本作に収められているのは、14トラックのオフィシャル音源集です。似たコンセプトの既発盤『EXTRA EARLY TRACKS』をご紹介した事もありましたが、あれはわずか6トラック。本作は比べものにならないほど増量したディープな1枚なのです。その深さは具体的にお話しするのが一番。早速、各トラックを詳しくご紹介していきましょう。ライヴ録音:「Drifter」ライヴのエディット版 本作は、ライヴ・トラックの方が主役。3CDとは逆に、ライヴ篇の方が先に収録されています。まず登場するのは「Drifter」のマーキー・ライヴ。CDの解説でも触れましたが、1980年のマーキーライヴには「4月3日」と「7月4日」の2種類があるわけですが、「4月3日」のテイクは国によってエディット・バージョンで収録されていました。本作は、そのショート版。3CDに収録されたフル・バージョンでは「6:02」でしたが、こちらは「3:38」。「Yo, yo, yo, yo♪」のかけ合い中にフェイドアウトして終了してしまいます。もちろん当店で勝手に切ったわけではなく、公式のアナログEPからデジタル化致しました。ライヴ録音:ホームビデオ撮影のライヴ(新規9曲)次いで収録されているのは、11日後の「1980年4月14日ラスキン・アームズ公演」。DVD『THE EARLY DAYS』で公式化されたライヴ録音です。これも公式テイクではありますが、ソースはホームビデオ。マイク録音ですので実質的にオーディエンス録音ですし、「Wrathchild」「Another Life」で音切れがあるなど、かなり不安定。他の公式トラックとはクオリティが違いすぎるので、本作に復刻収録されました。なお、ヒストリービデオ『12 WASTED YEARS』にも“4月8日”と称したホームビデオ映像が使われていますが、これは『THE EARLY DAYS』の“4月14日”と同じものです。スタジオ録音:「Running Free」の放送ミックス(新規)さらに新規で追加されたのが西ドイツの名物番組「Rockpop」で放送された「Running Free」。本編プレス3CDの「Top of the Pops」と同様『THE EARLY DAYS』で公式化されたテイクですが、こちらはスタジオ版に歓声を被せただけのマイムでした(ちなみに、その当て振りがエドリアンの加入初仕事でもありました)。これはこれで別ミックスと言えなくもないのですが、実際にはモノラル化した上に音質も劣化。単にショボくしただけのテイクを永久保存するのも憚られ、こちらに収録されました。スタジオ録音:見落とされがちなエディット違い「Phantom Of The Opera」ここから話はグッとマニア向け。スタジオ版「Phantom Of The Opera」のバージョン違いです。この曲は『鋼鉄の処女』でも目玉の超名曲ですが、実はエディット違いで2種あります。オリジナル版は「7:21」ですが、実は国や再発盤によってはショート・バージョン「7:09(盤のトラック割りによって7:02のこともあります)」が収録されている事もあります。違いは、最後の最後。ショート・バージョンはバンドと共にディアノが「You torture me back at your lair!」と叫んで終わりますが、フル・バージョンはもう一度アカペラで「Torture me back at your lair!」と繰り返す。お手持ちのバージョンがどちらであっても対応できるよう、本作ではオリジナル/ショートの両バージョンを収録しています。スタジオ録音:公式化されなかった「Transylvania」デモ 最後は、公式化されなかったディアノ時代のデモ・テイク。資料によって1979年とも1980年とも付かないのですが、一説によるとガイ・エドワーズがエンジニアを務めたセッションのデモ。ガイはシングルB面の「Burning Ambition」や『AXE ATTACK!』に誤って収録された「Running Free」でもエンジニアであり、同じセッションの可能性も高い。その場合、ドラムはダグ・サンプソンということになります。ミスとは言え、公式コンピ『AXE ATTACK!』に収録された「Running Free」とは違い、こちらはあくまでもクオリティも厳しい非公式の流出デモ。「聴いて楽しい」まで重視した究極コンピレーションに収録すると蛇足ではあるものの、確かに存在していた公式テイクやデモ。それをディープに集成した1枚です。お手元の『鋼鉄の処女』『キラーズ』がどんなバージョンであろうとも「コンプリート」まで到達できる美味しいディスク。71:11) 1. Drifter (Live Edit Version) Recorded at the Marquee Club, London, UK 3rd April 1980 2. Sanctuary ★新規★ 3. Wrathchild ★新規★ 4. Prowler ★新規★ 5. Remember Tomorrow ★新規★ 6. Running Free ★新規★ 7. Transylvania ★新規★ 8. Another Life ★新規★ 9. Phantom Of The Opera ★新規★ 10. Charlotte The Harlot ★新規★ Recorded at the Ruskin Arms, London, UK 14th April 1980 11. Running Free ("Rockpop" Mix) ★新規★ 12. Phantom Of The Opera (Short Version) 13. Phantom Of The Opera (Full Version) 14. Transylvania (Demo Version) Paul Di'Anno - Vocals Steve Harris - Bass Dave Murray - Guitar Dennis Stratton - Guitar Clive Burr - Drums