いいですか?落ち着いて聞いてください。あの名盤『FOR BADGE HOLDERS ONLY』のマスターカセットが発掘されたんです…と切り出しても衝撃的すぎて何のことだか分からないかもしれません。もう一度繰り返します、あの『FOR BADGE HOLDERS ONLY』のマスターカセットが遂に発掘されたんです。そう、マスターが。考えてみれば『FOR BADGE HOLDERS ONLY』は1970年代後半のレア音源リリースで名を馳せたVicky Vinylのアンドレア・ウォーターズによるリリース。となればフロイドの『CALIFORNIA STOCKYARD : JON WIZARDO MASTER CASSETTES UNPROCESSED』やフリートウッド・マックの『SIN CITY 77: JON WIZARDO MASTER CASSETTES』などと同じように、自身のリリースを縮小し、代わりに音源をアンドレアに託していたジョン・ウィザードが録音していたとしてもおかしくない。むしろそれらがリリースされた時点から、当然のように『FOR BADGE HOLDERS ONLY』(以下“バッジホルダー”と称します)のウィザード録音の登場を察していたマニアは少なくないかと思われます。そんな願いを察するかの如く、今年の初めからウィザード録音であったバッジホルダーのマスターの存在の「匂わせ」が始まるのです。それは昨年、世界中のボウイ・マニアをアッと言わせた『THE ALL AMERICAN BOWIE: JON WIZARDO 2 TRACK MONO MASTER REEL』と似たような状況でマスターが姿を現し始めました。アナログLPというフォーマット、なおかつ超限定プレスという形で一部のマニアの間だけに流通し始めたのです。それを作った側としても目玉中の目玉であるバッジホルダーのマスターです、やはり『FOR BADGE HOLDERS ONLY』の名のもと、まずライブ前半の「Part 1」からゆっくりとリリースを開始。「匂わせ」は「もったいぶる」状況へと変わり始めたのです。そんなスローペースのリリースも先月「Part 3」でようやく完結。LPのリリースが「Part 3」まで及んだことからも想像が付くかと思われますが、ウィザード録音によるマスターカセットは当然オリジナルの『FOR BADGE HOLDERS ONLY』二種のリリースよりも収録時間が長い。そう、今回の発掘によって遂にバッジホルダー録音の全貌が明らかになったのです!そしてLPのリリースが完結したことで『THE ALL AMERICAN BOWIE』の時と同じようにCDでのリリースにもゴーサインが出ました。今回のリリースに際しては海外からマスターカセットをハイレゾでトランスファーしたバージョンを元にしています。ということは…当然オープニングの「The Song Remains The Same」からばっちり収録されている。マニアでなくとも1977年6月23日のLAフォーラムはバッジホルダー音源が一番音質の優れたオーディエンス録音であることは常識。ところがオリジナルのLPに「The Song Remains The Same」は収録されていなかった。この最高の音質で同曲を聞ける日が遂に来たのだ…という感激と共に再生すると、同曲が始まるやいなやマイクの接続不良のようなノイズが入り、おまけに音量も上下。なるほど…ウィザードはオープニングで録音に手こずってしまった。そのせいで同曲がLPからカットされてしまったのだという衝撃の事実が今回明らかになったのです!本来カットやノイズが混入されたとなれば、それはマイナスポイントとなってしまう訳ですが、これはバッジホルダーのマスター。そんなカットですら驚きと感激を与えてくれる。まさかの新事実が明らかに。当然この補填を別ソースで補う処理は行っておりません。今回は衝撃のマスターテープをありのままに収録するのが使命だと言っても過言ではないかと。おまけに音質が素晴らしい。これまでバッジホルダーに関しては盤起こしからでしか収録できなかった訳ですが、その中でもあまたのアイテムを大きく引き離したベストバージョンとして大きな評価を受けたのがGraf Zeppelin盤『FOR BADGE HOLDERS ONLY』。もうこれ以上のLPからのトランスファーは不可能というほど細心の注意を払ってリリースされた決定版だった訳ですが、無情にも今回のマスターカセットはGraf Zeppelin盤のクオリティをも軽く凌駕している。元々「recorder 2」たるミラード録音(こちらもマスターの公開が待たれます)をも凌ぐほどの最高音質録音として定評のあったバッジホルダーですが、その澄み切ったクリアーさ、さらにテープそのものの鮮度が一度レコードにプレスされた状態とは一線を画すクオリティ。それと同時にマスターカセットがよくここまでの鮮度を保った状態で保存されていたものだと驚かされるばかり。それにミラード録音はこの日に限ってウィザード以上にライブ前半を録音し損ねており、結果として高音質で「The Song Remains The Same」を聞くことが今まで不可能だった。他にも長尺な「No Quarter」の途中、あるいはキレッキレな名演「Achilles Last Stand」の終盤がテープチェンジによって録音し損ねていた事が今回の発掘で改めて実証されるという、あらゆる意味で歴史的な発掘となりました。しっかし音質が抜群だこと!もはやスクラッチノイズが入らないどころのレベルではなく(それは当たり前)澄み切ったマスター・クオリティはヘッドフォンでじっくり聞きこむのもよし、スピーカーから爆音で鳴らして酔いしれるのもよし。改めてバッジホルダーがジョン・ウィザード一世一代の名オーディエンス録音であったことを思い知らされるでしょう。そもそも演奏自体が6月21日『LISTEN TO THIS EDDIE』と双璧を成す名演中の名演でもあった。エディーのぶっ飛びボンゾとはまた違ったハイテンション・パフォーマンスの全長版が2023年になってこの日のベスト・ソースで聞ける日が来たんです。今まで世界中のマニアがLP、あるいはLP起こしを愛聴し続けてきたバッジホルダーの衝撃的なマスターカセット。あまりの高音質ぶりと初の全長版という衝撃を浴びるほど聞いていただきたい今年一番の発掘。世界中のマニアの見果てぬ夢と言っても過言ではないバッジホルダーのマスターが叶うだなんて…本当に信じられません。でも本当なんです!The Forum, Los Angeles, CA, USA 23rd June 1977 TRULY PERFECT SOUND(UPGRADE & LONGER) Disc:1 (69:44) 1. Intro 2. The Song Remains the Same★★★ 3. Sick Again 4. Nobody's Fault but Mine 5. Over the Hills and Far Away 6. Since I've Been Loving You 7. No Quarter ★7:30 A面終了 テープチェンジ Disc:2 (61:28) 1. MC 2. Ten Years Gone 3. The Battle of Evermore ★5:35 B面終了 テープチェンジ 4. Going to California 5. Black Country Woman 6. Bron-Y-Aur Stomp 7. White Summer/Black Mountain Side 8. Kashmir 9. Trampled Under Foot ★最後でC面終了 Disc:3 (63:56) 1. MC 2. Moby Dick 3. Guitar Solo 4. Achilles Last Stand ★8:36 D面終了 5. Stairway to Heaven 6. Whole Lotta Love 7. Rock and Roll ★最後でE面終了