightning 05. Cigarettes & Alcohol 06. The Meaning Of Soul 07. To Be Where There's Life 08. Waiting For The Rapture 09. The Masterplan 10. Songbird 11. Slide Away Disc 2 (56:55) 01. Morning Glory 02. Ain't Got Nothing 03. The Importance Of Being Idle 04. I'm Outta Time 05. Wonderwall 06. Supersonic 07. Don't Look Back In Anger 08. Falling Down 09. Champagne Supernova 10. I Am The Walrus Liam Gallagher - lead vocals, tambourine Noel Gallagher - lead guitar, vocals Gem Archer - Guitar, Vocals Andy Bell - Bass Chris Sharrock - Drums Jay Darlington - Keyboards STEREO SOUNDBOARD RECORDING