世界中が待望していたザ・フーのツアー再開からのファースト・リリースは5公演めであったオースティンでのショーを収録した「AUSTIN 2022」となりましたが、今回は8公演めにしてオースティンから一週間後に行われたオクラホマ公演をリリース!まず何と言っても音質が抜群。ということは「AUSTIN 2022」をも軽く上回るクオリティであり、その音像の迫力だけでも圧倒されること間違いなし。もちろん「AUSTIN 2022」も素晴らしい音質であった訳ですが、今回はいよいよ見事なクオリティの極上オーディエンス。それだけでも世界中のマニアから注目を浴びるであろうリリースであることは間違いなく、今回のツアーの目玉であるオーケストラとの絡みも実にリアルに捉えられている。2022年のザ・フーが目指したサウンドがこれだったのですね。そんな音質の素晴らしさもさることながら、さらに圧巻なのが演奏内容。オースティンではまだエンジン全開と言えない箇所が少なからずあった訳ですが、それから一週間が経過したオクラホマでは正にエンジン全開。そもそもオープニングでピートが観客をハイテンションに煽っており、そこだけでもオースティンとは段違いな勢いが。そこから始まる「TOMMY」パートの演奏がまた実に力強く、なおかつオーケストラもいい感じになじんでいる。それどころかピートはオープニングだけでなく、ライブを通して非常にゴキゲンかつ饒舌なのもオースティンとは段違い。逆に言えばオースティンはまだ慎重さを残した演奏ぶりの貴重な記録だとも言えるかと。とどめはオースティンでは演奏されなかった「Relay」。元々こんかいのツアーはライブ中盤を迎えるとオーケストラが引っ込んでバンド・オンリーかつ日替わりで古の名曲を演奏するパートがありますが、そこでツアー開始後初めての「Relay」が演奏されたのがこの日でした。その演奏が非常にハイテンションで、それこそ往年のザ・フーそのものと言えるような素晴らしさ。なるほどツアー前半では披露できなかったであろう、エンジン全開となった今だからこそ演奏できたナンバーなのでしょう。この曲のタイトでハイテンションな演奏だけでもロジャーやピートがいかに絶好調であり、ツアー前半の手探り状態を卒業したことが実感できる名演なのです。それ故に勢い余って「Won't Get Fooled Again」のエンディングでは歌詞を間違えそうになるも、ここでのロジャーはごまかし方が上手(笑)さすがは百戦錬磨のシンガー。そしてライブ前半が静、あるいはなめらかな「TOMMY」パートから幕を開け、後半が骨太な「QUADROPHENIA」パートの対比がお見事。何しろロジャーとピートがエンジン全開な上、彼らを支えるザック・スターキーのドラムも彼らとオーケストラを相手に三位一体の盛り上がりを見せる。高齢な二人による今回のツアーが遂にここまでの完成度へと到達してくれたことに感動せずにはいられませんし、極上オーディエンスならではのドキュメント力がさらに演奏の充実ぶりをリアルに伝えてくれる。Paycom Center, Oklahoma City, OK, USA 10th May 2022 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND Disc 1 (63:45) 1. Intro 2. Overture 3. 1921 4. Amazing Journey 5. Sparks 6. Pinball Wizard 7. We're Not Gonna Take It 8. Who Are You 9. Eminence Front 10. Ball and Chain 11. Join Together 12. The Seeker Disc 2 (69:09) 1. You Better You Bet 2. Relay 3. Won't Get Fooled Again 4. Behind Blue Eyes 5. The Real Me 6. I'm One 7. 5:15 8. The Rock 9. Love, Reign O'er Me 10. Band Intro 11. Baba O'Riley