今回ブリストルと同時にリリースされるのは、これまた70年のライブ音源であるヘルシンキ。ブリストルと同様、何度も公演が行われた土地ではないので、ZEPマニアであればヘルシンキと言えば「ああ70年ね」と通じてしまうほどかと。実際ヘルシンキはロイヤル・アルバート・ホールやブリストルが行われた1月のツアーに次いで行われたZEP初のヨーロッパ・ツアーの幕開けとなった日。このツアーからは永遠の定番であるモントルー、さらには『COPENHAGEN 1970』や『HAMBURG 1970 2ND NIGHT』そして『DUSSELDORF 1970』といった名演&名音源の宝庫となっています。まだ71年以降と比べてライブ・アクトとして未完成な部分は少なくないのですが、それを補って余りある躍動感ある演奏が圧倒的な時期。もっともLP時代はマニアに大人気のレア盤『LIFE』(またの名を『LIVE』)と、そこからコピーして更にポピュラーな存在となった我が国が誇るMARC製『WHITE SUMMER』のデュッセルドルフ、あるいは『FEEL ALRIGHT』を始めとしたモントルー各種に選択肢が絞られており、このツアーの全貌が明らかとなったのはCD時代を迎えてからでした。そんな時期のCD化第一号は意外にもデュッセルドルフやモントルーではなく、ツアー初日のヘルシンキだったのです。これがリリースされた当時はまだサウンドボードや極上オーディエンスのみリリースが許されるような時代でしたので、絵に描いたようなビンテージ・オーディエンスをCD化してみせたのは勇猛果敢以外の何物でもなかったという。おまけに同時にリリースされたのが数か月後のアメリカはローリー公演という、当時ですら相当にマニアックな音源をメタリックなシルバーのジャケに包んでリリースしたことは本当に驚きでした。それがシルバー・ジャケの『VAHALLA I AM COMING』でして、その後も旧タラから(今回のタイトルのオマージュでもある)『TOCCATA AND FUGUE』、FIXIN' TO DIE といった具合に計三タイトルがリリースされたものの正確なピッチで収録されたものはどれ一つとしてなく、それどころかジェネ落ち感も相当、といった具合に何かしら問題を抱えたままリリースされてしまいました。そのせいでハード・マニア向けオーディエンスの烙印を押されてしまい、以降ヘルシンキはまともなアイテムがリリースされないという状況に陥ってしまいます。元の録音状態はそこまで悪くなかっただけに文字通り不遇をかこってしまったヘルシンキなのですが、近年になってかのKrw_coがファースト・ジェネレーション・コピーを発掘。ロウジェネレーションな状態ゆえ、過去のアイテムなどまるで問題にならない見事なアッパー感だったのですが、当時はヘルシンキが完全に見過ごされてしまっていた時勢を反映し、驚きのアッパー音源だったにもかかわらず慎重な扱い(笑)となってしまいました。考えてみれば、これほど明確なアッパー感のある音源を今までリリースしなかったとは。そこで今回はこちらも「GRAF ZEPPELIN」がオーバーホールを担当。Krw_coによって発掘された1st Genバージョンは同時リリースのブリストルほど手を焼くこともなく、彼をしても過去のアイテムより「圧倒的に音がイイ」とのお墨付き。確かにジミーのギターが大きめなバランスで捉えられているのですが、それが飽和することなく絶妙なバランスで捉えてくれていたのだとを今回のリリースで再認識してもらえるでしょう。そこへ「GRAF ZEPPELIN」ならではのアジャストによってピッチも初めて正確に収録されたとくれば鬼に金棒。そしてツアー初日、さらにはジョンジーの弾くオルガンが空港で一時足止めを食らってしまったせいでショウの開演が遅れるなどのハプニングがあったとは思えないほど激しい演奏ぶりは正確なピッチと1st Genだからこそ。ブリストルで思う存分に弾き倒していたジミーでしたが、ここでも彼は絶好調。もう序盤からしてキレッキレ。おまけに「Dazed And Confused」ではジミーのギターの音が出なくなるハプニングに見舞われてしまうのですが、その様子が手に取るように解る。またこのツアーの「Heartbreaker」と言えばジミーが開始前にジェフ・ベック・グループ「Rice Pudding」のリフを弾いたモントルーの名場面が思い出されますが、この日はギターソロから戻る最中に「Plynth」のリフを弾くという珍しい場面が捉えられていて貴重。この時期の彼はJBG#1がマイブームだったのでしょか。そんなキレッキレのジミーと拮抗したロバートの見事なスクリームが会場に響き渡る様子も本音源の魅力であり、70年ならではの光景かと。何より最初に申し上げた理由から長い間マニアに忘れ去られてしまったも同然のヘルシンキが1st Genと緻密なオーバーホールによって生まれ変わりました!リマスター・メモ 新規マスタリング ボーカルが遠目ですが、ギターが非常にオンで全体的にはかなりクリアで良好なサウンド これだけ良好な音質にもかかわらず、過去に'90年代に登場以降は全く更新もなく、今回約30年ぶり!音質は既発に比べ断然良く、鮮度の良さ、ヒスの少なさ、帯域の癖のなさなど、いずれも一聴して判別できるほど。カットの少なさも特筆すべき点で、曲中カットがMobyである以外は曲間カットもなく、ほぼ完璧 位相修正と帯域を調整 Live at Kulttuuritalo, Helsinki, Finland 23rd February 1970 TRULY AMAZING SOUND(UPGRADE) Disc 1 (61:35) 1. We're Gonna Groove 2. I Can't Quit You Baby 3. Dazed And Confused 4. Heartbreaker 5. White Summer incl. Black Mountain Side 6. Since I've Been Loving You 7. Organ Solo ★イントロでバッハのToccata And Fugueさわり 8. Thank You Disc 2 (50:59) 1. MC 2. Moby Dick ★1:13、 1:23カット 3. How Many More Times 4. Whole Lotta Love