ビリー・シャーウッド/イゴール・コロシェフを迎え、90年最強の布陣となった1998年のYES。そのフルショウを楽しめる超・決定盤が登場です。そんな本作に記録されているのは「1998年3月31日ブダペスト公演」。そのステレオ・サウンドボード録音をDISC 1-2、マルチカメラ・プロショットをDISC 3に配した3枚組です。イゴールがYESに合流したのは1997年。『OPEN YOUR EYES』にゲスト参加し、そのままツアーにも同行。正式メンバーへと格上げされました。当時はリック・ウェイクマン不在が不安視されましたが、YESソングスを深く理解しているイゴールは、単なるテクニシャン以上の大活躍。マルチ・プレイヤーのビリーの参加もあってゴージャスに進化したアンサンブルは、史上最強とも囁かれました。そんな最強時代のライヴは公式映像『HOUSE OF YES: LIVE FROM HOUSE OF BLUES』にも残されましたが、本作はもちろん別公演。まずは「6人YES」の歩みを振り返り、ショウのポジションを確かめてみましょう。1997年 “OPEN YOUR EYES Tour”・10月17日ー12月14日:北米#1(43公演)1998年・2月26日ー4月24日:欧州#1(45公演)←★ココ★・5月7日ー28日:中南米(13公演)“30TH ANNIVERSAY Tour”・6月18日ー8月8日:北米#2(41公演)・10月8日ー14日:日本(5公演)1999年“THE LADDER Tour”・10月15日ー12月13日:北米#3(43公演)←※公式HOUSE OF YES 2000年・2月6日ー3月25日:欧州#2(31公演)《ビリー・シャーウッド離脱》これがイゴール参加からビリー離脱までの歩み。公式『HOUSE OF YES』は『THE LADDER』以降だったわけですが、本作のブダペスト公演はそれより約1年半前。「欧州#1」の28公演目にあたるコンサートでした。そんなショウは初のハンガリー公演ということもあってかプロ収録されて放送。本作は、そのベスト・マスターから起こされた3枚組なのです。そのクオリティは非常に素晴らしい。まずサウンドボード篇(DISC 1-2)ですが、これは(後述する)プロショット篇の音落としではない。90年代の東欧という事もあって詳細は分からないのですが、恐らくはFM放送なのでしょう。ミックスがプロショットと明らかに異なっており、キーボードやギター、ヴォーカルといった「上物」に焦点が当てられている。また、観客の熱狂もほとんどないミックス卓直結系でもありまして、左右にブッ飛ぶパンも超・鮮烈。複雑に絡み合うメロディを異次元感覚に味わえるサウンドボード・アルバムなのです。そして、代わってのプロショット篇(DISC 3)。こちらの音声は均整型。リズム隊も上物に負けないバランスでミックスされており、厚みのある中音域もダイナミック。サウンドボード篇(DISC 1-2)はいかにもミックス卓から無加工で録音した感じでしたが、こちらは家庭用オーディオ再生用に整えられている感じです。それ以上に注目なのが(当然)映像。デジタルでハイライトを強調したような画質は「完全オフィシャル級!」と喧伝するわけにもいかないのですが、その分ビビッドな鮮やかさもノイズレスな艶やかさも絶大。解像度さえ覚悟すれば、快適に美しくフルショウを楽しめるのです。そんなサウンドボード/プロショットで描かれるのは、最強と言われた「6人YES」のフルショウ。公式『HOUSE OF YES』とはかなり違いますので、比較しながら整理してみましょう。70年代・サード・アルバム:I've Seen All Good People(*)/Starship Trooper・こわれもの:Heart Of The Sunrise/Long Distance Runaround/Roundabout(*)・危機:Siberian Khatru/And You And I(*)・ハウのソロタイム:Mood For A Day/Diary Of A Man Who Disappeared/Clap・その他:America/The Revealing Science Of God/Wonderous Stories それ以降 ・オープン・ユア・アイズ:Open Your Eyes/From the Balcony・その他:Owner Of A Lonely Heart(*)/Whitefish/Rhythm Of Love ※注:「*」印は公式作『HOUSE OF YES』と被る曲。……と、このようになっています。普段であれば、被っていないレア曲に「★」印を付けるところですが、今回は被っている曲が5つしかない。ツアーが異なるために変化を付けたのでしょうが、おかげで本作も『HOUSE OF YES』に馴染みまくった耳にも極めて新鮮に響くのです。2000年春にはビリーが、夏にはイゴールがYESを離脱。最強の演奏力を誇った「6人YES」は終了しました。歴史に名高い「8人YES」はメンツこそ豪華ではあってもアンサンブル的には散漫でもありましたが、「6人YES」は違った。シンフォニックなプログレッシヴ・ロックに絞り、知名度やスター性も度外視でひたすら「音楽」だけにフォーカスした時代でした。本作は、その重厚アンサンブルをサウンドボード/プロショットで楽しめる決定盤なのです。公式『HOUSE OF YES』の続編としても極めて新鮮な3枚組。「1998年3月31日ブダペスト公演」のステレオ・サウンドボード録音をDISC 1-2、マルチカメラ・プロショットをDISC 3に配した3枚組。サウンドボード篇(DISC 1-2)はプロショット音声と別ミックスの卓直結系で、キーボードやギター、ヴォーカルといった「上物」が鮮やかに絡み合う。プロショット篇(DISC 3)はバランスの整ったリッチ・サウンドで、映像もビビッドでノイズレス。シャーウッド/コロシェフが揃いつつ、公式『HOUSE OF YES』とは5曲しか被らないフルショウが楽しめる大決定盤です。 Budapest Sportcsarnok, Budapest, Hungary 31st March 1998 STEREO SBD/PRO-SHOT Disc 1 1. Excerpt from "Firebird Suite" 2. Siberian Khatru 3. Rhythm of Love 4. America 5. Open Your Eyes 6. And You and I 7. Heart of the Sunrise 8. Mood for a Day 9. Diary of a Man Who Disappeared 10. Clap 11. From the Balcony 12. Wonderous Stories Disc 2(73:50) 1. Igor Khorochev Solo 2. Long Distance runaround 3. Whitefish 4. Owner of a Lonely Heart 5. The Revealing Science of God 6. I've Seen All Good People 7. Roundabout 8. Starship Trooper STEREO SOUNDBOARD RECORDING DVD(154:51) 1. Excerpt from "Firebird Suite" 2. Siberian Khatru 3. Rhythm of Love 4. America 5. Open Your Eyes 6. And You and I 7. Heart of the Sunrise 8. Mood for a Day 9. Diary of a Man Who Disappeared 10. Clap 11. From the Balcony 12. Wonderous Stories 13. Igor Khorochev Solo 14. Long Distance Runaround 15. Whitefish 16. Owner of a Lonely Heart 17. The Revealing Science of God 18. I've Seen All Good People 19. Roundabout 20. Starship Trooper PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.155min. Jon Anderson - Vocal Steve Howe - Guitar Billy Sherwood - Guitar Chris Squire - Bass Alan White - Drums Igor Khoroshev - Keyboards