2CDは、ベスト・マスター&細密マスタリングによって伝統録音の最高峰を更新した新名盤。その解説でも触れましたが、このショウには伝統録音とは別の「第二のハノーファー録音」が存在します。実は、この別録音も2CDと因縁が深い。というわけで、本作に吹き込まれているのは2CDと同じ「1970年11月27日ハノーファー公演」。その極上オーディエンス録音です。CDとは完全別録音になるわけですが、それぞれどういう特徴があるのか。ここでカンタンに整理しておきましょう。2CD「Recorder 1」・古くから知られる伝統の名録音・モノラル・130分超えの長尺でショウ全景を記録・伝説の「Corrosion」収録 本作「Recorder 2」・2010年代の発掘録音・ステレオ・約30分の短尺録音・ショウ終盤のみで「Corrosion」はなし……と、このようになっています。「Recorder 2」は『IN GERMANY』の一部としてご紹介したことがある発掘録音です。ただし当時は「Recorder 1=ハンブルク録音」と考えられており、「伝統録音と同じ演奏だからrecorder 2もハンブルクだ」と誤解。『IN GERMANY』でも誤ってクレジットされてしまいました。本作は、そんな「Recorder 2」のベスト・バージョン。2CDが「Recorder 1」の最高峰更新盤だったように、本作も過去最高のサウンドを封じ込めています。2CDと同じように、コア・コレクター「Neonknight」氏が公開したマスターを「GRAF ZEPPELIN」が磨き上げたのです。特に大きいのは「Neonknight」マスターの鮮度。従来マスターも新発掘らしく大元からトランスファーされていたのでジェネレーション的な違いはないのですが、デジタル化の精度がまったく違う。前回盤はノイズ・リダクションが稚拙だったのかデジタル加工のギスギス感が思いっきり出ていたのですが、「Neonknight」マスターは非常にナチュラル。多少ヒスは感じられるものの、大元テープが吸い込んでいたサウンドを最大漏らさずデジタルに移し替えており、生々しくも厚みと臨場感をたっぷりを味わわせてくれるのです。上記のように「Recorder 2」は、このショウの最重要ポイントである「Corrosion」がない。発掘とリサーチを重ね、歴史の真実を炙り出していくアーカイヴの世界。本作は素晴らしい音楽アルバムと言うだけでなく、アーカイヴの深みと醍醐味まで教えてくれる1枚です。Niedersachsenhalle, Hanover, Germany 27th November 1970 PERFECT SOUND(STEREO)(29:57) 01. Green Is The Colour 02. Careful With That Axe, Eugene 03. MC 04. Set The Controls For The Heart Of The Sun