今回マイク・ミラードによるキンクス1981年のシアター・ギグだけでなく、当時大きな盛り上がりを見せた1995年の来日公演からも初登場音源をリリースいたします。1993年の来日公演の大成功を受け、なおかつ当時流行していたアンプラグド風味のライブアルバム「TO THE BONE」のプロモートも兼ね、短いインターバルにて実現した95年のキンクス再来日公演。その結果、93年以上に往年のレパートリーを大量に投入されたセットリストが大きな盛り上がりを見せたおかげで、リアタイでも東京と大阪からいくつかのアイテムがリリースされています。そんな中にあってセットリストすら忘れられがちな公演と化していたのが名古屋公演。一重にアイテムはおろか、音源自体がトレーダー間に出回っていなかったことが原因かと思われるのですが、今回はそんな幻の95年名古屋公演の独自入手DATオーディエンス・マスターからリリースいたします。音源を提供してくれたのは昨年マニアを唸らせた93年の名古屋公演「NAGOYA 1993 DAT MASTER」と同じテーパー。となればオーディエンス録音のクオリティは保証されたようなものなのですが、今回の音源はちょっと歪み気味。それは録音レベルのミスではなく、何と当日の会場の出音の問題だったそう。この駄文を書かせていただいている私も当時、関東エリアでの95年キンクス来日をすべて目撃していますが、そのような問題は一切なかった。ところが、名古屋公演に参戦したマニアからは異口同音に「会場の出音が大きかった」という証言が当時から飛び交っていたものでした。中でもデイヴ・デイヴィスのギターの音量は相当なレベルだったようで、それを裏付けてくれているのが今回の初登場音源。なるほど演奏全体ではなく彼のギターの音が特に割れてしまっている。ライブ序盤はそれが顕著ですので、この点はヘッドフォンよりスピーカーから鳴らされた方が賢明かと。幸いにも彼のギターの出番が控えめとなる「Apeman」辺りからはグッと聞きやすくなる。またこの時代のキンクスのライブすべてに当てはまることなのですが、レイ・デイヴィスの一存によってその日の選曲がグルグル変わるから面白い。この日も「Apeman」に続いてデイヴが歌う「Death of a Clown」が突如始まるという展開が。同曲はツアー初日の渋谷でもレイがデイヴに曲名を振る形で歌われていましたが、この日はそんなMCすらなく、レイが弟に目配せして演奏を始めた光景が目に浮かぶかのよう。そしてこの演奏も非常に聞きやすいバランス。それにしてもデイヴは本当にギターが上手い。皮肉なことに、彼の音がクローズアップされたバランスだからこそ、デイヴの卓越したプレイがリアルに味わえてしまう。60年代のブリティッシュ・バンドのギタリストの中でも時代の移り変わりにプレイがすんなり順応できたのは彼一人だといっても過言ではなく、それが過小評価されているのもまちがいないところ。そして超ハイテンションな「David Watts」から始まるライブ後半の雪崩れ込みは壮絶。この日は95年来日公演の中でも唯一、短めな20曲程度のセットリストで終わってしまった日でもあります。それも今回の音源を聞けばあまりのハイテンションぶりに息切れしてしまったのでは…という様子さえ伺えてしまう。ましてや大阪二回公演から続く三日目ということもあったのでは。今までトレーダー間にすら出回っていなかったキンクス幻の95年名古屋公演が遂にベールを脱いだ衝撃のリリース、おまけに終盤の演奏は凄まじいばかり!Live at Club Diamond Hall, Nagoya, Japan 16th May 1995 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1 (42:36) 1. Intro 2. Do It Again 3. Till the End of the Day 4. The Hard Way 5. Low Budget 6. Sleepwalker 7. Phobia 8. Apeman 9. Death of a Clown 10. A Gallon of Gas / Welcome to the Sleazy Town Disc 2 (39:33) 1. Come Dancing 2. It's Alright (Don't Think About It) 3. Living on a Thin Line 4. Set Me Free 5. Lola 6. David Watts 7. All Day and All of the Night 8. Good Golly Miss Molly 9. Victoria 10. You Really Got Me Ray Davies - vocals, guitar, keyboards, harmonica Dave Davies - lead guitar, vocals Jim Rodford - bass, backing vocals Ian Gibbons - keyboards, piano, backing vocals Bob Henrit - drums, percussion