メタル系コンセプト・アルバムの先駆けとなった名盤『第七の予言』を送り出し、キャリアの絶頂にいた1988年のIRON MAIDEN。その栄光の現場を体験できる新名盤が誕生です。そんな本作に吹き込まれているのは「1988年6月21日ブルーミントン公演」。その一部始終を真空パックした極上オーディエンス録音です。“Seventh Tour Of A Seventh Tour”と言えば、伝統の公式作『MAIDEN ENGLAND』の他、名盤『MONSTERS OF ROCK 1988』『SEVENTH SON OF STOCKHOLM』でもお馴染みですが、実はそれぞれポジションが異なる。まずはワールド・ツアーの全景を俯瞰し、それぞれの位置関係を確かめてみましょう。《4月11日『第七の予言』発売》・4月28日+29日:西ドイツ(2公演)・5月8日ー8月10日:北米(60公演) ←★ココ★・8月17日+20日:英国#1(2公演)←※MONSTERS OF ROCK・8月27日ー10月5日:欧州(20公演)←※SEVENTH SON OF STOCKHOLM・11月18日ー12月12日:英国#2(16公演)←※公式MAIDEN ENGLAND これが1988年のIRON MAIDEN。前述した名作達はどれもツアー後半の欧州/英国の記録でしたが、本作のブルーミントン公演は大洋を超えた「北米」レッグ。その27公演目にあたるコンサートでした。また、1988年の「北米」レッグと言えば『SEATTLE 1988』を思い出すコレクター諸兄もいらっしゃると思いますが、本作はその20日後でもあります。そんなショウで記録された本作は、強靱なダイレクト感と輝くエッジが両立した名録音。ごく最近になって公開された1stジェネ・マスターなのですが、力強い芯がレーザー光線のように耳元に飛びこみ、ディテールも異様に鮮やか。サウンドボードと間違えるようなド密着感ではないのですが、オーディエンスらしさは音色止まりで、聴き応えはサウンドボードにも負けていません。その上で、本作はホール鳴りもポイントだったりします。プレス名盤『SEVENTH SON OF STOCKHOLM』『MONSTERS OF ROCK 1988』等と比べると鳴りもしっかりと感じられるのですが、それは欠点ではなくむしろ美点。なんと申しますか、ホール鳴りが「輝き」を演出するタイプなのです。普通ホール鳴りはエッジを丸くボカしてしまうものなのですが、本作の場合は逆。鳴りが金属光沢のように輝いており、ツイン・リフのエッジが一層シャープに感じられ、ギャロップ・ベースもゴリゴリと浮き立つ。そして、そのド真ん中を貫くヴォーカルは歌詞の一語一語どころか、そこに込められたニュアンスまで克明。適切な表現なのか分かりませんが、「輝きのホール鳴り」「芯を研ぐような鳴り」と感じる不思議なシャープ・サウンドなのです。また、そのサウンドは演奏だけではなく大歓声まで面白くしてくれる。例えば「The Trooper」など、ブルース・ディッキンソンの煽りに乗って歓声の大波が沸き上がるのですが、それが異様にきめ細かく、しかも巨大感もスゴい。決して演奏を脅かすような音量ではないのですが、遠くから津波が押し寄せてくるようなスペクタクルを描き出す。透明透き通りながらダイナミズムを生む本作のフシギ・サウンドが成せる魔法のようなカタルシスです。そんなマジカル・サウンドで描かれるのは、黄金時代の名曲がズラリと並んだ“Seventh Tour Of A Seventh Tour”のフルショウ。セットはわりとお馴染みでもありますので、今回は24年後の復刻ツアー“Maiden England World Tour 2012-2014”と比較してみましょう。第七の予言(6曲)・Moonchild/The Evil That Men Do/Infinite Dreams(★★)/Can I Play With Madness/The Clairvoyant/Seventh Son Of A Seventh Son その他(10曲)・魔力の刻印:The Prisoner/The Number Of The Beast/Hallowed Be Thy Name(★)/Run To The Hills・その他:Iron Maiden/Running Free/The Trooper/2 Minutes To Midnight/Heaven Can Wait(★)/Wasted Years ※注:「★」印は復刻ツアー“Maiden England World Tour 2012-2014”で演奏しなかった曲。特に「★★」印はこのツアーだけの限定曲。……と、このようになっています。復刻ツアーでは「Hallowed Be Thy Name」「Heaven Can Wait」を演奏していなかったのですが、これはレアというより「そうだっけ?」的な意外さでしょうか。それよりポイントなのは「Infinite Dreams」。当時はシングルカットされ「審判の日パート2」とも言われた名曲ですが、実は1988年でしか演奏していない限定曲でした。それにしても不思議なダイナミック・サウンドです。間違いなくオーディエンス録音らしいのに、距離感もなければ濁りもボケもない。すべてがクリアで美しく、そして鳴りがギラッギラな金属光沢に輝いている。そんな超個性的なハイクオリティ・サウンドで“Seventh Tour Of A Seventh Tour”をフル体験できる2つとないライヴアルバムです。「オーディエンス録音」という文化の深みさえ感じさせる新名盤。「1988年6月21日ブルーミントン公演」の極上オーディエンス録音。最近公開された1stジェネ・マスターで、強靱なダイレクト感と輝くエッジが両立した名録音。力強い芯がレーザー光線のように耳元に飛びこみ、ディテールも異様に鮮やか。その上で鳴りが金属光沢に輝いており、「鳴りがあるからシャープ」と感じられるフシギ感覚なハイクオリティ・サウンドです。このツアーだけの限定曲「Infinite Dreams」も美味しい栄光の“Seventh Tour Of A Seventh Tour”をマジカル・サウンドでフル体験できる新名盤です。Met Center, Bloomington, MN, USA 21st June 1988 PERFECT SOUND Disc 1(51:4) 1. Moonchild 2. The Evil That Men Do 3. The Prisoner 4. Infinite Dreams 5. The Trooper 6. Can I Play With Madness 7. Heaven Can Wait 8. Wasted Years 9. The Clairvoyant Disc 2(47:32) 1. MC 2. Seventh Son Of A Seventh Son 3. The Number Of The Beast 4. Hallowed Be Thy Name 5. Iron Maiden 6. Run To The Hills 7. 2 Minutes To Midnight 8. Running Free Bruce Dickinson - Vocals Adrian Smith - Guitar Dave Murray - Guitar Steve Harris - Bass Nicko McBrain - Drums