同時リリースとなる『RUBBER SOUL』はProf. Stonedをしてお気に入りの一枚ということから、ミックスの再構築作業には一段と気合が入った模様です。実際このアルバムもまた1965年らしい分離のはっきりしすぎたステレオ・バランスでまとめられた感があり、それが87年のCD化でリミックスされた際にはジョージ・マーティン自身が「オリジナルよりずっと良くなった」と力説していたほど。だからでしょうか、現在ではこちらのミックスが標準となっています。ただしこのアルバム特有のリードボーカルが右に片寄りがちなバランスは87年のミックスにおいてもさほど変わらず、そこに物足りなさを感じたマニアは少なくなかった。おまけに「イントロが片側のチャンネルから始まる」というマーティン特有のミックス・バランスが頂点を迎えたのがこのアルバムでして、それがまたProf. Stonedには違和感でしかなかったのでしょう。例えば「Nowhere Man」のように後で『YELLOW SUBMARINE SONGTRACK』において大幅なリミックスが行われた幸運な曲もありますが、大半の曲は未だに87年リミックス止まり。そこでProf. Stonedは『HELP!』と同様このアルバムに関しても1965年のオリジナル・ミックスに立ち返った上での再構築に着手。今回のリミックスで彼が目指したのは「ビンテージ感のある洗練さ」ではなかったかと思われます。あるいはこれまでのアルバムでも彼が見せてきた骨太な迫力。それだけにオープニング「Drive My Car」を聞いただけで今回のリミックスにProf. Stonedがどれほどの力を注いだのかが解るというもの。あのイントロを聞いただけで「勝負あり」。昔から誰もが聞きなれた良くも悪くも分離感のあったイントロがソリッドに生まれ変わって鳴り響く仕上がりは絶品で、これはヘッドフォンだけでなくスピーカーから鳴らしても圧巻。続く「Norwegian Wood」も本アルバムの「ステレオの片方から鳴り始めるイントロ」の典型だった訳ですが、ここではセンターからの堂々としたオープニング。また良くも悪くも分離感のある仕上がりの典型だった「The Word」もProf. Stonedならではの見事な手腕によって極端な分離から解放されつつも演奏の迫力がマシマシ。「これほどまでロックな曲だったとは…」と新鮮に聞こえることでしょう。それでいてステレオ感もしっかり保たれているのだから、これはもう見事だと言うしかない。このアルバムから生まれた二大スタンダード「Michelle」と「In My Life」はどちらもしっとりとした仕上がりが素晴らしく、ヘッドフォンで思わず聞き惚れてしまうほど。特に前者はオリジナルのミックスにおいて素朴すぎるステレオ・バランスが古臭さを感じさせただけに、文字通り生まれ変わった姿がこれまたお見事。一方87年版ステレオでもなかなかの仕上がりを見せていた曲でもありますので、聞き比べてみるとセンスの違いが解って面白いのでは。これらの曲や「Drive My Car」に言えたことですが、Prof. Stonedの場合は単にステレオや楽器のバランスを変えるだけでなく、それぞれの音色を変えるセンスが卓越しているところに彼のリミックスの素晴らしさがあるのではないでしょうか。オリジナル、87年版問わずせわしないミックスの印象が強かった「I'm Looking Through You」やジョージの「If I Needed Someone」も随分と落ち着いたバランスと質感に生まれ変わっており、今回のずっしりとした聞き応えを感じさせてくれるミックスの方を好まれるマニアは少なくないかと。そしてリリースに際して特別にLord Leith作『ABRACADABRA』から「The Word」を追加収録。ジョンのパートがダブルトラックになるアメリカ盤をさらにセンターミックスに仕上げて話題を呼んだバージョンです。他にもボーナスにはこれまたアルバム未収録のシングル二曲が収録されていますが、どちらもイントロからしてProf. Stonedの手腕が大いに発揮された仕上がりとなっており、やはりヘッドフォンで聞くといよいよ楽しい。RUBBER SOUL 2023 STEREO REMIX (43:37) 01. Drive My Car 02. Norwegian Wood (This Bird Has Flown) 03. You Won't See Me 04. Nowhere Man 05. Think For Yourself 06. The Word 07. Michelle 08. What Goes On 09. Girl 10. I'm Looking Through You 11. In My Life 12. Wait 13. If I Needed Someone 14. Run For Your Life Bonus: 15. Day Tripper 16. We Can Work It Out 17. The Word (US Version) Original credits: John Lennon - lead, harmony and backing vocals; rhythm, acoustic and lead guitars; organ on "Think for Yourself"; tambourine Paul McCartney - lead, harmony and backing vocals; bass, acoustic and lead guitars; piano; maracas George Harrison - lead, harmony and backing vocals; lead, rhythm and acoustic guitars; sitar on "Norwegian Wood"; maracas, tambourine Ringo Starr - drums, tambourine, maracas, cowbell, bells, cymbals; Hammond organ on "I'm Looking Through You"; lead vocals on "What Goes On" Additional personnel: George Martin - production, mixing; piano on "In My Life", harmonium on "The Word" and "If I Needed Someone" Mal Evans - Hammond organ on "You Won't See Me" Norman Smith - engineering, mixing Robert Freeman - photography Charles Front - illustration





























