春の日程を大成功の内に終わらせたザ・フー「HITS BACK!」ツアーの2022年後半日程が10月からスタート。現在も各地で激賞されながらツアーが続いていますが、機動力を生かした最速リリースにて11月の最新ステージの模様がさっそく登場。こうして11月1日に公演が行われたのは、あのハリウッド・ボウル。ビートルズを始めとしてそうそうたるアーティストがステージに上がった由緒ある会場にフーが見参となれば、それだけで期待が高まるというもの。今回のツアーもセットリストは基本的に春の構成を引き継いでいるのですが、10月のツアー開始時には演奏されていた「Join Together」が姿を消し、代わりに「Naked Eye」が毎晩のレギュラーとして導入されました。そんな最新ステージの音源は素晴らしい音質のオーディエンス録音。ライブ序盤のショート「TOMMY」セットは会場の出音の関係か若干距離感を感じるレベルなのですが「Who Are You」辺りから一気に音像がクローズになって迫力十分。もっとも近作に冷淡なアメリカのオーディエンスらしく「Ball And Chain」になると周囲のお喋りが気になる個所が散見されてしまうのですが、幸いにも深刻なストレスにまでは及ばず、すぐに収まってくれます。何より春のツアーをこなした後ですので演奏が絶好調。バンド全体がそうした経験を積んで鍛え上げられたことも本録音から手に取るように伝わってくるほど。それこそ先の「Naked」や「The Seeker」などの演奏に至っては、70年代の絶頂期にタイムスリップしたのではないか?と錯覚しそうになるレベルのアツい演奏が聞かれる。「HITS BACK!」ツアー休止中でもソロ・ツアーを行っていたロジャーは全編を通してハイテンションに歌い上げてくれており、彼が「The Seeker」を終えたところで思わず「perfect night!」と叫んだ場面は聞いているこっちまで嬉しくなる。ロジャー自身がこの日のステージに満足している様子が伺えます。このネクスト・レベルに到達せんばかりの演奏がゆえ、「TOMMY」セットの「We're Not Gonna Take It」を始める際にイントロがオーケストラと噛み合わずにやり直したり、あるいは「Won't Get Fooled Again」のエンディングでピートが構成を間違えそうになるといったハプニングもみられるのですが、それらのどれからも焦りは感じられず、むしろ勢い余った感が実に微笑ましい。このように春のレグと比べても明らかに勢いマシマシかつ演奏の力強さが見事に進化している様子がはっきり伝わってくるザ・フーの最新ステージ。しかもハリウッド・ボウルという名会場にて熱演を繰り広げる極上オーディエンスときた。ロジャーが発したパーフェクトな一夜を実感できる最速ライブ音源のリリースで歩みを止めないザ・フーの「今」を体感してください。とにかく由緒ある会場でバンドがイキイキとしていて演奏がイイ!Hollywood Bowl, Los Angeles, CA, USA 1st November 2022 TRULY PERFECT SOUND Disc 1(71:48)WITH ORCHESTRA 01. Intro 02. Overture 03. 1921 04. Amazing Journey 05. Sparks 06. Pinball Wizard 07. We're Not Gonna Take It 08. MC 09. Who Are You 10. MC 11. Eminence Front 12. MC 13. Ball and Chain 14. MC BAND ONLY 15. You Better, You Bet 16. MC 17. The Seeker 18. MC 19. Naked Eye Disc 2(62:03) 1. MC 2. Another Tricky Day 3. Won't Get Fooled Again 4. MC 5. Behind Blue Eyes WITH ORCHESTRA 6. MC 7. The Real Me 8. I'm One 9. 5:15 10. The Rock 11. Love Reign O'er Me 12. MC 13. Baba O' Riley 14. Outro