天才ギタリスト:ジェイク・E・リーの才能が完全開花した大名盤『罪と罰』を大ヒットさせ、名実共にシーンの重鎮に君臨した1986年のオジー・オズボーン。彼のキャリアでも特別感に溢れていたツアーを現場体験できるライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1986年9月20日キングストン公演」。“THE ULTIMATE SIN Tour”の一幕で記録された絶品オーディエンス録音です。“THE ULTIMATE SIN Tour”はいろいろな意味で「特別」でした。アルバムの大ヒットを受けてオジーのソロ・キャリアでもっとも新曲が多く取り上げられ、一切メンバー・チェンジが起きなかったのも初。トミー・アルドリッジやドン・エイリーのように何度も出入りしてきた古株達の姿もなく、「生まれ変わったオジー」を全世界に見せつけたのです。当店では、“THE ULTIMATE SIN Tour”を様々な傑作群でアーカイヴしてきました。良い機会でもありますので、各レッグの代表作と共にツアーの全体像を振り返ってみましょう。1986年・2月6日ー3月4日:英国(20公演)←※THE ULTIMATE BLITZ《2月22日『罪と罰』発売》・3月27日ー5月20日:北米#1(37公演)←※KANSAS CITY 1986 COMPLETE・5月24日ー6月2日:日本(7公演)←※ULTIMATE BUDOKAN・6月10日ー8月3日:北米#2(30公演)・8月16日ー31日:欧州(MOR4公演)←※MONSTERS OF ROCK 1986・9月5日ー10月12日:北米#3(25公演)←★ココ★1987年・2月23日:ロサンゼルス(ジェイク最終公演)※注:各レッグとも代表作のみ。 これが『罪と罰』にまつわる活動全像。サウンドボード絶対盤『KANSAS CITY 1986 COMPLETE』を筆頭に『THE ULTIMATE BLITZ』『MONSTERS OF ROCK 1986』など、錚々たる名作が並んでいるわけですが、本作のキングストン公演はそのどれよりも後期にあたる「北米#3」の12公演目。このレッグには名盤『ULTIMATE LIVE IN PHILADELPHIA』もありますが、その「次」のコンサートでした。上記の通り、「北米#2」はワールド・ツアーの最終レッグでもあり、ジェイク時代の終焉までカウントダウン状態に入ったタイミングでもありました。ジェイク時代の末期を真空パックした本作は、胸のすくクリア・サウンド。音色的にサウンドボードと間違えたりはしませんが、ディテールの細やかさはオーディエンス離れしている。とにかく細部の微細部までくっきりとしていて、各楽器のセパレート感も絶大。特に強烈なのはヴォーカルとギター。オジーの歌声は歌詞の一語一語まではっきりと聴き取れ、オンな芯には距離感などまるでない。そのヴォーカルにも負けないギターもえらく鮮明で、引っ掻くようなピッキング・ニュアンスの1つひとつやアーミング代わりに弦を引っぱるジェイク・フェイクも引き具合まで目に浮かぶほどクッキリと画かれるのです。そんなビビッド・サウンドで画かれるのは、華やかなりしジェイク時代の最後期となるフルショウ。前述の通り“THE ULTIMATE SIN Tour”はジェイク作曲のオリジナルがたっぷり楽しめるのもポイント。その内容も整理しておきましょう。ジェイク・E・リー時代(5曲)・月に吠える:Bark At The Moon・罪と罰:Shot In The Dark/Killer Of Giants/Thank God For The Bomb(★)/Secret Loser(★)その他(7曲)・ランディ時代:Suicide Solution/Mr. Crowley/I Don't Know/Flying High Again/Crazy Train・サバス時代:Iron Man/Paranoid ※注:「★」印はこのツアーだけの限定曲。……と、このようになっています。実のところ、ツアーが進むほどに新曲は減っており、本作では「Never」「Never Know Why」「The Ultimate Sin」がセット落ち。それでもなお4曲もの新曲が演奏されており、「Thank God For The Bomb」「Secret Loser」といったツアー限定曲も楽しめます。そして、そんなセットを綴るパフォーマンスが素晴らしい。この頃のオジーはショウ毎の好不調の波が激しいのですが、本作はかなりの好調。ツアー終盤ならボロボロでもおかしくないのですが、疲れを感じさせないヴォーカリゼーションは淀みなく、音のハズしもほとんどない。そもそもオジーの好不調は疲れではなく、当日の酒量の差なのかも知れません。また、その相棒を務めているジェイクも絶好調。ジェイクはいつでも安定してはいますが、この日はキレも遊び心も満載。猛烈な勢いのピッキングも1つひとつニュアンスを変えながら速射していますし、ジェイク・フェイクもいつになくクレイジーに軋ませている。本作は、その機微もしっかりと分かるほどのサウンドでもあるわけです。LA人脈らしいジェイクのセンスが爆発し、「他のどの時代とも異なるオジー」を聴かせてくれる“THE ULTIMATE SIN Tour”。本作は、時代を経るほどに再評価が高まるレア・ツアーを克明に現場体験できる新名盤。「1986年9月20日キングストン公演」の絶品オーディエンス録音。胸のすくクリア・サウンドで、客録離れしたディテールの細やかさが素晴らしい。とにかく細部の微細部までくっきりとしていて、各楽器のセパレート感も絶大。ヴォーカルは歌詞の一語一語まではっきりと聴き取れ、ギターは引っ掻くようなピッキング・ニュアンスの1つひとつやアーミング代わりに弦を引っぱるジェイク・フェイクも引き具合まで目に浮かぶほどクッキリ。ジェイクの才能が爆発したTHE ULTIMATE SIN Tourの現場を極上フル体験できます。Live at Kingston Fairgrounds, Kingston, NH, USA 20th September 1986 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND (74:57) 1. Intro 2. Carl Orff "Carmina Burana" 3. Bark at the Moon 4. Suicide Solution 5. Mr. Crowley 6. Shot in the Dark 7. I Don't Know 8. Killer of Giants 9. Guitar Solo 10. Thank God for the Bomb 11. Flying High Again 12. Band Introductions 13. Secret Loser 14. Drum Solo 15. Secret Loser (reprise) 16. Iron Man 17. Crazy Train 18. Paranoid Ozzy Osbourne - Vocals Jake E. Lee - Guitar Phil Soussan - Bass Randy Castillo - Drums John Sinclair - keyboards