ZEPやピンク・フロイドと同じく、ニール・ヤング&クレイジー・ホースもまた絶頂期に初来日公演を実現させてくれました。それだけではありません、全公演に良質なオーディエンス録音が存在するという恵まれた環境がその素晴らしい演奏をあますことなく伝えてくれたのです。そんな中でもツアー前半である大阪公演から生み出された名盤が「OSAKA 1976 2ND NIGHT」と「OSAKA 1976 3RD NIGHT」であり、現在も大好評発売中なのはご承知かと。こうして初来日公演の関西音源がリリースされると、次に当然ながら求められるのはツアー後半の武道館。ニール&クレイジー・ホースの初来日公演は東京より大阪の方で公演数が多いという変わったスケジュールで行われていました。そんな中で行われた武道館二回の公演ですが、特に初日に関しては初来日公演の中でも最も音像が近いオーディエンス録音が存在することからトレーダー間ではおなじみの存在でした。今から十年以上前には晴れて「WE LOVE YOU」というアイテムもリリースされたのですが、この音源は音質が素晴らしい反面ピッチが高めという持病を抱えており、同タイトルではおざなりなままだったのです。また今から十年以上前のリリースということもあり、かなり派手…どころかキンキン、カリカリな状態のイコライズが施されていたというのも事実。しかし今回は新たに提供されたロージェネレーション・カセットを元に最新技術を駆使しつつ、それで元の音源が持つ質感を損なわないよう丁寧な収録を心掛けた結果、既発盤とは比べ物にならないほどナチュラルな状態へと生まれ変わった聞き心地でニール&クレイジー・ホースの武道館初日を楽しんでもらえるようになったのです。言うまでもないことですがピッチもしっかりアジャスト。今回のオーディエンス録音はその音像が近いが故にクレイジー・ホースとのバンドセットになると演奏の迫力がマシマシとなる訳ですが、既発盤では演奏が進むにつれてそれこそ耳に刺さるような状態となってしまっていた。しかし今回はそうした不自然さに苛まれることもなく、ニール&クレイジー・ホースの爆裂演奏を実にナチュラルな状態で楽しんでもらえる点が大きなアドバンテージとなっています。実際に「Like A Harricane」や「Drive Back」辺りで聞いてもらえば既発盤との差は歴然。さらにこの音源の偉大なところは、ライブ前半におけるニール弾き語りパートまでも見事な音圧で捉えてくれている。彼のようなアコースティックとエレクトリックが混在したステージですと、録音した際に出音の差が極端になりやすい。その点においても本音源は卓越した録音状態であり、だからこそ正確なピッチかつナチュラルな状態で収録されるのが必須な音源だったのでは。それにしてもニール&クレイジー・ホースの初来日公演は新曲「Like A~」を引っ提げて行われた76年最初のツアーであったという絶好のタイミングが重なり、どの日も演奏が澱みなく推移しています。本当に名演しかないという究極の絶頂期。繰り返してきましたように本音源はそんな中でも抜群の音像を誇るオーディエンス録音ですので、クレイジー・ホースとのセットにおける爆裂ぶりが手に取るように伝わってくる。よってこの日も「Like A~」は最高の演奏が聞かれるのですが、本音源を聞けば解るように日本在住のアメリカ人が多数押し寄せた日でもあった。それがただでさえ最高のコンディションにあったニール達をリラックスさせる結果につながったのかもしれません。そして一昨年にリリースされた「NEIL YOUNG ARCHIVES VOL.2」に収録された「ODEON BUDOKAN」ディスクにもこちらの日からいくつかの演奏が採用されていますが、「Drive Back」では二回目のギターソロが1分近く短くカットするという余計なお世話編集が施されていた事実が今回の音源を聞くとよく解ります。より演奏の長い「Cortez The Killer」にそうした処理が施されなかったのは不幸中の幸いといえますが、晴れて武道館のテイクがオフィシャル・リリースされたというに、そのような短縮が施されてしまったのが痛い。皮肉なことに、そうした処理のせいでオーディエンス録音の価値ががっつり残されてしまっただけでなく、そもそも「ODEON BUDOKAN」ディスクはライブ完全収録から程遠い内容でもあった。なおかつオーディエンス録音最大の長所である、武道館当日の空気をたっぷりと吸い込んだ生々しさがさらに伝説の名演を余すことなく伝えてくれる。それは「Like A~」だけでなく「Down By The River」の演奏も同様。そんな初来日公演で最高の音質を誇る音源をナチュラルかつ正確なピッチで心ゆくまでお楽しみください!Live at Budokan, Tokyo, Japan 10th March 1976 ULTIMATE SOUND★過去最高の音質です。1976年 JAPAN TOUR 3月3日・愛知県体育館 3月4日-3月6日・フェスティバルホール 3月8日・九電記念体育館 3月10日-3月11日・日本武道館 Disc 1 (30:35) 1. Tell Me Why 2. Mellow My Mind 3. After the Gold Rush 4. Too Far Gone 5. Only Love Can Break Your Heart 6. A Man Needs a Maid 7. No One Seems to Know 8. Heart of Gold Disc 2 (59:02) 1. Country Home 2. Don't Cry No Tears 3. Down by the River 4. Lotta Love 5. Like a Hurricane 6. The Losing End 7. Drive Back 8. Southern Man 9. Cortez the Killer 10. Cinnamon Girl Neil Young - Vocals, Guitar Frank Sampedro - Guitar, Keyboards, Vocals Billy Talbot - Bass, Vocals Ralph Molina - Drums, Vocals