前作に引き続きボトムライン公演が登場!と言いつつも、前作が1975年だったのに対しこちらは1974年。つまり、前作が『アガルタ』『パンゲア』だったのに対しこちらは『ダーク・メイガス』というわけです。一番わかりやすく何が違うかと言うとギター編成が違います。1974年バンドにはなんとドミニク・ガモー(ゴーモンやガーモント等表記有り)というギタリストが加入しておりトリプル・ギターなのです。1975年になると再びピート・コージーとレジー・ルーカスのツイン・ギター編成に戻るためトリプル・ギターはやや実験的要素だったのかもしれませんが、そもそもマイルス・バンドは数々の名手達が入れ替わりながら実験を積みあげてきた巨人、各年各月毎にそれぞれの色があり1974年と言えばまずドミニク・ガモー在籍という事なのです。ちなみに『ダーク・メイガス』に収録されているのは3月30日のカーネギー・ホールでのコンサートで、そこから半年以上たっているため翌年の“アガ・パン”の気配も漂ってきています。オーディエンス音源ですが、迫力がありかなり良好音質の部類です。やや籠りがちだった音色はリマスタリングによりブラッシュ・アップ。残念ながら部分的に方チャンネルにノイズが入る個所があったり、それを回避すべくモノラル処理されてている個所もあります。しかし、この演奏の前にそれらは小さな問題点に過ぎません。『ダーク・メイガス』と聴き比べもしましたが、もちろん音の解像度こそ遠く及ばないものの大音量で聴く『FUNK [PRELUDE Part 1]』など迫力は『ダーク・メイガス』を凌駕するもの。『ダーク・メイガス』時には演奏されていない『HIP SKIP』や『WHAT THEY DO』もセットに加わっており、『ダーク・メイガス』のその後として、『アガルタ』『パンゲア』の直前として君臨するコンサートがこの『アット・ボトムライン・74』です。DISC 1 // First Set 01. MTUME 02. FUNK [PRELUDE Part 1] 03. MAIYSHA DISC 2 // Second Set 01. Band Warming Up 02. TURNAROUNDPHRASE 03. TUNE IN 5 04. HIP SKIP 05. WHAT THEY DO Miles Davis - trumpet, organ Sonny Fortune - soprano saxophone, flute Pete Cosey - guitar Reggie Lucas - guitar Dominique Gaumont - guitar Michael Henderson - electric bass Al Foster - drums James Mtume Forman - conga, percussion Recorded Live at Bottom Line Club, New York City, NY, November 18, 1974 Original Remastered by VDD 2022.