8年ぶりのコステロ来日公演がすべて終了し廃人化してしまった方が日本中におられるかと思われますが(笑)、それもこれも今回は毎回のステージの内容があまりにも違い過ぎた。「セトリが違う」というレベルを超えた、言うなればコステロ・ライブ・ガチャと呼んでしまいたく変化に富んだ来日公演。前日があのような意表を突き、なおかつ攻めたオープニングだったのに対し、東京二日目はこれぞコステロ&ナイーブらしい「Watch Your Step」から「Talking In The Dark」という流れでさっそく打ちのめされてしまったことでしょう。これら二曲を歌い終えたところで「昨日とは違う曲をやるよ」とコステロが告げるのですが、今となっては「昨日とは違うライブになる」と言った方が正しいようにすら思えてしまう。振り返ってみれば東京二日目は「エイティーズ・ナイト」と名付けてしまいたくなるほどコステロ80’sクラシックの連発でした。その最たる例が「Mr. Crescent」からちょっと強引に「Everyday I Write The Book」へと雪崩れ込んだ展開。それ以上にこの会場だからこそできた「Shipbuilding」のパイプオルガン・バージョンではスティーブ・ナイーブが嬉々としてオルガンに向かう様子が目に浮かびます。さらに「Almost Blue」に「Good Years For Roses」といった具合に必殺のコステロ80’sクラシックがこれでもかとばかりに披露される。この流れからの極めつけはアルバム『GOODBYE CRUEL WORLD』からの「The Comedians」。正にコステロ・エイティーズ・ナイトと呼ばずにはいられないセットリストだったのです。そうしたマニア感涙なレパートリーが連発された一方この日は「She」と並んで日本で最も人気のある曲「Veronica」まで披露されたのですが、これがまるで原型を留めないフォーク弾き語り調アレンジだったので、いざ始まってみれば「?」的な空気が本音源から感じられるのが微笑ましい。また「Alison」はコステロがアコギにシールドを繋げないまま歌い始めてしまい、すかさずローディがシールドを持ってきたものの、コステロはボーカルマイクがアコギの音を拾ってくれるからこのままで行こう…的な仕草をみせて会場を沸かせます。怪我の功名とはことのことか、結果としていつもよりアコースティックな風味が強調され、より感動的な「Alison」となったのでした。このマニア泣かせな内容が絶品ステージとなった東京二日目を独占入手のオーディエンス・マスターにて最速リリース。今回の音源を提供してくれたマニアですが、その録音ポジションはナント最前列。こうなると音像は当たり前のように近いのですが、そんな中でもコステロの歌声の近さたるや…圧巻の一言。連日の変化が激しすぎたステージはもちろん、何より聞き惚れたコステロの歌声を絶妙なバランスで捉えてくれた最新かつ最高のオーディエンス・アルバム。Sumida Triphony Hall, Tokyo, Japan 9th April 2024 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc:1 (60:05) 1. Intro 2. Watch Your Step 3. Talking in the Dark 4. All This Useless Beauty 5. The Long Honeymoon 6. Isabelle in Tears 7. When I Was Cruel No. 2 8. Veronica 9. Mr. Crescent 10. Everyday I Write the Book 11. Shipbuilding / We Are All Cowards Now Disc:2 (54:44) 1. Everybody's Cryin' Mercy 2. A Good Year for the Roses 3. Dio, come ti amo / Almost Blue 4. The Comedians 5. She 6. Toledo 7. Watching the Detectives 8. Alison 9. (What's So Funny 'Bout) Peace, Love and Understanding