デビュー作『そよ風の贈りもの』が全世界を席巻し、そのまま初来日まで果たした1986年のホイットニー・ヒューストン。その伝説の現場を永久保存する衝撃のオリジナル録音が初登場です。そんな本作に刻まれているのは「1986年11月12日:日本武道館」公演。その極上オーディエンス録音です。「初来日の武道館」と言えば、定番のFM放送サウンドボードもありますが、本作はまったくの別公演。その状況を整理するためにも、まずは記念碑的な初来日のスケジュールから振り返ってみましょう。・11月4日:大阪フェスティバルホール・11月5日:大阪城ホール・11月6日:愛知県体育館・11月8日:横浜文化体育館・11月10日:日本武道館 ←※FM放送?・11月11日:日本武道館 ←※FM放送?・11月12日:日本武道館 ←★本作★ 以上、全7公演。ハイライトはラストに配された日本武道館の3日連続公演だったわけですが、本作が記録されたのはその最終公演。有名なFM放送は詳しい日付までは確定していないようですが、本作とは歌声もMCも異なる別日でした。そんな千秋楽を真空パックした本作は、あまりにも瑞々しく晴れ渡るクリアさに目も醒める美録音。とにかくクリスタル・クリアに透き通った空気感が素晴らしく、そのド真ん中を貫いて来る演奏も歌声も輪郭までクッキリ鮮やか。歌詞の一語一語どころか、音節毎のニュアンスまではっきりと分かり、コーラス隊がぶ厚く付き従っても決して混じり合わないセパレート感も絶大です。音色的にサウンドボードと間違えたりはしませんが、かと言ってスカスカ感がなく、距離も感じない。チャーチ・オルガンのようにホール鳴りが厚みと荘厳な美しさに転化する「オーディエンスならではの美」を理想的に味わわせてくれる。あのFM放送と同等……いや、それ以上にナチュラルで美しい奇跡の記録なのです。それだけのサウンドなのも理由がある。実は、本作を手掛けたのは日本録音史の伝説的な名手。その手腕は名門キニー以上とも言われ、80年代を中心にエリック・クラプトンやジェフ・ベック、ミック・ジャガー、ストーンズ、ポール・マッカートニー等々、数々の歴史的な超名録音を大量に残した日本オーディエンス史上の大作家なのです。そして日本武道館こそ、その達人の十八番となる会場。そのコレクションは膨大でもあるのですが、本稿に目を留められた方にピンと来そうなのはシンディ・ローパーの名盤『BUDOKAN 1986 2ND NIGHT』でしょうか。本作が録音されたのは、あの大傑作の2ヶ月後。まさにあの大名盤のホイットニー・ヒューストン篇でもある。本作は、そんな達人コレクションの大元カセットからダイレクトにデジタル化された銘品中の銘品。奇跡的な美しさも瑞々しさも、実は当たり前なのです。そんな美のサウンドで描かれるのは、日本洋楽史に語り継がれるホイットニー・ヒューストンの初来日。何度も引き合いに出しているFM放送は抜粋編集でしたが、本作は一気貫通のフル録音。放送サウンドボードでは聴けなかった名曲もたっぷり披露されています。その記念碑的セットも比較しながら整理しておきましょう。そよ風の贈りもの(9曲) ・You Give Good Love/Hold Me/How Will I Know/Take Good Care Of My Heart/Nobody Loves Me Like You Do/Saving All My Love For You/Someone For Me(★)/All At Once(★)/Greatest Love Of All その他(6曲)・カバー:Wanna Be Startin' Somethin'/I Am Changing(★)/Heart To Heart(★)/He/I Believe(★)・その他:Eternal Love/I Wanna Dance With Somebody (Who Loves Me) ※注:「★」印はFM放送では聴けなかった曲。……と、このようになっています。そのショウは「生演奏版のそよ風の贈りもの+α」。デビュー・アルバムから「Thinking About You」以外の全曲が披露され、まだ未発表だった「I Wanna Dance With Somebody (Who Loves Me)」やポール・ジャバラのアルバムで歌った「Eternal Love」などが散りばめられている。さらに美味しいのが数々のカバー。開演からマイケル・ジャクソンの「Wanna Be Startin' Somethin'」が飛び出し、その後もジェニファー・ホリデーの「I Am Changing」、ケニー・ロギンスの「Heart To Heart」、シシー・ヒューストンの「He/I Believe」とステージだからこその名曲群がたっぷりと楽しめるのです。また、そんなカバー・タイムの冒頭に起きたドキュメントも必聴。「Someone for Me」を歌い終えたホイットニーが2階席から大声で話しかけてきた外人客(フレディ?)と話し始めるのです。フレディの声はよく聴き取れませんが、会場中が爆笑に包まれ、何とフレディがアリーナ席に降りてくる。その間、バンドとホィットニーが即興演奏で繋いでいるのです。この間、約8分。様々なバンド/アーティストの無数の記録を扱ってきましたが、こんな珍事は聴いたことがありません。サウンド・クオリティ面でも収録曲面でも、そしてドキュメント面でも。すべてにおいて初来日の象徴でもあったFM放送さえ超える衝撃の初登場ライヴアルバムです。伝説名手コレクションにはどれだけの秘宝が眠っているのか……その可能性にさえ畏怖を覚える超極上の文化遺産アルバム。初来日の最終日「1986年11月12日:日本武道館」公演の極上オーディエンス録音。伝説的名手の初公開カセットから起こされた銘品で、あまりにも瑞々しく晴れ渡るクリアさに目も醒める。クリスタル・クリアに透き通った空気感が素晴らしく、そのド真ん中を貫いて来る演奏も歌声も輪郭までクッキリ鮮やか。「オーディエンスならではの美」を極めた絶世の美録音です。FM放送とも異なるフルショウを極上体験できる文化遺産アルバムです。Live at Budokan, Tokyo, Japan 12th November 1986 ULTIMATE SOUND(from Original Masters)★驚異の録音。奇跡の超高音質。 Disc 1 (78:02) 1. Intro 2. Wanna Be Startin' Somethin 3. Eternal Love 4. You Give Good Love 5. Hold Me 6. How Will I Know 7. Take Good Care of My Heart 8. Nobody Loves Me Like You Do 9. Saving All My Love for You 10. Someone for Me 11. Talk with Freddie / Improvisation ★ 途中で2階席にいた外人客とホイットニーとのやりとりがあり、外人がアリーナ席に降りてくる。その間、バンドとホィットニーが即興演奏。観客も盛り上がっている非常に珍しいドキュメント。 12. I Am Changing Disc 2 (38:49) 1. Heart to Heart 2. All at Once 3. I Wanna Dance With Somebody (Who Loves Me) 4. He/I Believe 5. MC 6. The Greatest Love of All