ZEP1977年ツアーの絶頂であったLAフォーラム6デイズはマイク・ミラードを始めとした優良音源の宝庫でもあった訳ですが、例外的に音源が恵まれないのが6月22日。複数のオーディエンス録音が存在するものの、そのどれもがクオリティはいまいち。それだけならまだしも、この日のZEPの演奏が非常に素晴らしいだけに、なおさら音質の悪さが惜しまれた日でもある。その内容の良さから、現存する音源を駆使してマニアWeedwackerがなんとかベスト・バージョンを作り上げたファイルを元にしたCDが「L.A. FORUM 1977 2ND NIGHT: 4 SOURCE MIX」でした。それでもなおハードル高めな音源の日な訳ですが、昨年末に精力的な音源発掘を成し遂げてくれたThe Dogs of Doomチームが公開してくれた音源の中にもこの日が含まれていたのです。彼らが昨年末に公開してくれたのは「recorder 4」のアップグレード・バージョン。もっとも元が荒くれ気味なディフィニティブ・ビンテージなモノラル・オーディエンスだった訳で、今回も音源のジェネレーションは不明という状態。それでも「L.A. FORUM 1977 2ND NIGHT: 4 SOURCE MIX」の元になった同音源のパートよりも明らかに音質が向上しており、中でも粗さがかなり軽減されている。基本的にマニア向けであることには変わりないのですが、それでもちゃんとアップグレードしているところがThe Dogs of Doomらしいところ。1977年LAフォーラムの中でもっとも有名な「エディの日」はボンゾが飛び抜けていた訳ですが、翌日は彼のプレイに対してジミーが拮抗しているところが演奏内容を充実させたのでした。中でも30分を超える大熱演となった「No Quarter」は素晴らしい。演奏の前半はジョンジーが主導権を握っていたものの、途中からジミーとボンゾの駆け引きが延々と続き、それが面白いほど「終わりそうで終わらない」というユニークでハイテンションな展開となったのです。この名演が今までのバージョンよりはマシになって聞きやすくなった…というだけでもマニアなら十分に試してみる価値があるのではないでしょうか。 この音源の特徴として、ジミーのギターが一番目立つバランスであり、ロバートの声が少し追いやられているという独特な録音状態がある。そのおかげでこの日のジミーが77年LAはもとより、77年ツアー全体の中でも飛び抜けて「弾きまくった」日を記録してくれていたのでした。音質自体はこもり気味ながら「音像が遠い」あるいは「轟音」の類でないのが救いと言えるかと。おかげでこの日のジミーのキレッキレなプレイが伝わってくるのでした。さらに「Achilles Last Stand」のイントロや「Stairway to Heaven」のギターソロなど、一聴して解るほど好調なジミー。そしてThe Dogs of Doomチームは発掘したカセットに混入していたLAフォーラム別の日のテイク「Kashmir」や「Over The Top」(録音できなかった曲を他の日から拝借したのでしょう)を削除した上で公開。よって完全収録ではないのですが、おかげ二枚のディスクに収まってくれた点も荒くれ録音のハードルを下げてくれている。それでもなおマニア向け音源なことに変わりない訳ですが、それでも乗りに乗ったジミーのプレイは聞き応え十分。The Forum. Inglewood, CA, USA 22nd June 1977 (UPGRADE) Disc 1 (78:23) 1. Intro 2. The Song Remains the Same 3. Sick Again 4. Nobody's Fault But Mine 5. In My Time of Dying 6. Since I've Been Loving You 7. No Quarter Disc 2 (79:49) 1. MC 2. Ten Years Gone 3. Battle of Evermore 4. Going to California 5. Black Country Woman 6. Bron-Y-Aur Stomp 7. Guitar Solo 8. Achilles Last Stand 9. Stairway to Heaven 10. Whole Lotta Love 11. Rock And Roll