数々の事件を繰り返しながらプログレッシヴ・ロックへの道を切り拓いていった1969年のPINK FLOYD。その現場を伝える名録音がリリース決定です。そんな本作に吹き込まれているのは「1969年8月8日プランプトン公演」。伝説のフェス“第9回National Jazz & Blues Festival”に出演した際のオーディエンス録音です。1969年と言えば、大名盤『ウマグマ』や名盤『THE MAN & THE JOURNEY』などの名作が残されています。そんな中で本作のポジションはいかなるものなのか。まずは当時の活動概要を俯瞰してみましょう。《1月ー2月『モア』制作》・1月10日ー2月1日:英国#1(7公演)・2月12日ー3月27日:欧州#1(22公演)・4月14日ー7月4日:欧州#2(35公演)←※ウマグマ他・7月20日ー11月7日:欧州#3(36公演)←★ココ★《11月7日『ウマグマ』発売》・11月26日ー12月6日:英国#2(5公演)これが1969年の活動概要。『ウマグマ』はスタジオもライヴも「欧州#2」の時期でしたが、本作のプランプトン公演はその約3ヶ月後。「欧州#3」の6公演目であり、『THE MAN & THE JOURNEY』約1ヶ月前でもありました。この日は古くから名録音が残された事で有名で、中でも最高峰に君臨する決定盤なのが決定盤『PLUMPTON 1969』。実は、本作もあの大名盤の関連作品でして、本作が生まれからこそかの名盤も実現し得たのです。その意味をご説明するためには、プランプトン録音の基礎知識から。この日の録音は2種類「Recorder 1」「Recorder 2」が見つかっています。それぞれ、カンタンに特徴を整理しておきましょう。●Recorder 1・ノーカット録音で、音質的にもベスト・ただし、ショウ中盤からテープ劣化が目立ち始めるので完璧ではない ●Recorder 2・往年の名テーパー:ニック・ラルフ氏による録音・音質も良い方だが、やや爆音気味で静かなシーンになるとヒスもある・曲間のカットあり……と、このようになっています。名盤『PLUMPTON 1969』は「Recorder 1」「Recorder 2」双方のアップグレード・マスターを駆使して制作された頂点ライヴアルバムだったわけです。では、本作は何か?それは名盤の素材ともなった「Recorder 2」のアップグレード・マスターなのです。その中身は有名コレクターNeonknight氏が発表したもので、3種のテープを組み合わせたもの。3種テープはいずれも「Recorder 2」なのですが、系統や枝葉によって状態が異なっていた。それぞれのベスト・パートを組み合わせる事で、「現存する最長のRecorder 2」を実現したのです。どのパートがどのテープなのかは下記の曲目をご参考頂くとして、目を見張るのはそのアップグレードぶり。さすがに伝統の「Recorder 1」を超えることはないのですが、それまでは補填用としか考えられなかった「Recorder 2」が長尺ライヴアルバムとしても十二分に楽しめるようになったのです。特に美味しいのは、冒頭4曲の「Shamil's CDR」パート。名盤『PLUMPTON 1969』では「Recorder 1」が担っていたパートを別録音で楽しめるのです。例えば「太陽讃歌」は冒頭からロジャーによってかき鳴らされる銅鑼の音やニックのタム廻しといった重心の低い音が改善。従来のRecorder 2よりも金属音や低音域の爆音、そしてテープ・ヒスが大幅に軽減され、アンサンブル全体の音が格段に聴きやすくなっている。以前はアタックが強過ぎた中盤のベースも鮮やかになり、そのベースの背後にあった各楽器の表情までしっかり耳に届く。「シンバライン」もヒスノイズが桁違いに薄まった事でギルモアの歌声やギター、ロジャーとのハーモニーもカラフル。モノラル本来の厚みと奥行きがグッと増しているのです。伝説フェスを伝える最高峰ライヴアルバム『PLUMPTON 1969』。その誕生に大きく寄与した「Recorder 2」のベスト・バージョンです。コアなコレクター達が素材を持ち寄ったことで生まれたライヴアルバムで蟻、従来のような補填素材の域を超えた音楽作品でもある。伝説フェスを伝える名録音がリリース。異なる3種の「Recorder 2」テープからベスト・パートを組み合わせたもので、それまで補填素材でしかなかった「Recorder 2」を音楽作品に引き上げたアップグレード版です。9th National Jazz & Blues Festival, Plumpton Racecourse, Plumpton, Sussex, UK 8th August 1969 UPGRADE (70:43) Shamil's CD 1. Set The Controls For The Heart Of The Sun 2. Cymbaline“The Journey” Suite 3. The Beginning (a.k.a. Green Is The Colour) 4. Beset By Creatures Of The Deep (a.k.a. Careful With That Axe, Eugene) 5. The Narrow Way (a.k.a. The Narrow Way, Part 3) careful53's cassette 6. The Pink Jungle (a.k.a. Pow R. Toc H.) 7. The Labyrinths Of Auximines (a.k.a. Interstellar Overdrive) 8. Behold The Temple Of Light 9. The End Of The Beginning (a.k.a. A Saucerful Of Secrets) goldenband's cassette 10. Interstellar Overdrive