ノーメイク時代屈指の名作『REVENGE』で気を吐いていた1992年のKISS。そのツアーを現場体験できる傑作ライヴアルバムが3作同時リリース決定です。本作は、そんな3連作の最終弾。「1992年10月9日イーストラザフォード公演」。その強力オーディエンス録音です。今週は“REVENGE Tour”の3作同時リリース。それぞれレッグが異なっておりますので、まずはツアーの全体像からそれぞれの位置関係を確認しておきましょう。・4月23日ー5月10日:北米#1(13公演)←※TEMPE 1992・5月16日ー26日:英国(8公演)←※BIRMINGHAM 1992《5月19日『REVENGE』発売》・9月27日『REVENGE IS READY(リハ)』・9月30日『REVENGE TOUR PRESS SHOW 1992(リハ)』・10月1日ー12月20日:北米#2(55公演)←★ココ★ これが1992年のKISS。同時リリースの『TEMPE 1992』『BIRMINGHAM 1992』はアルバム発売前後の春ツアーでしたが、本作はメインの秋ツアー「北米#2」でした。また、この「北米#2」は名録音の宝庫で、公式『ALIVE III』や名作サウンドボードなどがひしめいてもいる。良い機会でもありますので、日程をフォーカスしてコレクションを整理してみましょう。北米#2の詳細・10月1日ー8日(6公演)*10月9日:イーストラザフォード公演 ←★本作★・10月10日ー11月24日(30公演)*11月25日『DAYTON 1992』・11月27日:デトロイト公演 ←※ALIVE III/公式映像・11月28日:インディアナポリス公演 ←※ALIVE III*11月29日『CLEVELAND 1992』 ←※ALIVE III・11月30日ー12月20日(14公演)……と、このようになっています。『ALIVE III』やサウンドボード・アルバムは11月のショウで記録されましたが、本作のイーストラザフォード公演はグッと初期。「北米#2」の7公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを真空パックした本作は、晴れ渡るクリアさと重低音のカッコ良さに痺れる名録音。音色からしてサウンドボードと間違えるタイプでもないのですが、空気感が透き通っていて輪郭までくっきりとした芯がレーザー光線のように真っ直ぐ手元に届く。特に美味しいのがジーンのベース。バキバキとしたアタック音が鮮烈で、ゴリゴリとしたグルーヴも豊か。ギターのエッジも鮮やかではあるのですが、ベースまで完全同レベルで捉えている録音というのは非常に珍しいです。レーザービームな演奏音に慣れてきたところで気づくもう1つの特性は熱狂。これが結構美味しい。演奏音やヴォーカルが鮮やかなために邪魔にならないのですが、実は厚めに吸い込んでいる。その熱さは70年代かと思うほどの盛り上がりで、大合唱もぶ厚い。しかも、その熱狂が厚いからこそスパスパと切り刻む演奏音のシャープさが一層気持ちよく感じられる。幾多のバンドの無数のオーディエンス記録を取り扱ってきましたが、また1つ客録の新たな面白さを知らされた気分です。そんな肉塊をスライスするような厚切りサウンドで画かれるのは、メイン「北米#2」のフルショウ。公式の象徴ライヴアルバム『ALIVE III』は抜粋編集盤でしたが、本作は終始一貫のフル体験盤。ここで比較しながらセットを整理してみましょう。70年代クラシックス(12曲)・地獄からの使者:Deuce/Firehouse(★)/Cold Gin(★★)・地獄のさけび:Parasite(★)/Watchin' You/Hotter Than Hell(★)・その他:Rock And Roll All Nite/Detroit Rock City/Shout It Out Loud(★)/I Want You(★)/Christine Sixteen(★★)/Love Gun(★)ノーメイク時代(13曲)・暗黒の神話:Creatures of the Night/War Machine(★)/I Love It Loud・リヴェンジ:I Just Wanna/Unholy/Domino/Take It Off/God Gave Rock 'n' Roll To You II・その他:Lick It Up/Heaven's On Fire/Tears Are Falling(★)/Forever/The Star-Spangled Banner ※注:「★」印は公式盤『ALIVE III』にない曲。特に「★★」印ははサウンドボード・アルバム『CLEVELAND 1992』で聴けない曲。……と、このようになっています。ノーメイク時代にフォーカスしていた『ALIVE III』とは違い、実際のフルショウは70年代レパートリーも盛りだくさん。よりカラフルで多彩なショウが楽しめます。しかも「北米#2」中にもセットはマイナーチェンジしており、ツアー終盤のサウンドボード名盤『CLEVELAND 1992』では聴けない「Cold Gin」「Christine Sixteen」も披露されています。各レッグの現場を体験できる名録音の3連続リリース、その最終弾です。同時リリースの3連作(さらに最終盤の『CLEVELAND 1992』も加えると一層)を時系列で聴き続けると、KISSと共に“REVENGE Tour”を併走するような醍醐味も味わえます。1本1本が音楽作品として傑作で、重ねる事で楽しみがグンと広がる。アンダーグランドだからこそのうま味たっぷりの傑作群。「1992年10月9日イーストラザフォード公演」の強力オーディエンス録音。空気感が透き通っていて輪郭までくっきりとした芯がレーザー光線のように真っ直ぐ手元に届く名録音で、特にベースはバキバキとしたアタック音が鮮烈で、ゴリゴリとしたグルーヴも豊か。実は厚めに吸い込んでいる熱狂もスパスパと切り刻む演奏音のシャープさが気持ちいい。『ALIVE III』では聴けない名曲もたっぷりな“REVENGE Tour”を現場体験できます。Meadowlands Arena, East Rutherford, NJ, USA 9th October 1992 TRULY PERFECT SOUND Disc 1 (65:05) 1. Intro 2. Creatures Of The Night 3. Deuce 4. I Just Wanna 5. Unholy 6. Parasite 7. Heaven's On Fire 8. Christine Sixteen 9. Domino 10. Watchin' You 11. Hotter Than Hell 12. Firehouse 13. I Want You 14. Forever 15. War Machine Disc 2 (47:56) 1. Rock And Roll All Nite 2. Lick It Up 3. Take It Off 4. Cold Gin 5. Tears Are Falling 6. I Love It Loud 7. Detroit Rock City 8. Shout It Out Loud 9. God Gave Rock And Roll To You II 10. Love Gun 11. Star Spangled Banner Paul Stanley - Guitar, Vocals Gene Simmons - Bass, Vocals Bruce Kulick - Lead Guitar, Vocals Eric Singer - Drums, Vocals