クリーム初期のクラブギグ音源がロウジェネ極上ステレオ録音で登場!ネット上にクリーム初期のクラブギグ音源の衝撃マスターがアップされました!1967年4月22日、ウェストロンドンにあった伝説のクラブ、リッキー・ティックでのギグの、大元の7インチテープに録音されたファースト或いはセカンドジェネレーションマスターという触れ込みです。当音源にはヴィンテージブートにて既発盤はありますが、今回のマスターは何と言っても驚愕のロウジェネマスターにつき、音の鮮度がまったく違います。しかも完璧なステレオ録音です。当時の録音状況か、テープのキャパシティの関係かで僅かにカット部分はありますが、オーディエンス録音なのに、聴けばまるでサウンドボードのようなこの音質での録音が、この時代に行なわれていたという事実に驚愕します。ドラムはセンター、ジャックブルースのボーカルとベースはやや右、クラプトンのボーカルとギターは左、という、まるでクラブの前列中央でクリームを体験しているような音像です。そして何よりも伝説のトリオ、クリームの演奏の新鮮なこと!まだ当時の人気はイギリス国内に留まっており、これからアメリカを席巻しようかという野心とやる気に満ちた、初々しくもド迫力のパフォーマンスが収められています。このマスターの出現は「事件」と言ってもいいでしょう(長生きしてよかった、と思われるオールドファンもおられるのでは?)。60年代のブリティッシュロックをこよなく愛するロックファンには必聴の音源です。全米制覇前夜のクリームを捉えた超貴重な音源 さて、この「1967年4月22日」がクリームにとってどんなタイミングだったのかを解説していきましょう。まだリバプールサウンド(マージービート)が存続している中、66年7月にウィンザーで開催された「第6回ナショナル・ジャズ・アンド・ブルース・フェスティバル」にて衝撃的なデビューを果たしたクリームは、当時のクラブシーンではジャズロックバンドとして最高峰に君臨していたグラハム・ボンド・オーガニゼーション在籍のジャック・ブルース(ベース)、ジンジャー・ベイカー(ドラム)とブルースバンドとして同じく最高峰にいたジョン・メイオールズ・ブルースブレイカーズ在籍のエリック・クラプトン(ギター)によって結成された世界初の「スーパートリオ」と謳われたバンドでした。彼らの演奏力は、三人の高度なテクニックに裏付けられた非常にアグレッシヴなもので、当時は誰も実践し得ない、どのジャンルにも属さない革新的な音楽でした。渡英してきたあのジミヘンがクリームのステージを観て、同じトリオバンド結成に突き動かされたというレベルだったのですから。しかし当時のイギリスでは、まだ大ホールの数は少なく、専ら国内に点在するクラブ(現在で言うライブハウス)を巡るツアーに終始し、地道にライブでの評判を高めていき、シングルやアルバムのセールスに繋げるという活動が主でした。そのため、鳴り物入りで結成されたクリームでもクラブ回りに終始していた時代です(クラブツアーは当時「クラブサーキット」と呼ばれました)。それと並行してBBCラジオのスタジオライブ番組に出演するというのが、当時のバンドの重要なプロモーションの一つでした。それにも出演しながら、クリームもリバプールやポーツマス等の地方のクラブにも足を向けましたが、やはりメインは文化の中心である首都ロンドンに点在するクラブでした。66年12月にデビューアルバム「FRESH CREAM」をリリースし、67年になると、ここにドイツやスカンジナビアでのギグがブッキングされるようになり、クリームの活動も広がりを見せてきます。そんな中、マネージャーが獲ってきた仕事が、67年3月25日~4月3日までのニューヨーク遠征でした。これはクリーム単独のギグではなく、当時ニューヨークで人気を博していたDJ、マレー・ザ・Kが主催する「フィフス・ディメンション・ショー」という出し物にザ・フーと共に出演したものでした(現地からの出演は、ウィルソン・ピケット、ラヴィン・スプーンフル、ミッチ・ライダーらでした)。クリームもブルースとジャズの本場、初めてのアメリカ体験で刺激を受けたのですが、地元の音楽界もクリームに刺激を受けたのでした。このショーに絡んだきっかけで、クラプトンのプレイを聴いたアトランティックレコードの社長、アーメット・アーティガンがマネージャーを口説き、半ば強引にクリームをニューヨークにあった自社のスタジオに招きます。アメリカ滞在のためのビザがあと2日で切れるというタイミングの中、クリームはここで数曲をレコーディングします。これが後に名盤「DISRAELI GEARS」への足がかりとなりました。プロデューサーはフェリックス・パパラルディ、エンジニアはトム・ダウドでした。ニューヨークを再訪し、彼らの下でレコーディングを継続することを約束したクリームは、帰国して、またクラブサーキットに身を置きます。帰国後3つめのギグがこのリッキー・ティックでのステージだったのです!注目すべきはSunshine Of You Loveです。2週間前にニューヨークでレコーディングしてきたばかりの曲でした。ですから、この音源は、現存するこの曲の最古のライブテイクということになります。クリーム後期のような、インプロで拡大したエンディングは姿を現わしておらず、あっさりコンパクトな、スタジオバージョンよりも速いテンポで演奏される初々しいテイクです。Hey Lady Mamaは、ニューヨークのスタジオでも試みた曲ですが、アーティガンが後にこの曲をStrange Brewに改作させたのは有名な話です。また、68年にリリースされた「WHEELS OF FIRE」に収録されることになる Sitting On Top Of The Worldを既にこの時期にプレイしているのも面白いところです。その他のナンバーはデビューアルバムからで、Spoonfulもこの時期には、スタジオバージョンと同様ジャックのハーモニカで始まっていたというレアテイクです。「DISRAELI GEARS」が視野に入った端境期、そして全米進出と制覇前夜という、非常に貴重で珍しい時期のライブと言うことができます。アメリカへの足掛かりを掴み、ニューヨークを再訪する野心に燃えていた三人の凄まじい演奏をお聴きください。伝説のクラブ、リッキー・ティック このギグの会場となった リッキー・ティックは、当時のロンドンでは有名なクラブで、西地区のハウンスローにありました。そう言ってもピンと来ない方がほとんどだと思いますが、意外なところで当時のリッキー・ティックを目にすることができるのです。ジェフ・ベックとジミー・ペイジのツインリードギタリストを擁したヤードバーズが出演したことで有名な、67年公開の英伊合作映画「BLOW UP(邦題:欲望、監督:ミケランジェロ・アントニオーニ)」において、ヤードバースが演奏していた場所がリッキー・ティックだったのです。英俳優デヴィッド・ヘミングス演じる主人公が、漏れ聞こえてくるバンドサウンドに引き寄せられて潜り込んだクラブでヤードバーズが演奏していたのですが、アンプが発するノイズにキレたベックがギターとアンプを破壊するシーンが展開されます。ベックがクラッシュして折れたギターのネックを客席に放り投げるのですが、必死でそのネックの争奪戦に打ち勝った主人公が店の外に逃げ出し、表通りに出た瞬間、「Ricky Tick」という看板が見えるのです。つまりこの撮影場所がリッキー・ティックだったわけです。映画を観たことのある方は、「ああ、あのステージでクリームも演奏したのか」と思って本作を聴いていただければ、よりリアリティも増すことでしょう。当時のイギリスの音楽シーンを垣間見させる貴重かつ最高音質のクリームのクラブギグ。新たに発掘されたロウジェネマスターで、歴史的なライブをお楽しみください。Ricky Tick, Hounslow, UK 22nd April 1967 ULTIMATE SOUND(STEREO)★超高音質 Fresh transfer from 7" master reel copy (40:47) 1. Intro 2. Sunshine Of You Love 3. Hey Lady Mama 4. Sweet Wine 5. Rollin' And Tumblin' 6. Spoonful 7. Sitting On Top Of The World 8. Toad Eric Clapton - Guitar, Vocals Jack Bruce - Bass, Vocals Ginger Baker - Drums