単なるジャズ・ヴォーカリストというより、北欧ノルウェーが産んだ偉大なるアーティスト、カーリン・クローグが、錚々たる共演者を従えた母国ノルウェーに於ける1967年、1969年、1972年、1988年の稀少なパフォーマンスを、全てレーベル独自の丁寧なマスタリングを施した極上高音質サウンドボードにて1時間半に渡り収録した2枚組が入荷しました!先は1967年の、サックスの若きヤン・ガルバレク、ベースのニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセン、ドラムスのヨン・クリステンセンを擁するピアノのケニー・ドリュー・カルテットをバックに、カーリンが「オールド・フォークス」「サニー」「キャラヴァン」等のスタンダード・ナンバーを唄う歌声が初々しくも、その解釈において既に独自のセンスを生み出しているところに非凡なものを感じさせる。またいたって平凡なガルバレクに比べ、テクニカルで圧倒的な演奏で全体を引っ張ていくペデルセンのベースは聴きものです!1969年のライヴは、何とカーリンとベースのレッド・ミッチェルとの2人だけのデュオで「アローン・トゥゲザー」「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」他4曲を披露しており、アメリカ人で当時最高峰のテクニシャンといわれながら1968年にストックホルムに移住した全盛期のミッチェルの素晴らしいベースが万華鏡の如く変幻自在に動き回るなか、2年前に比べ著しい成長を遂げたカーリンが臆する事なくミッチェルと対等に渡り合い、後のフリー・ヴォーカリゼイションを彷彿とさせる場面など緊張感溢れる興味深い演奏が聴けます!70年代に入ると、カーリンも世の中の動きに連動してエレクトリック路線に突入していく。その時代を象徴するような1972年のライヴは、カーリンが最早単なるヴォーカリストの域を脱し、声にエコーを掛けたりスキャットを多様しながら実験的でプログレッシヴなアプローチをする前奏から曲に入ると一転、ロイ・ヘルヴィンによるローズ・エレピが朗々と漂うレア・グルーヴ/ヨーロッパ・グルーヴ・ファン狂喜する気持ち良すぎるグルーヴィーな展開にカーリンの歌が乗る最高のナンバーが登場!さらに別メンバーでの1972年のパフォーマンスがもう1曲収録されており、こちらは67年とは別人なガルバレク、相変わらず安定感抜群の北欧最強ドラマーのクリステンセン、さらにガルバレクとクリステンセンとテリエ・リピダルと共に北欧ビッグ4と呼ばれる内の1人となるベースのアリルド・アンデルセンを中心に構成された9人編成のバンドが、当時のエレクトリック・マイルスやウェザー・リポートのようにロックやフリー(スピリチュアル)からクラシック(現代音楽)などの要素まで貪欲に取り入れた真のプログレッシヴ・ミュージックを奏で、そこに楽器の一部と化したカーリンのヴォーカリゼイションが加わり、20分に渡りまるでこの世のものとは思えないような幻想的な世界が広がる、この2枚組の中で最も興味深い演奏を聴かせてくれる!ECMファン、プログレッシヴ(ユーロ)・ロック・ファンも聴き逃し厳禁で御座います!最後は、1988年にノルウェー・ラジオ・オーケストラをバックにカーリンがクルト・ワイルの「セプテンバー・ソング」「スピーク・ロウ」など儚くも美しい4曲を、円熟の境地に達した歌の美味さも半端ない感情をストレートに表現した感動的な名唱が心に染みる名ライヴをご堪能下さい!単なるヴォーカリストを超えた、類い稀なる才能を持つ北欧の至宝カーリン・クローグ(公私共にパートナーはジョン・サーマン)の最初期から過渡期、円熟期とあらゆる角度から楽しめる決定版です!!!