新世代のサウンド・クリエイターProf. Stonedによるビートルズ・アルバムの再構築リミックスは最もやり甲斐のある初期四枚が完了し、それらをリリースした『2022 REMIX』はそれぞれ大好評ベストセラーを続けています。その人気の秘密はマニアがいかにもいじりました的な不自然さのまったくない洗練された仕上がり。彼の前にも多くのマニアがこうした試みを生み出していましたが、それらとははっきり一線を画す仕上がりは絶品。それだけに彼の見事な構築は初期四枚だけでなく、さらなる初期ビートルズのアルバムも手掛けてくれればいいのに…という世界中のマニアの願いが叶いました。実際『HELP!』と『RUBBER SOUL』二枚のアルバムはそれぞれのサウンドの大きな進化とは裏腹にステレオ・ミックスの仕上がりはまだまだ拙いものだった。その証拠にどちらも1987年のCD化に際してはジョージ・マーティンによって新たなミックスが作られたという。ところが、その仕上がりもまた思いのほか評価されず。中でも『HELP!』で加えられたエコーの違和感が少なからずあったにもかかわらず、現在ではこちらのミックスが標準とされてリリースされ続けています。『BEAETLES FOR SALE』からジョージ・マーティンは各楽器を左右に散りばめてステレオ感を演出することを好んでいたようですが、それ故に演奏の分離が目立ちすぎるきらいがあった。『HELP!』に関してはこの各楽器の浮き出るようなバランスとは裏腹に演奏の勢いやまとまりが感じられない仕上がりをProf. Stonedは「古臭い」と感じたのではないでしょうか。またイントロが左から始まるというパターンも同様だったと思われます。そこでProf. Stonedは各楽器の分離を狭めつつも、それでいてしっかりステレオ感を保つという卓越したセンスでまとめ上げてくれました。さらに「左からイントロが始まる」パターンの典型だった「You've Got To Hide Your Love Away」などは真ん中からどっしりとジョンのアコギが鳴り始めており、ただ位置が変わったというだけでなく、その厚みのある質感もオリジナルのミックスとの大きな違いを楽しませてくれるもの。また『HELP!』はメインボーカルとバックコーラスの掛け合いというポップなボーカルアレンジがピークを極めたアルバムなのですが、その割に大半の曲でボーカル・パートが録音やミックスの段階で一緒くたにされてしまっており、掛け合う様子をステレオで楽しむことは出来なかった。Prof. Stonedが今回のリミックスで目を付けたのが正にそこでして、それこそオープニング・トラック「Help!」をヘッドフォンで聞けばジョンのリードボーカルが真ん中、ポールとジョージによるバックコーラスが左から聞こえるというステレオ感を満喫できるはず。そうした『HELP!』ならではのボーカル・ワークを際立たせようとした仕上がりはもちろんですが、何と「Yesterday」のようなバックコーラスがない曲でもProf. Stonedは抜群のセンスを発揮してステレオ・バランスを再構築。オリジナルの分離が良すぎるバランスから一転してストリングスの重厚な音色を感じさせるバランスへと生まれ変わりました。この仕上がりは明らかにオリジナルや『1』で作られたような近年のリミックスをも凌いでおり、ヘッドフォンで聞けばうっとりするほどの仕上がりは今回のミックスの目玉。そしてボーナス・トラックにはアルバム未収録曲やアウトテイクもProf. Stonedならではのセンスで生まれ変わらせてくれているのですが、その中でも「That Means A Lot」はセッション段階の音源を上手く組み合わせ、オフィシャルの『ANTHOLOGY 2』でおなじみモノラルな状態のバージョンとは異次元のステレオ感を堪能できるでしょう。バンドで演奏されたり歌われたりされた曲はもちろん、「Yesterday」ですら本リミックス最高と呼べるような仕上がりを見せている『2023 REMIX』の締めくくりに相応しく、今回のリリースに際してはライバルLord Leithが作った同曲のストリングスなしバージョンを独自に追加。ストリングスなしでありながらステレオ感のある仕上がりとして彼が『ABRACADABRA』をリリースした際に話題を呼んだバージョン。今回も抜群の仕上がり、是非ヘッドフォンでじっくりとお楽しみください。特に「Yesterday」の重厚さは感動モノ。HELP! 2023 STEREO REMIX (49:14) 01. Help! 02. The Night Before 03. You've Got To Hide Your Love Away 04. I Need You 05. Another Girl 06. You're Going To Lose That Girl 07. Ticket To Ride 08. Act Naturally 09. It's Only Love 10. You Like Me Too Much 11. Tell Me What You See 12. I've Just Seen A Face 13. Yesterday 14. Dizzy Miss Lizzy Bonus: 15. Bad Boy 16. Yes It Is 17. I'm Down 18. If You've Got Trouble 19. That Means A Lot 20. Yesterday (Take 2 No Strings) Original credits: John Lennon - lead, harmony and background vocals; rhythm and acoustic guitars; electric piano, organ on "Dizzy Miss Lizzy" & "I'm Down"; tambourine on "Tell Me What You See"; snare drum on "I Need You" Paul McCartney - lead, harmony and background vocals; bass, acoustic and lead guitars; piano, electric piano George Harrison - harmony and background vocals; lead, acoustic and rhythm guitars; lead vocals on "I Need You" and "You Like Me Too Much"; guiro on "Tell Me What You See" Ringo Starr - drums and miscellaneous percussion; claves on "Tell Me What You See"; lead vocals on "Act Naturally" & "If You've Got Trouble" Additional personnel:George Martin - producer, piano on "You Like Me Too Much", String quartet on "Yesterday" arranged in association with McCartney John Scott - tenor and alto flutes on "You've Got to Hide Your Love Away" Norman Smith - engineering and mixing Robert Freeman - cover photograph





























