マイク・ミラードがザ・フー一連の1980年LA公演を録音してくれていたことは『LOS ANGELES 1980 1ST NIGHT』、『L.A. FORUM 1980 1ST NIGHT: MIKE MILLARD MASTER TAPES』そして『LOS ANGELES 1980 2ND NIGHT: MIKE MILLARD MASTER TAPES』といった名盤群が証明してくれましたが、今回はLAスポーツ・アリーナ四日目の録音が公開と相成りました。今回のミラード・マスターも音質は実に素晴らしく、いかにも彼らしいきめ細やかな臨場感とオンな音像は健在。そのクオリティだけなら『LOS ANGELES 1980 1ST NIGHT』にもひけを取らない。ところが当日ミラードがコンサートに遅刻してしまい「Substitute」、「I Can't Explain」そして「Baba O'Riley」が未収録になってしまった不完全録音。ですが。本当に幸いなことにこのコンサートの一番盛り上がった部分は彼がしっかり記録してくれていました。ケニー・ジョーンズ期ザ・フーの大きな魅力と言えばキース・ムーン存命時のライブ演奏が叶わなかったアルバム『WHO ARE YOU』収録曲がステージで披露され、なおかつ進化していったこと。この日の「Music Must Change」が正にそれでして、79年から大きく進化した堂々たる演奏は圧巻で、それがまたミラードならではの極上音質によってさらに迫力マシマシ。何より「Music Must Change」以降、この日のザ・フーの覚醒ぶりが凄まじく、そこから「Who Are You」までの展開はこの日最初のピークと思えるほど壮絶な演奏が繰り広げられました。つまりミラードは遅刻してしまったものの、それでもこの日のライブにおける肝心な部分はちゃんと捉えてくれていたという訳。それが「Pinball Wizard」からはもうノンストップの勢いで駆け抜ける暴走ぶりがまた壮絶の一言。ピートのテンションが上がりすぎてカウントをやり直す「My Generation」、そこから雪崩れ込むには打ってつけな「I Can See For Miles」という展開も最高。そんなハイテンションな雰囲気のライブ終盤では会場で二回も爆竹が鳴らされてしまいますが、それすら演出に思えてしまうほど激しい演奏が最後まで続くのです。これまで公開されてきた80年LAのミラード・マスターはどれも「ケニー期ザ・フー最良の姿」と呼べるほど素晴らしい演奏が記録されていましたが、それは今回も同様…いや80年LAで最高の演奏をミラードが捉えてくれたのだと言っても過言ではない。冒頭三曲の未収録がまるで問題にならないほどハイテンションな演奏と素晴らしい音質は絶対に満足を保証します!Live at Sports Arena, Los Angeles, CA, USA 27th June 1980 PERFECT SOUND Disc:1 (42:27) 1. My Wife 2. Sister Disco 3. Behind Blue Eyes 4. Music Must Change 5. Drowned 6. Who Are You Disc:2 (58:46) 1. 5.15 2. Pinball Wizard 3. See Me, Feel Me 4. Long Live Rock 5. My Generation 6. I Can See For Miles 7. Sparks 8. Won't Get Fooled Again 9. Summertime Blues 10. The Real Me Roger Daltrey - lead vocals, tambourine, harmonica Pete Townshend - guitar, vocals John Entwistle - bass guitar, vocals Kenney Jones - drums John "Rabbit" Bundrick - keyboards, piano, tambourine, backing vocals Dick Parry - saxophone Reg Brooks - trombone Dave Caswell - trumpet