伝説の名盤がリリース決定です。その名盤に収められているのは「1976年9月20日ストックホルム公演」。歴史的なヨーロッパ初上陸公演を収めた極上オーディエンス録音です。北欧と言えば、大のリッチー・ブラックモア贔屓で、日本やドイツと並ぶ大票田。ヨーロッパでもイの一番に選ばれるのも納得なのですが、その初上陸は意外にも少々時間がかかっていました。まずは、そのポジションを当時の活動スケジュールの中で確認してみましょう。【1975年】《9月ツアー・ラインナップ確定・11月10日?29月:北米#1(13公演)【1976年】・2月-3月:欧州(キャンセル)《5月17日『虹を翔る覇者』発売》・6月11日?8月7日:北米#2(32公演)・8月31日?9月14日:英国(10公演)・9月20日?10月18日:欧州(20公演)←★ココ★・11月4日?22日:豪州(11公演)・12月2日?16日:初来日(10公演)《1977年2月:ジミー・ベイン解雇》これがいわゆる『RISING』メンバーでの活動概要。本来、ヨーロッパ・ツアーは1976年の早々に計画されていたものの、キャンセル。北米ツアーや本国をたっぷり回った後の秋になってようやく実現しました。本作は、その「欧州」レッグ初日にあたるコンサートです。ヨーロッパ初上陸も歴史ですが、そんなショウを収めた録音も歴史的。この日の録音は以前から高音質で知られていましたが、本作はその最高峰とされるもの。そう、Rising Arrowレーベルのデビュー作として話題になった大名盤『FIRST RISING IN EUROPE』と同じものなのです。この名盤は本当に衝撃でした。独自ルートでもたらされたオリジナル・マスターから流れ出るのは、既発群を問題外にする極上クオリティ。何よりも強力なのは凄まじくオンな感触で、力強くも逞しい芯、詳細極まるディテールが猛烈に鮮やか。ヘッドフォンで耳を澄ませば会場音響も感じられなくはないものの、それさえも鳴りを艶やかに演出すれども、エッジを曇らせることがないのです。さらに驚くのは、それだけのサウンドにも関わらず、リマスタリングを一切行っていないこと。もちろん、ピッチだけは正確に正してはいますが、サウンド面はまったくのマスターそのまま。それにも関わらず、近年のデジタル・リマスターにも匹敵する骨太・肉厚サウンドであり、ド迫力の音圧も誇っている。まさにオーディエンス離れ、「まるでサウンドボード」と呼ぶに相応しい極上マスターなのです。そんなクオリティで描かれるのは、新バンドに燃えるリッチーと、彼を愛するヨーロッパの再会。DEEP PURPLE時代から半ばホーム・グラウンドとも言える人気を誇っていたわけですから、その熱狂はまるで日本並み。オープニングから盛大な「Rainbow!」コールが巻き起こり、豪快な「Kill The King」でいきなりハイライトを描くのです。もちろん、極太な演奏音は主役の座を半歩も譲りはしませんが、このムードが何とも素晴らしい。「Kill The King」の演奏後にも喝采が巻き起こり、PURPLEの残照を発散する「Mistreated」のイントロに驚喜する……。実は、この「Mistreated」こそが最大の聴きどころ。中盤のギターソロで機材トラブルが発生していまい、トニー・カレイのソロが取って代わるのです。このソロがまた、なかなかのもの。突然のトラブルにも関わらず、曲にピッタリと合ったソロを執り、しかも意外と長い。しばらくしてリッチーが再登場してソロを執りますが、そっちの方が不自然なくらい。当時は三頭政治と言われたものですが、これだけフレキシブルに即応するトニーも十二分な実力者だったことがよく分かるシーンです。その後はリッチーもノリを取り戻し、絶品の「Sixteenth Century Greensleeves」「Catch The Rainbow」を繰り広げる。特に「Catch The Rainbow」後半で爆発するリッチーとコージーは凄まじく、「やっぱり三頭政治」と思ってしまいます(苦笑)。そんな初ヨーロッパの熱演が詰まった本作ですが、大きな欠点が1つ。それはカット。「Stargazer」後半でフェイドアウトしてしまい、続く「Still I'm Sad」前半も未収録。つまり、コージーのドラムソロが聴けないのです。しかし、録音が回復してからは、再び虹色のパラダイス。アンコールの「Do You Close Your Eyes」は全編収録されており、ヨーロッパ初日から豪快にギタークラッシュを轟かせ、それでもまだ足りないのか猛烈な弾きまくりで怒涛のクライマックスを聴かせてくれるのです。そんな熱演の後には、少々マニアックなボーナス。当時のインタビュー2種を収録しています。1つはスウェーデンのラジオ番組で放送されたリッチーのインタビュー(バックに『RISING』が流れてます)。もう1つは、少し遡って1976年7月の北米ツアー中にニューヨークで行われたロニー&ジミー・ベインのインタビュー。どちらも極上サウンドで肉声を聴くことができます。初のヨーロッパ公演。もともと人気の高い土地への期待と、新バンドの実力を証明せんとする気迫。その双方が極限まで高まった名演、伝説の初来日にも通じる熱演が爆発する。そんな歴史的ライヴアルバムの最高峰マスター。Live at Stockholm Konserthouset, Stockholm, Sweden 20th September 1976 PERFECT SOUND Disc 1(44:;06) 1. Over The Rainbow 2. Kill The King 3. Mistreated 4. Sixteenth Century Greensleeves 5. Catch The Rainbow Disc 2(52:33) 1. Man On The Silver Mountain 2. Stargazer 3. Still I'm Sad 4. Do You Close Your Eyes Bonus Track 5. Ritchie Blackmore's interview for Swedish Radio 6. Ronnie James Dio & Jimmy Bain interview for US FM New York on July 1976 Ritchie Blackmore - Guitar Ronnie James Dio - Vocal Cozy Powell - Drums Jimmy Bain - Bass Tony Carey - Keyboards