“DAMAGED JUSTICE Tour”でヘヴィメタルの絶対王者に君臨しつつ、まだ『BLACK ALBUM』革命を起こす前だった1990年のMETALLICA。そんな端境期の現場を体験できる新マスターが新発掘です。そんな本作に吹き込まれているのは「1990年6月29日トロント公演」。その一部始終を真空パックした灼熱オーディエンス録音です。『...AND JUSTICE FOR ALL』にまつわる活動は1989年中に終了しており、『BLACK ALBUM』のリリースは1991年。「1990年」はその合間となる時期でした。大規模なワールド・ツアーこそありませんでしたが、ライヴがまったくなかったわけでもない。良い機会でもありますので、あまり顧みられない端境期の概要をスケジュールでチェックしてみましょう。欧州(9公演)・5月11日+16日(2公演)・5月17日『DORTMUND 1990』・5月19日ー26日(6公演)北米(2公演)6月29日:トロント公演 ←★ココ★・6月30日:ロチェスター公演《10月6日『BLACK ALBUM』制作開始》これが1990年のMETALLICA。わずか11公演ながら欧州と北米でミニツアーを実施しました。「北米」の2公演はAEROSMITHの“PUMP Tour”の一部で、特にトロント公演はWARRANTやTHE BLACK CROWESも交えてのフェス形式のショウでした。そんな現場できろくされた本作は、彼らのトロント・コレクションから発掘された新マスター。本稿に目を留められた方ならピンと来ていると思いますが、独自ルートで発掘された『TORONTO 1989』『TORONTO 1991 1ST NIGHT』が人気。本作は、同じ独自ルートで発掘されオリジナル・マスターなのです。そして、気になるサウンドはスーパーリアルな灼熱系。微細部ディテールまできっくりした芯はオンで力強く、輪郭もキリッと美しい。しかし、その芯が貫く空気感はクリアに透き通りつつも灼熱でもある。右肩上がりに時代の寵児へ登り詰めようとしていた当時の人気は凄まじく、その熱狂が素直に吸い込まれている。その圧倒的な熱量は「こんなに盛り上がってAEROSMITHは大丈夫なのか?」と筋違いな心配までしてしまうほど。もちろん、その灼熱の盛り上がりを突き破り、蹂躙し、支配してしまう演奏音こそが本作の主役。歌詞の一語一語まで鮮やかクリアで、切れ味鋭いクランチ・ギターはどこまでも暴虐。そして、そのサウンドで轟くのが特濃スラッシュ・パラダイス。AEROSMITHの前座ゆえにショート・セットではありますが、それでも約78分ものボリュームで『...AND JUSTICE FOR ALL』までの必殺曲が矢継ぎ早にブチかまされるのです。その殺傷力を実感していただくためにも、最後にフルセットを整理しておきましょう。クリフ時代(8曲)・血染めの鉄鎚:The Four Horsemen/Seek & Destroy/Whiplash・ライド・ザ・ライトニング:Creeping Death/For Whom The Bell Tolls/Fade To Black・メタル・マスター:Welcome Home (Sanitarium)/Master Of Puppets その他(4曲)・メタル・ジャスティス:Harvester Of Sorrow/One・カバー:Last Caress/Am I Evil? 1990年のMETALLICAとは、シーンの頂点に登り詰めつつもグルーヴに開眼する寸前でした。3時間のショウでも余裕でこなすバンド・ポテンシャルを誇りつつ、それをCD1枚分に濃縮して叩きつける灼熱のライヴアルバムです。見逃されがちな「1990年のMETALLICA」を満喫でき、独自ルートの新発掘トロント・コレクションにも欠かせない1枚。どうぞ、存分にご堪能ください。「1990年6月29日トロント公演」の強力オーディエンス録音。当店の独自ルートで発掘された新マスターで、スーパーリアルな灼熱サウンド。空気感はクリアに透き通りつつも凄まじい熱狂が炸裂し、その熱狂を力強くオンな演奏音が突き破り、蹂躙し、支配してしまう。歌詞の一語一語まで鮮やかクリアで、切れ味鋭いクランチ・ギターがどこまでも暴虐。4thアルバムまでの必殺曲を濃縮したスラッシュ・パラダイスです。CNE Stadium, Toronto, ON, Canada 29th June 1990 TRULY AMAZING SOUND(from Original Masters) (78:08) 01. The Ecstasy Of Gold 02. Creeping Death 03. For Whom The Bell Tolls 04. Welcome Home (Sanitarium) 05. Harvester Of Sorrow 06. The Four Horsemen (with Eye Of The Beholder Intro) 07. Bass Solo (incl. Early Version Of My Friend Of Misery) 08. Fade To Black 09. Seek & Destroy 10. Master Of Puppets 11. One 12. Last Caress 13. Am I Evil? 14. Whiplash