クラプトン全キャリア中ピークの一つ、「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」の初登場音源第二弾!先般、既発盤の欠点を完璧にクリアしていた大元マスター出現としてセンセーショナルな話題となった「IRVING PLAZA 1994 3RD NIGHT: DAT MASTER(2CD)」。クラプトンがキャリアの原点に戻り 、短期間だけ小さなクラブを回った94年の「ナッシン・バット・ザ・ブルース・クラブツアー」からの、94年11月28日、ニューヨークシティ、アーヴィングプラザ公演3日目の極上ステレオ・オーディエンス録音の決定版として大好評を得ております。このたびは、そのマスターを提供してくれたテーパーから、またしても驚愕のDATマスターがもたらされました!クラブツアーの前節として実施された「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」からの、10月8日のニューヨーク、マジソン・スクエア・ガーデン公演初日の素晴らしいステレオ・オーディエンス録音のマスターに続き、同一人物により録音された10月9日のマジソン・スクエア・ガーデン公演2日目のDATマスターです。初日音源と同じく、クラブとは会場のキャパと空間構造の違いによって音像は異なりますが、このマスターも 初日同様高音質でステレオ録音された優良マスターです。音像も初日とほぼ同じ。クラブツアーに比してアリーナツアーですので、本作も通常のアリーナコンサートで聴くことのできる会場の、アリーナ席好ポジションで録音されたと推測できる、一級のオーディエンス録音です。この日の既発盤としましては、初日と同じく、海外の一部だけで流通したほぼ私製のブートがありましたが、これも恐らく日本には入ってきていないと思われます。本作によって日本のクラプトンファンは初めてこの日の音源を聴くことができることになります。初日、2日目と、日本初登場の優良マスターの登場は、クラプトンファン、ブルースファンには朗報ではないでしょうか。本作の音質も一言で表現すれば、「非常にきれいな録音」です。ステージ上の楽音を空気感を含み、バランス良くクリアに捉えています。クラブツアーの決定版が当店リリースの「IRVING PLAZA 1994」の3連作だとすれば、アリーナツアーの決定版は「Madison Square Garden 1994」の連作で決まりです。このツアーを題材として製作された、マーティン・スコセッシ監督によるオフィシャルリリースの映画とそのサントラCD「ナッシン・バット・ザ・ブルース」はクラブツアーを捉えたもので、スコセッシの意向により、映像の構成上実際のソングオーダーとは異なる形で収録されていた上に、コンサートの完全収録ではなかったこと、また会場がクラブであったことを考えると、より大勢のオーディエンスの感動を巻き起こしたアリーナツアーの本作も「IRVING PLAZA 1994」同様に聴く価値の非常に高いものだと断言できます。94年~95年に実施された「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」は、クラプトンのキャリアにおいて神懸かり的に歌い、弾き捲ったツアーと評されるものでした。2年がかりで行なわれたこのツアーの全公演では一切の手抜きなし、全公演で弾き捲り、歌い捲り。余裕を持ち、リラックスしながらもブルースに体当たりのチャレンジをしたようなステージでした。彼にとって「ブルース」というものに対する答えを自ら出したとも言える「決意」を示したツアーであったと位置づけられます。クラプトンがブルースに回帰した訳 ではなぜ94年というタイミングでクラプトンはブルースに回帰したのでしょうか?それには彼の悲しい人生を辿らざるを得ません。91年3月、幼い息子を不慮の事故で亡くしたクラプトンは、精神的に人生のどん底に落ち込みました。しかしスタッフや友人ミュージシャンたちに励まされながらクラプトンは、その状態から亡き息子への想いとこれまでの自分の人生回顧を曲創作に向けるというカタルシスに転化させました。そしてその初披露の場となったMTV「アンプラグド」において、クラプトンは少年期から憧れプレイしてきたブルースも同時に演奏しました。そこで改めてブルースの本質に触れたクラプトンは、通常のツアーに復帰しながらも、翌93年には、恒例となっていた初頭のロイヤル・アルバート・ホール連続公演ではブルースだけでセットリストを組んだコンサートを行なうことを決意し、実行します。そして若い頃にはできなかった念願のブルースオンリーのアルバム「FROM THE CRADLE」のレコーディングを敢行したのです。それまでにもクラプトンは契約レーベルであるワーナーに対し、ブルースアルバムの制作を打診していましたが、「そんなものが売れるわけがない」と一蹴されてきました。ところがアルバム「UNPLUGGED」が空前の大ヒットを記録したことで、ワーナー側の態度が軟化、クラプトンへのボーナス的にブルースアルバムの制作を承認したということも追い風となりました。そして「FROM THE CRADLE」は何と「UNPLUGGED」に続き、全米アルバムチャートの1位を獲得するヒットとなったのでした。本場アメリカのリスナーもクラプトンのブルースを欲したのです。アルバム「FROM THE CRADLE」の実現を受けて、自身ではライブステージでもブルースを極めたいという意思を固めたのでしょう。この勢いを駆ってクラプトンが計画したのが、ライブでもブルースだけを演奏する「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」だったというわけです。本作でも、オープニングナンバーの終了後に、クラプトン自らこのコンサートの趣旨を語るシーンがあります。幼い息子を失ったという精神のどん底において、自分を見失わないよう導いてくれたのがブルースだったと、クラプトンは気づいたのではなかったでしょうか。ブルースに魅せられた少年時代を思い出し、改めてブルースとそれを演じた先達に感謝するため、とことんブルースに回帰したのが「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」でした。このツアーに懸けたクラプトンの心意気は只ものではなかったと言えます。全編がハイテンション&聴きどころのステージ構成 ここで「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」の日程をおさらいしておきますと、<1994年> ≪9月13日「 FROM THE CRADLE」リリース≫ 9月28日:ニューヨーク、ハマースタイン・ボールルームにてツアーリハーサルを映像収録。これは後にアメリカ、ヨーロッパ、日本で放映された。 10月3日~11月4日:全米アリーナ・ツアー ←【ココ】 11月7日~11月28日:全米クラブ・ツアー <1995年> 2月15日~3月7日:イギリス・ツアー 4月5日~5月5日:ヨーロッパ・ツアー 8月28日~9月24日:全米アリーナ・ツアーⅡ 10月1日~10月13日:ジャパン・ツアー 本作に収録された10月9日は、この「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」の序盤に当たっていたことがお分かりでしょう。8日の初日とセットリストは同じですが、そこはライブアーティスト、クラプトンのこと、両日のプレイは完全アドリブですので、同曲でもまったく違うソロが聴けます。シッティングのアコースティックセットからスタンディングのエレクトリックセットに移行する中、その進行に連れてクラプトンとバンドの「熱」が急激に高まっていき、終盤では火を噴くように激しく情熱的な演奏が展開され、究極まで上り詰めたところでレギュラーセットが終了。レギュラーセットラストではピアノだけをバックに独唱し、エンディングはバンド総勢での感動的な演奏で締めるという意外なナンバーAin't Nobody's Businessでオーディエンスの心を震わせて終了、という構成でした。前半は、アコースティックもしくは定型のリフで構成されたナンバーでのプレイのため、パターン化された演奏を手堅く決めている感じですが、中盤以降のギターソロが大々的にフィーチュアされるナンバーについては、ライブアーティストであるクラプトンの真髄を見せるように、完全アドリブで澱むことのない切れ味抜群の怒涛のフレーズを畳み掛けています。Someday After A Whileから3曲連続でプレイされるフレディ・キングコーナーでの流麗なソロも聴きものです。中でも特にFive Long Years以降の終盤での弾き捲りは凄過ぎます。本当によくぞここまで指が動くものだと感嘆させられます。しかもただの速弾きではなく、スピリットが乗っかっているクラプトンならではのフレーズなのです。注目はBorn Under A Bad Signで、この曲はクラブツアーでは演奏されませんでした。それだけに、Crosscut Sawとともに、アルバート・キングに迫るクラプトンを確認できる貴重なテイクだと言えます。そしてこの日のAin't Nobody's Businessも最高!この曲は1922年に作られたもので、様々な歌手がカバーしたのですが、クラプトンは戦前の女性ブルース歌手ベッシー・スミスが1923年に歌ったバージョンを元にしています。「一文無しになろうが、海に飛び込んで自殺しようが、私のことは放っておいて」という、自らの不運な人生を嘆く内容をクラプトンは淡々と歌います。しかし最後にはバンド全体で感情を爆発させます。それは自暴自棄の叫びなのでしょうか、それともここからはクラプトンが、「自暴自棄になっちゃいけない。自分を大切にして。」と主人公を励ましているのでしょうか。そんな風にも取れるここでのプレイは素晴らし過ぎます。このツアーでは、スタジオ録音したことがないブルースを多くプレイしましたが、この曲は特に印象深いものです。レギュラーセットのラストに持ってきたことを考えると、確実にクラプトンの何らかの意図があったと思われます。さらにこのアリーナツアーでは、オープニングアクトに友人ギタリストであるジミー・ヴォーンのバンドを指名していたこともあり、アンコールではSweet Home Chicagoがプレイされ、ヴォーンが飛入り参加しています。これは、オープニングアクトのなかったクラブツアーにはなかった楽しみです。アリーナツアーの聴きどころの一つとして、お楽しみください。またこのツアーでは、クラプトンはキャリア史上ワンステージでの使用ギター数としては最多記録となる10本ものギターを使い分けたことも特筆すべきことでした。それは、オリジナルのブルースアーティスト&レコーディングを重んじ、同じサウンドを出そうとしてのことでした。そのこだわりを整理してみますと、①マーティン12弦-Motherless Child ②マーティン000-42-Malted Milk ③ドブロ-How Long Blues ④ギブソンL5-Kidman Blues、 County Jail ⑤ギブソン・バードランド(ブラウンサンバースト)-Forty Four ⑥フェンダー・ストラトキャスター(ブロンドフィニッシュ)-Blues All Day Long、Going Away、 Can't Judge Nobody、Five Long Years、Born Under A Bad Sign、Groaning The Blues 、Crossroads、Ain't Nobody's Business、 Sweet Home Chicago ⑦フェンダー・ストラトキャスター(ブラックフィニッシュ)-Standin' Around Cryin' ⑧ギブソン・バードランド(ブロンドフィニッシュ)-It Hurts Me Too、Blues Before Sunrise ⑨ギブソンES-335(ブラウンサンバースト)-Reconsider Baby、Sinner's Prayer ⑩ギブソンES-335(チェリーレッド)-Someday After a While、Tore Down、Have You Ever Loved A Woman、 Crosscut Saw 本作の極上音質なら、ギター毎のトーンも正確に捉えられています。クラプトンのギタートーンまで及んだこだわりを是非、各曲でお楽しみいただきたいと思います。初日、2日目と2作同時リリースですので、「どちらか1作なら、どちらにしようか?」と悩まれるかもしれません。しかし正直に申し上げて、どちらのクラプトンも凄いので、両方をおススメするしかありません。是非2作とも聴いていただければと思います。「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」を捉えたアリーナツアーの決定版は本作と「Madison Square Garden 1994 1st Night: DAT Master(2CD)」です!Madison Square Garden, New York City, NY, USA 9th October 1994 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) UPGRADE!!! Disc:1 (60:46) 01. Motherless Child 02. Malted Milk 03. How Long 04. Kidman Blues 05. County Jail 06. 44 07. Blues All Day Long 08. Going Away 09. Standin' Around Cryin'10. Hoochie Coochie Man 11. It Hurts Me Too 12. Blues Before Sunrise 13. Third Degree 14. Reconsider Baby 15. Sinner's Prayer 16. Can't Judge Nobody Disc:2 (55:39) 1. Someday After A While 2. Tore Down 3. Have You Ever Loved A Woman 4. Crosscut Saw 5. Five Long Years 6. Born Under A Bad Sign 7. Groanin' The Blues 8. Crossroads 9. Ain't Nobody's Business 10. Sweet Home Chicago* Eric Clapton - guitar / vocals Andy Fairweather Low - guitar Chris Stainton - keyboards Dave Bronze - bass Andy Newmark - drums Jerry Portnoy - harmonica Simon Clarke - baritone saxophone Roddy Lorimer - trumpet Tim Sanders - tenor saxophone Jimmie Vaughan - guitar *