英国プログレの理想と希望を一身に受けてシーンに登場した1978年のU.K.。その最高峰記録を更新する超極上ライヴアルバムが2種同時リリース決定です。今回同時リリースとなるのは、デビュー・ツアーでも頂点的なサウンドボード録音とオーディエンス録音がそれぞれアップグレードを果たした新名盤。本作は、後者である「1978年9月27日ニューオーリンズ公演」の超絶級オーディエンス録音です。本稿に目を留められた方なら、もうお気づきの事でしょう。本作はかつて『THE ONLY THING WE NEED』としても愛された名録音。ただし、録音は同じでも従来盤とは大きく異なる。ごく最近になって登場した1stジェネ・マスターであり、精緻に磨き込まれたサウンドが話題を呼んでいる新発掘盤なのです。その気になるクオリティの前に、まずはショウのポジション。登場からわずか半年で崩壊してしまったオリジナルU.K.の歩みから振り返ってみましょう。《3月『U.K.(憂国の四士)』発売》・4月29日ー5月15日:英国(13公演)・6月23日ー8月8日:北米#1(26公演)←※SBD量産期・9月8日ー10月8日:北米#2(17公演)←★本作★・11月9日:クリーヴランド公演 ←※PHILADELPHIA 1978《11月:4人組解体→2ndアルバム制作開始》これが1978年のU.K.。彼らのデビュー・ツアーは数々のサウンドボードも残された事でも有名ですが、そのほとんどが「北米#1」の記録(詳細なコレクション整理は同時リリースとなる『EL MOCAMBO 1978』の解説をご参照ください)。それに対し、本作のニューオーリンズ公演は約1ヶ月のオフを挟んで行われた全米ツアーの第二部。「北米#2」の9公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを真空パックした録音は「オリジナルU.K.最強のオーディエンス録音」として伝説でもありました。前回盤『THE ONLY THING WE NEED』がリリースされた際にも専門誌から「オーディエンス録音の最高峰」「サウンドボードに匹敵する超高音質」と大絶賛。オンな芯と細やかなディテールは客録の常識外であり、スカスカにも爆音にもならず、それでいてド迫力にブリブリと唸るベースは「これが70年代の空間録音!?」とわが耳を疑うほどでした。本作は、そんな伝説録音の最高峰を更新する最新盤。ごく最近になって海外マニアが発表したもので、1stジェネ・マスターをリマスターで磨き込んだもの。そのリマスター精度がハンパではないのです。精密なピッチ補正は当たり前で、周波数ごとにバランスや分離を整理し、位相もビシッとセンターに補整。さらにはテープ・チェンジのカットや音落ちの補整……当店でも大事にしている基本中の基本を忠実に、しかし徹底的に行っている。テープの回転ムラやごく一部のノイズなど、当店で追加処理したパートもありますが、基本的には同じコンセプトに則り、「直しそこね」を正した程度です。その一方、このマニアは当店ではあまりやらない工程も実施している。それはオーディエンス・ノイズの処理。観客の大きな叫び声は抑え、口笛も小さく加工。演奏中に沸き起こる拍手も(部分的に)除去しているのです。この辺は是非の分かれるところで、普段の当店でしたら極力手を付けない。演奏音に影響が出やすい事もありますが、何より現場と歴史のリアリティを最重視しているからです。とは言え、こればかりは美意識の違いでしかない。ライヴアルバムを「記録」と捉えるとリアリズムが最重要になりますが、「音楽作品」と考えれば、生演奏を最大限に引き出す事が命題になる。本作は、後者のポリシーで組み上げられているわけです。実際、そのサウンドは過去最高峰。上に挙げた作業1つひとつはささやかなものですが、塵も積もれば山となる。ビシッと整った安定感も、キリッと引き締まった輪郭も、手応えさえ感じられる芯の密度も従来盤とは比較にならない。「北米#2」を代表するサウンドボード代わり……いや、もはやサウンドボードかオーディエンスかの区分も意味を成さない超極上サウンドが実現しているのです。そんな生まれ変わったサウンドで描かれるのは、貴重な「北米#2」のフルショウ。今さらとも思いますが、ここでセットも整理しておきましょう。憂国の四士 ・B面:Alaska/Time To Kill・A面:Thirty Years/Presto Vivace/In The Dead Of Night その他・デンジャー・マネー:The Only Thing She Needs/Carrying No Cross/Caesar's Palace Blues・ワン・オヴ・ア・カインド:The Sahara Of Snow ……と、このようになっています。1曲1曲はお馴染みですが、『DANGER MONEY』や『ONE OF A KIND』のレパートリーが増えたバランスはツアー後期のムード満点。そして、それ以上なのがセットを綴るパフォーマンスそのもの。代表サウンドボード群を生み出した「北米#1」よりも明らかにこなれており、場数を踏んだ分だけキッチリ演奏力が上がっている。特にビル・ブルーフォードは自由奔放でポリリズミカルなドラミングを聴かせ、ツアー序盤のように小節の頭を見失うようなこともありません。崩壊が決定的になった時期は計りかねますが、演奏からは進化と試行錯誤を続けている様子がありありとうかがえ、成熟しても腐り始めてはいないアンサンブルがタップリと味わえるのです。 幾多のサウンドボードが残された「北米#1」とも、最終クリーヴランド公演とも異なる「北米#2」。ある意味で一番美味しいアンサンブルをサウンドボード裸足の超屋上サウンドでフル体験できるライヴアルバムです。伝説録音の1stジェネ・マスターを精緻に磨き込んだ銘品中の銘品。「1978年9月27日ニューオーリンズ公演」の超絶級オーディエンス録音。「1978年で最高の客録」と定評のある伝説録音で、1stジャネ・マスターから精緻にマスタリングされた過去最高峰盤。オンな芯と細やかなディテールは客録の常識外であり、スカスカにも爆音にもならず、それでいてド迫力にブリブリと唸るベースは「これが70年代の空間録音!?」と耳を疑うほどです。1978年ツアーは多数のサウンドボードが残されていますが、その例外となっている「全米秋レッグ」を超・極上サウンドでフル体験できます。(リマスター・メモ)ワウフラ(回転ムラ)補正。気づいた範囲で違和感のある箇所をピンポイント修正 EQ処理はほんの僅か。若干高域のシャーシャーノイズが目立ったので、これを補正。Live at Ole Man Rivers, New Orleans, Louisiana, USA 27th September 1978 ULTIMATE SOUND(UPGRADE) (62:41) 1. Alaska 2. Time To Kill 3. The Only Thing She Needs 4. Carrying No Cross 5. The Sahara Of Snow 6. Thirty Years 7. Presto Vivace 8. In The Dead Of Night 9. Caesar's Palace Blues John Wetton - Vocal & Bass Eddie Jobson - Electric Violin, Keyboards & Electronics Allan Holdsworth - Guitars Bill Bruford - Drums & Percussion