ここ一年程ZEPの未発表オーディエンス録音やアッパー版音源を発掘し続けてくれている“Dogs of Doom”チームが今度は1972年のデンバー公演のオーディエンス録音を発掘!未だに72年アメリカ・ツアーの音源が登場してくるというだけでも驚きを禁じえませんが、この日は今までいかなる音源も発掘されておらず、セットリストも判明していなかっただけに、これは今年最後の歴史的発掘と呼べるのではないでしょうか?まず曲目をご覧いただければ解るように、収録時間は一時間を切ってしまうほどの短さであり、なおかつ曲間カットが頻発してしまうせいで実際のライブの完全収録からは程遠い録音状態。オープニング「Immigrant Song」からしてカットが生じていますが、それはまだ序の口。「Since I’ve Been Loving You」になると演奏の途中でバッサリとカット…それどころかテープレコーダーをオン・オフする音まではっきり聞こえてしまうほどあからさまな録音中断行為。これはお目当てである「Stairway To Heaven」を録音する為のテープ節約だと推測され、案の定、同曲が始まるやいなやイントロ途中から慌てて録音が開始されるところからも物語っています。その個所を除けは演奏がちゃんと収録されているのもまたしかり。ところが今度はレコーダーのトラブル、あるいは走行音かと推測される「カチッ」が周期的に入ってしまうという。こうして「Stairway To~」を録音出来て満足できたのでしょうか、「Bron-Y-Aur Stomp」以降は収録されているすべての曲がカットどころか不完全収録。中でも「Whole Lotta Love」に至っては曲本体の収録からかけ離れた、わずか40秒足らずの録音であり、しかもメドレー中にある「Going Down Slow」の断片によって、かろうじて何を演奏していたのか判別出来るというレベル。とはいえ今回発掘されたデンバーは72年アメリカ・ツアーにおける伝説のマラソン・ショーであったシアトル二日目の次のライブという位置。それを物語るように、この日もシアトルの時と同じようにライブの序盤でリリース前の新曲であった「The Ocean」が披露されているという貴重な場面が捉えられているのです。ライブ初演だったシアトル二日目ではロバートの声が出きらない場面も見受けられましたが、この日の彼は絶好調。何より幸いなのが、この貴重な場面には一切ダメージがなく完全収録されていることかと。またフィナーレ「Thank You」の前で「Louie Louie」が含まれていて、しかもロバートが歌っている展開もシアトルの流れを汲んだものなのですが、ライブ終盤ということもあって録音が完全にこま切れ状態なのが辛い。そして「Bron-Y-Aur Stomp」の後ではロバートが当時人気絶頂だったスリー・ドッグ・ナイトの「One」の一節をハイトーンで口ずさむというレアな場面が登場しますが、これも音が遠いので聞きこまないと判別できないのが玉に瑕。そう、今回の音源は「Stairway To Heaven」終了後から恐ろしいまでに多発するカットだけでなく、音像が遠くてライブ中盤からは音がうねってしまうというのもハードルを上げてしまった要因。今回の音源を聞いた後でシアトル二日目に戻れば随分と聞きやすく感じてしまう…と例えればどれほどのクオリティか想像してもらえるでしょう。19Denver Coliseum, Denver, Colorado, USA 21st June 197272年6月21日のデンバー公演を初登場オーディエンス録音で収録したマニア必聴・必携の一枚。マニア向けの内容ですが貴重極まりない音源です。 Denver Coliseum, Denver, Colorado, USA 21st June 1972(57:48) 01. Drone 02. Immigrant Song 03. Heartbreaker 04. Black Dog 05. The Ocean 06. Since I’ve Been Loving You 07. Stairway To Heaven 08. Bron-Y-Aur Stomp 09. Dazed and Confused 10. Whole Lotta Love (incl. Mean Mistreater, Going Down Slow) 11. Rock and Roll 12. Louie Louie 13. Thank You