1968年ぐらいまでステレオとモノラル両方のミックスがアルバムで用意されていたロック界。ビートルズやディランらはデジタルでもしっかりモノ・ミックスが網羅されるようになったご時世ですが、同じように60年代のビッグネームでありながら、アルバムのモノ・ミックスが放置プレーされて久しいのがサイモン&ガーファンクル。彼らもまた68年まではステレオとモノがアルバムで共存していたのですが、ステレオ全盛となった1969年にはモノラルのアルバムが廃盤扱いとなってしまいます。そうした中で文字通り有終の美を飾ったラスト・アルバム「明日に架ける橋」がステレオ・オンリーでリリースされるに至り、彼らのモノ・アルバムは完全に忘れ去られたのでした。それだけならまだしも、例えば同じコロンビア・レーベルの盟友ディランやバーズなどは21世紀に入ってモノ・アルバムがCDだけでなくLPまで再発されたというのに、S&Gはそうした動きがまったくない。彼らほどのビッグネームのモノ再発が一切実現していないとは驚きを禁じえません。文字通り見過ごされているS&Gのモノ・アルバム。そのデジタル化に真っ向から向き合ってくれたのがご存じProf Stoned。彼はUSオリジナル・モノLPを果敢にもトランスファーしてくれたのですが、その仕上がりは完璧。今回はS&Gのモノ・アルバムから「SOUNDS OF SILENCE」から「BOOKENDS」にかけての絶頂期名盤をリリースいたします。日本やイギリスと比べて消耗品扱いされがちなアメリカのビンテージLPからクリアーなトランファーを実現させるのは至難の業といえ、なおさら彼の見事な仕事ぶりに圧倒させられることかと。そして60年代アーティストの例に漏れず、S&Gのアルバムもモノとステレオでミックスに大きな違いが生まれています。本アルバムもミックス違いの宝庫なのですが、何と言っても驚かされるのは稀代の名曲「The Sound Of Silence」の現行ステレオCDとはまるで違った深いエコーの加えられたミックスにびっくり。いかにも60年代らしい仕上がりと言えるでしょう。ステレオよりはるかにぶっとい音が衝撃的な「Somewhere They Can't Find Me」と「We've Got A Groovy Thing Goin」はモノラルの迫力が全開ですし「Richard Cory」はサイモンのボーカルがダブルトラック。さらにアルバムを締めくくる「I Am A Rock」は同じモノラルでもアルバムのファーストプレスとセカンドプレス以降でミックスにはっきりとした違いがあるのですが、Prof Stonedはそこまで網羅。ファーストプレスのミックスはサイモンの歌い出しにエコーがなく、何とも生々しい質感が魅力的なのですが、このミックスの収録は手違いだったと思われ、セカンドプレスから歌い出しにエコーが加えられたミックスへと差し替えられたのでした。そうしたステレオとの分かりやすい違いだけでなく、Prof Stonedによるあまりにクリーンな収録状態がとにかく素晴らしい。例えば「木の葉は緑」の鈴の音が歪まずに捉えられているところなど、その最たる例では。今時ビンテージLPで手に入れたとしてしても、これほどまでクリアーに再生するのは非常に難しく、彼の卓越したトランスファー能力に?然とさせられる思いです。S&Gどころか1960年代を代表する名曲の一つである「The Sound Of Silence」の別ミックスがオープニングから炸裂する名盤のモノ・バージョン。そのあまりに貴重なミックスが手軽かつクリーンに再生出来てしまう衝撃のリリース!SIMON & GARFUNKEL - SOUNDS OF SILENCE US MONO(1CD) (32:29) 1. The Sound of Silence 2. Leaves That Are Green 3. Blessed 4. Kathy's Song 5. Somewhere They Can't Find Me 6. Angie (Anji) 7. Richard Cory 8. A Most Peculiar Man 9. April Come She Will 10. We've Got a Groovy Thing Goin' 11. I Am a Rock Bonus 12. I Am a Rock(US Single Verion, Mono)