大名盤『DEMONS AND WIZARDS』『THE MAGICIAN'S BIRTHDAY』を畳みかけ、絶頂の真っ直中にいた1972年のURIAH HEEP。その現場をフル体験できる驚異のオリジナル・リールがリリース決定です。そんな本作に刻まれているのは「1972年ロサンゼルス公演」。名クラブ“Whiskey A Go-Go”で記録された伝説オーディエンス録音です。録音日は確定されていませんが、“Whiskey A Go-Go”では6月28日から7月1日にかけて4日間の連続公演を実施。本作は、そのうちのどれかで回されたリール・マスターです。また、1972年と言えば3つのツアー“LOOK AT YOURSELF Tour”・“DEMONS AND WIZARDS Tour”・“THE MAGICIAN'S BIRTHDAY Tour”が交錯する黄金時代。微妙な時期の違いでショウの意味も大きく異なってきます。まずは「絶頂の1972年」を俯瞰してみましょう。“LOOK AT YOURSELF Tour”・1月1日ー6日:欧州#1(6公演)・1月13日ー31日:北米#1a(22公演)《マーク・クラーク離脱→ゲイリー・セイン加入》・2月2日ー3月10日:北米#1b(21公演)“DEMONS AND WIZARDS Tour”・3月29日ー6月19日:欧州#2(54公演)・6月24日ー8月5日:北米#2(32公演)←★ココ★・8月12日ー10月6日:欧州#3(8公演)“THE MAGICIAN'S BIRTHDAY Tour”・10月13日ー11月12日:北米#3(23公演)・11月21日ー12月17日:北米#4(20公演)これが1972年のURIAH HEEP。たった1年間に大名盤を2枚作っただけでも驚きなのに、平行して180公演以上の巨大ツアーも実行。さらにはマーク・クラークからゲイリー・セインへのメンバーチェンジまでありました。思わず「1年って365日しかなかったよね?」と確かめたくなる苛烈なスケジュールでした。本作のロサンゼルス公演は、その中でも“DEMONS AND WIZARDS Tour”の一幕。「北米#2」の序盤(4ー7公演目)でした。そんなショウを記録した本作は、関係者による激レアなマスター・リール。当時のレコード会社スタッフが記録した飼料用録音を多数発掘してきましたが、本作はそのURIAH HEEP篇でもあり、2004年リリースの本作によって初めて世に出たもの。録音された経緯は不明ですが、当時は初来日公演の半年近く前であり、来日の交渉材料だったのかも知れません。いかな初登場でも、それだけでは驚くに値しない。本作が真に世界中のマニアを驚かせたのは、そのクオリティ。関係者が録音したせいか、当時のオーディエンスとしては破格のクリアさとヴィンテージ感を併せ持った贅沢サウンドなのです。楽音は各楽器の1音1音まで美しく聴き取れるポジション取りでありながら、客受けまで感じ取れる伝説クラブ“Whiskey A Go-Go”の空気感・現実感もすごい。先ほど完全に推測で「交渉材料かも」と書きましたが、そう思えてくるくらいに楽音はキレイに録れつつ、オーディエンスとのバランスも最高なのです。そんな超リアル・サウンドで画かれるのは黄金ラインナップを完成させ、一大全盛に踏み出したURIAH HEEPのフルショウ。黄金時代のライヴと言えば“THE MAGICIAN'S BIRTHDAY Tour”の伝統作『URIAH HEEP LIVE』が象徴ですので、比較しながらセットを整理してみましょう。対自核(4曲)・July Morning/Tears In My Eyes/Look At Yourself/Love Machine その他(5曲+α)・悪魔と魔法使い:Traveller In Time/Easy Livin'・その他:Bird Of Prey(★)/Gypsy/Rock 'N' Roll Medley ※注:「★」印は公式の伝統盤『URIAH HEEP LIVE』で聴けなかった曲。……と、このようになっています。当然のことながら『THE MAGICIAN'S BIRTHDAY』の新曲はまだなく、代わりに『SALISBURY』の「Bird Of Prey」がポールポジションを務めています。そして、そんな濃厚セットを紡ぎ出すパフォーマンスこそが絶頂。英国の誇りを高らかに宣言するようなデヴィット・バイロンのハイノート、ミック・ボックスの達人級のワウ遣い、そして、ケン・ヘンズレイが操る鮮やかなハモンド………そのすべてがアメリカの観客を圧倒する……。特に凄まじいのが大代表曲「July Morning」。英国のドラマティシズムを一身に体現したかのような大作が、変幻自在に色合いを変えながら会場の空気を七色に染め変えていくのです。その圧倒ぶりに、記録している日本人スタッフも「アメリカ(のロックは)ダメだもう……」と漏らす。1972年と言えば、英国ハードロック/プログレッシヴロックが頂点を迎えようとしている時代。その輝きに満ちた「July Morning」を目の前で叩きつけているのですから、そんなつぶやきさえもやたらとヒストリカルなのです。ロックにクラシックとサイケをたっぷりと注ぎ込み、「Gypsy」もムーグ・シンセサイザーをフューチャーして13分に及ぶ大熱演。DEEP PURPLEやYESと並び称され、鎬を削っていた時代の熱気がスピーカーから吹き出してくるのです。「1972年」だけの 頂の薫り。Live at Whiskey A Go-Go, Los Angeles, CA, USA June-July 1972 PERFECT SOUND(from Original Masters) 1. Bird Of Prey 2. Traveller In Time 3. Easy Livin' 4. July Morning 5. Tears In My Eyes 6. Gypsy incl. Keyboard Solo 7. Look At Yourself 8. Love Machine 9. Rock 'N' Roll Medley Mick Box - Guitar David Byron - Vocals Gary Thain - Bass Lee Kerslake - Drums Ken Hensley - Keyboards