1985年BEHIND THE SUN全米ツアーの代表的SBD音源が1st GEN.マスターで登場!今回、エリック・クラプトン音源ではお馴染みの、イギリス在住重鎮テーパーから届けられた秘蔵マスターは、85年の「ビハインド・ザ・サン・アメリカンツアー」セカンド・レグから、イリノイ州ホフマン・エステイツ(シカゴ)公演を極上のステレオ・サウンドボード録音で完全収録したファースト・ジェネレーション・ステレオ・サウンドボードマスターです。85年ツアーと言えば、クラプトンがほぼアルコール中毒を克服し、精悍な姿で弾き捲ったことが印象に残るツアーでした。この音源は、過去に複数のレーベルからリリースされていた有名音源で、オーディエンスの歓声のレベルが小さいことから、いわゆる「PAアウト」と呼ばれる会場のPA卓で録音されたものです。既発盤もロウジェネとは言え、何代かのジェネレーションを経たマスターであったのに対し、今回は重鎮テーパーがそのコネクションを利用して苦労の末に入手したファースト・ジェネレーションマスターだけに、大幅なグレードアップは必至で、クリアネス、楽音の粒立ち、サウンドバランス、ステレオセパレート(ミックス)等、どこをとっても「完璧」と言うに相応しいクオリティとなっています。PAアウトがよくモノラルで適当に録音されることが多い中、このマスターでは特にジェイミー・オールデイカーのドラムが、スネア、タム、フロアタムで位相が分かれていたり、二人の女性コーラスの声が左右にセパレートしていたり、ステレオミックスの妙がさらにこのステージの価値を高めています。クラプトンのギタープレイを例にとると、目の前50センチの距離で弾いてくれているような大迫力です。この「生々しさ」は、オフィシャルライブ盤を超える、換言すればオフィシャルライブ盤では成し得ないと言っても過言ではない迫力の、万人にお奨めできるクオリティです。セットリストが変更されたセカンド・レグの魅力 ここでこの年におけるこの公演のポジションを時系列で明らかにしておきましょう。・1985年2月28日~3月15日:イギリスを含むヨーロッパ・ツアー この間、≪1985年3月1日:アルバム「BEHIND THE SUN」リリース≫・1985年4月9日~5月3日:全米ツアー、ファースト・レッグ ・1985年5月8日:米音楽ライブ番組 Late Night With David Letterman 出演・1985年6月21日~7月27日:全米ツアー、セカンド・レッグ ←★ココ★・1985年10月5日~10月11日:6度目のジャパン・ツアー・1985年10月14日~11月6日:アラスカ、ロンドンを巡った後に短期ヨーロッパ・ツアー・198512月3日~23日:一応オフ、しかしこの間、バディ・ガイ&ジュニア・ウェルズ、スティング、ゲイリー・ブルッカー、ダイアー・ストレイツらのコンサートに飛入りし、ステージに立つ 前年にレコーディングが完了したアルバム「BEHIND THE SUN」のリリースを受け、このアルバムのプロモーションのために費やした一年でしたが、本公演は最大のマーケット、全米を回ったツアーの最終行程に当たっていました。意欲作をヒットさせるために、クラプトンが特にアメリカを重視して2回のツアーを組んでいたことがお判りいただけるでしょう。ハーフオフィシャルでリリースされた「RICHMOND 1985」はファースト・レッグに当たっていた公演ですので、本作にてレッグの異なる、聴きどころ満載の公演を聴いていただけるわけです。全米を、レッグを分けて二度訪れたことにより、それぞれのレッグが魅力に満ちたものとなっていました。セットリストに変化がついたのです。セカンド・レッグではクリームの名曲White Roomを17年ぶりに取り上げたこと、BadgeとLet It Rainをメドレーでプレイしたことが特徴として挙げられます。前者のきっかけとなったのは、5月8日のアメリカのテレビ番組「デヴィッド・レターマン・ショウ」への出演でした。この番組の音楽ディレクターを務めていたポール・シャッファーからの熱望に応え、17年ぶりに番組のハウスバンドと共にWhite Roomをプレイしたのです(このハウスバンドには後にクラプトンをサポートするスティーヴ・ジョーダンがドラムで在籍していました)。この出来に満足したクラプトンがツアー・セカンド・レグからこの曲をセットインさせたという経緯があったのです。当該アルバムからの新曲披露は4曲でした(Same Old Blues、Tangled In Love、She's Waiting、Forever Man)。代表曲の中にあっても聴き劣りせず、いずれも素晴らしい演奏となっています。現在ではもうセットインすることが期待できないナンバーですので、新曲披露に燃えていた当時のクラプトンの心意気までも感じ取っていただけるでしょう。特にSame Old Blues でのソロは、もはや言語を絶すると言ってもよい怒涛の領域に達しており、本作のミックスとも相俟って、聴かれた方は誰もがノックアウトされてしまうこと請け合いです。とにかくクラプトンが全編で弾き捲り。凄い内容です。セカンドレッグとしては、日程的にマーシー・レヴィのフィーチャリング・ナンバーShe Loves You(ビートルズのカバー)を聴くことのできる音源でもあります。マーシーの曲はこのタイミングでSomething Is Wrong With My Babyからこの曲に代わりました。この曲ではクラプトンのプレイは聴けませんが、スローテンポにアレンジされたこのビートルズナンバーでは、クリス・スティントンのピアノとティム・レンウィックのコード分解のアルペジオプレイだけをバックに切々と歌うマーシーの上手さが際立つ秀逸なアレンジです。一方、ショーン・マーフィー(後にリトル・フィートのリードボーカルとして加入)のフィーチャリングナンバーSteppin' Outではクラプトンはステージに居残り、シャープなソロを決めています。終盤で彼女が「Chicago, No bad blues!(シカゴにはイマイチなブルースなんてないわよね!)」とシャウトして、オーディエンスが盛り上がるシーンも、ご当地録音ならではの聴きどころです。こうしたバラエティに富んだセットにおいてもDouble Troubleというマイナーブルースを組んでいるところがクラプトンたる所以で、代表曲、新曲、ブルースと、バランスの取れた、クラプトンの魅力を余すところなく伝えるセットリストだったと言えるでしょう。上手さが際立つクラプトンの歌とアグレッシヴなギターソロの波状攻撃 このツアーでのクラプトンは、飛躍的に歌が上手くなったように感じられます。自信に満ち、堂々とした歌いっぷりは、男の色気をも感じさせるものです。どうぞじっくり耳を傾けてください。さらにギターソロがこれまでになくアグレッシヴで、速いパッセージを畳み掛けるパターンが幾度も出てきます。これが非常にスリリング!オープニングではシャープなスライドプレイを決めた2曲に続き、I Shot The Sheriffの後奏のソロで早くも本調子をアピールし、続くSame Old Bluesで一気にテンションを高めていきます。White Roomで聴かれるクラプトンのソロは、やはりオリジナルであるクリームのバージョンを名曲たらしめた本人のプレイだけに、クリーム時代に優るとも劣らない、ワウワウ踏み捲りの素晴らしいフレーズ構成です。クリーム解散後は、作者であるジャック・ブルースも自身のバンドで数々のギタリストにこの曲をプレイさせてきましたが、どのギタリストよりも本作でのクラプトンのプレイが優れているように思えます。演奏終了後には、大興奮したオーディエンスの歓声、拍手が鳴りやまず、思わずクラプトンが「Stop it.(もういいよ。)」と止めるシーンも捉えられています。それほど凄いプレイなのです。Tangled In Love、Badge、Let It Rainでも、高速スローハンド奏法が炸裂しています。そんな中にあって、ド・ブルースのDouble Troubleではブラッキーがこれでもかと泣き捲っています。このプレイを聴くと、やはりクラプトンはブルース・ギタリストなのだなと実感します。また、Laylaの後奏でのソロも凄まじいレベルで、ここでも言葉を失うこと必至です。この頃のLaylaのソロはこんなに力を入れて弾いていたんだと実感できる素晴らしいテイクになっています。アンコールは2曲。かっこいいとしか言いようがないForever Man、メンバー全員にソロが回されるFurther On Up The Roadまで、エンジン全開で走り切ったクラプトンの姿に清々しさを感じていただけるでしょう。ブラッキー最後のツアー!73年のレインボー・コンサートでデビューし、以降カムバックしたクラプトンの愛機としてずっと彼と共にあったストラトキャスター「ブラッキー」。長年メインギターとして使用されてきたためネックがへたり、1弦をチョークダウンした際にネックからはずれてしまうほどになってしまったため、クラプトンはこのツアーを最後にブラッキーを引退させ、翌年から新たに開発されたカスタムストラトを使用するようになります。つまりあの枯れた「ハーフトーン」を聴かせてくれたのは、このツアーが最後だったのです。本作のI Shot The Sheriff以降ではブラッキーが唸り捲り、泣き捲っています(オープニングから2曲とTulsa Timeではロジャー・ギフィン作の別のストラトをオープンチューニングのスライド用として使用しています)。このトーンはまさにブラッキーだけのもの。このギターがあったからこそクラプトンのプレイは枯れた味わいを出せたのだと言えます。アンプダイレクトの生々しいブラッキーサウンドを是非本作でご堪能ください。この時期だけの一流バックメン バックメンには、83年ツアーの流れからスタックスの名ベーシスト、ドナルド・ダック・ダンとタルサ・トップスのジェイミー・オールデイカーという、クラプトンの歴代バンドの中でも最強のリズム・セクションと言っていい二人が在籍していた時期でした。どうぞ、この時期のみクラプトンをサポートした故ドナルド・ダック・ダンの弾むベースプレイと、手数が多く、ダイナミックな故ジェイミー・オールデイカーのドラミングと共に、メンバー紹介でクラプトンを紹介するダック・ダンのユニークなコメントもお楽しみください(クラプトンはダック・ダンとは本当にウマが合ったようで、83年に自身のレーベルを立ち上げた際には「ダック・レコード」と名付けたほどでした)。さらには後に「ギルモア・ピンク・フロイド」をサポートするイギリス古参のギタリスト、ティム・レンウィックのプレイが聴ける唯一のツアーでもあります。まったくミストーンのない手堅い彼のプレイも聴きどころとなっています。彼の個性溢れるプレイはI Shot The SheriffとWhite RoomでのオブリガートやBadge、Cocaineのセカンドソロ、Laylaでのオブリガートとあの7連フレーズ、Forever Manの締めのソロで聴くことができます。そして忘れてならないのが、現在もクラプトンをサポートしているクリス・スティントンです。冒頭のピアノによるプロローグからピアノはもちろんのこと、オルガン、シンセサイザーと大活躍です。39年前にも二人の絆は固かった。ブラッキー・ストラトの響き渡るトーンとともに、彼らのサポートぶりも聴き込んでいただきたい素晴らしいステージです。「ビハインド・ザ・サン・アメリカンツアー」を代表するサウンドボード音源を初めてファースト・ジェネレーションマスターから収録した、過去最高音質を誇る本作。Poplar Creek Music Theater, Hoffman Estates, IL, USA 5th July 1985 STEREO SBD(from Original Masters) UPGRADE Disc:1 (53:24) 1. Intro. 2. Tulsa Time 3. Motherless Children 4. I Shot the Sheriff 5. Same Old Blues 6. Tangled In Love 7. White Room 8. Steppin Out 9. Wonderful Tonight 10. She's Waiting Disc 2 (52:12) 1. She Loves You 2. Badge 3. Let it Rain 4. Double Trouble 5. Cocaine 6. Layla 7. Forever Man 8. Band Introductions 9. Further On Up the Road STEREO SOUNDBOARD RECORDING Eric Clapton - guitar / vocals Tim Renwick - guitar Chris Stainton - keyboards Donald 'Duck' Dunn - bass Jamie Oldaker - drums Marcy Levy - backing vocals Shaun Murphy - backing vocals