7年ぶりの新作『DOWNHILL FROM EVERYWHERE』をリリースし、ジェームス・テイラーのジョイント・ツアーを実行中のジャクソン・ブラウン。その最新レポートとなる超極上ライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「2021年9月10日ナパ公演」。その超絶級オーディエンス録音です。昨年は新型コロナ感染がニュースとなってヒヤッとさせられましたが、その後は無事に活動再開。ジョイント・ツアー“2021 Fall Tour”に邁進しています。まずは、そんなブラウンの近況からショウのポジションを確認してみましょう。2021年・6月10日+22日:北米#1(2公演)《7月23日『DOWNHILL FROM EVERYWHERE』発売》・7月29日ー9月22日:北米#2(30公演)←★ココ★・10月9日ー11月1日:北米#3a(12公演) >>今ココ<<・11月10日ー12月13日:北米#3b(18公演)2022年・4月21日ー5月12日:北米#4(12公演)・9月10日:ステートライン公演 これが現在までに公表されているスケジュール。音楽シーンは息を吹き返したように見えますが、世界的にはまだまだパンデミックも不安定。大陸を移動する世界ツアーとは行かず、現在予定されているのはすべて北米でのショウです。ブラウンは新作『DOWNHILL FROM EVERYWHERE』をリリースした直後からツアーを開始。「北米#2-3」がテイラーとのジョイント・ツアーで、本作のナパ公演もその一幕である「北米#2」24公演目のコンサートでした。そんなショウで記録された本作は、ナチュラル感と密着感と美しさを兼ね備えた驚異の超絶オーディエンス。ブラウン登場!の開演シーンこそオーディエンスらしいリアルな熱狂も聴けますが、いざ演奏が始まると「これが客録!?」と耳を疑うサウンドが流れ出す。とにかく距離感がまったくなく、ヴォーカルもコーラスも息づかいレベルで絡んでも混じり合わず、穏やかギターのカッティングもドラムのブラシも超繊細。音量的に別に大きめでもないベースもアタック音が克明で流れるラインの表情も非常に豊かに描かれる。まるでFM放送……と言いますか、それ以上のサウンドなのです。それほどまでのサウンドとなると要因を探りたくなるもの。いろいろと考えられますが、そのひとつが会場。現場となった“Oxbow River Stage”は、末広がりの扇形に座席が並んだオープン・スペースで、ちょうどハリウッド・ボウルを小さくしたような感じ。そのため、音を反射する天井も壁もなく、PAの出音を反響ゼロでダイレクトに拾っているようです。もちろん、野外なら誰でも極上サウンドで撮れるというほどカンタンなものではない。PAから遠ければスカスカになり、会場の片隅ならステレオ感が偏り、風が強ければ音が流され、下手をすれば風音が入ってしまう。もちろん、本作にはそうした心配は一切なし。ステージ近いセンター真正面の7列目から録音されており、ステレオ感と密着感と安定感がすべて揃っているのです。ここまでで十分に理想的なのですが、本作はそれを超えてきたから驚き。それはリッチ感。野外は反響ゼロな反面、ホール鳴りによる音の補強は望めない。PA出音のムキ出し感がそのまま捉えられ、ダイナミズムは欠けがちなのです。ところが、本作のサウンドは鮮やかであると同時にリッチでゴージャズですらある。この要因は……正直、分かりません。想像するに会場のシステムとスタッフのセンスがずば抜けていた……くらいしか思いつかない。単に偶然が生み出した奇跡のサウンドなのか、それともこれが「2021年のサウンド」というものなのか。音楽シーンが回復し始めたばかりの現在ではまだ結論が下せないのです。ともあれ、そんな超絶のダイナミック/ド密着サウンドで描かれるのは、2021年をひた走るジャクソン・ブラウンのフルショウ。気になるセット内容も整理しておきましょう。 フォー・エヴリマン(4曲)・For Everyman/These Days/Take It Easy/Our Lady Of The Well 孤独なランナー(4曲)・You Love the Thunder/Running on Empty/The Load-Out/Stay ダウンヒル・フロム・エヴリホェア(5曲)・Downhill From Everywhere/My Cleveland Heart/The Dreamer/Until Justice Is Real/A Human Touch その他(7曲)・70年代:Doctor, My Eyes/Fountain of Sorrow/The Pretender・80年代以降:In the Shape of a Heart/I Am A Patriot/I'm Alive/The Long Way Around……と、このようになっています。キャリアを幅広く網羅しつつ、軸となるのは代表作『FOR EVERYMAN』と『RUNNING ON EMPTY』。その2作以上に最新作『DOWNHILL FROM EVERYWHERE』から大盤振る舞い。実のところレスリー・メンデルソン(彼女は本作でもゲスト参加)とのコラボ曲「A Human Touch」やシングル曲「The Dreamer」はパンミック前から演奏していましたが、残る3曲は2021年になってからの新曲。歌声も素晴らしく、73歳にして現役感たっぷりのショウを味わわせてくれるのです。とにもかくにも、超クリア/超ダイレクト/超ダイナミックな衝撃サウンド。その異様な高音質で最新ショウをフル体験できるライヴアルバムです。未曾有のパンデミックで音楽シーンは停止していましたが、その間も技術の進化は続いていた。それを肌感覚で味わわせてくれる教員のハイクオリティ・サウンド盤。「2021年9月10日ナパ公演」の超絶級オーディエンス録音。とにかく距離感がまったくなく、ナチュラル感と密着感と美しさを兼ね備えた驚異の超極上サウンド。反響ゼロの野外会場のせいもありますが、それだけでは説明が付かないリッチ感やダイナミズムまで揃っている。ヴォーカルもコーラスも息づかいレベルで絡んでも混じり合わず、穏やかギターのカッティングもドラムのブラシも超繊細。ベースもアタック音が克明で流れるラインの表情も非常に豊かに描かれる。最新作『DOWNHILL FROM EVERYWHERE』ナンバーも美味しいフルショウを極上体験できます。Oxbow River Stage, Napa, CA, USA 10th September 2021 ULTIMATE SOUND Disc 1(70:41) 1. I'm Alive 2. You Love The Thunder 3. Along Way Around 4. Fountain Of Sorrow 5. Downhill From Everywhere 6. My Cleveland Heart 7. In The Shape Of A Heart 8. I Am A Patriot 9. The Dreamer 10. Until Justice Is Real 11. For A Dancer 12. A Human Touch (with Leslie Mendelson) Disc 2(50:39) 1. Doctor My Eyes 2. These Days 3. The Pretender 4. Running On Empty / Give Me Some Lovin' 5. Crowd Encore 6. Take It Easy 7. Our Lady Of The Well 8. The Load Out 9. Stay