NIRVANAの……いえ、ひとつの音楽ジャンル“GRUNGE”の胎動。ひいては、音楽シーンそのものを塗り替えた“現象”が誕生した瞬間を2CDに封じ込めたライヴアルバムが登場です。本作に収められているライヴは2つ。「1987年3月7日レイモンドでの初ライヴ」と「1987年5月6日KAOSオリンピア・ラジオ」で、NIRVANAが結成された1987年録音のすべて。いずれもアーロン・バークハードがドラマーを務める極初期NIRVANAの定番音源ですが、海外マニアが制作・監修した過去最高バージョンなのです。それでは、個別にご紹介していきましょう ディスク1:1987年3月7日レイモンドでの初ライヴ NIRVANAの初ステージを収めた大定番のオーディエンス録音です。慣例に従って「オーディエンス」としましたが、そのサウンドはオーディエンス/ラインをわざわざ区別するようなものではありません。実は、このライヴはいわゆるコンサートではなく、高校の音楽仲間であるTony Poukkula(トニー・ポークラ?)の自宅地下室でのパフォーマンス。仲間内でのホームパーティの模様なのです。狭い狭い地下室だけに演奏は激近ですし、観客(というより音楽仲間たち)の喝采を拾っているのがヴォーカルマイクなのか、録音マイクなのかの違いでしかない。いわゆるデモ/リハーサル音源と同じような「ほぼライン録音」な超密着サウンドなのです。前述の通り、この録音は古くから知られているものですが、本作は過去最高バージョンを更新するもの。実は、これまでの既発はmp3の圧縮音源が元になってきたのですが、本作はそれとは違い、つい数ヶ月前に登場したロスレス音源なのです。つまり、現場そのままのサウンドが一切の圧縮を経由せず、まったく欠けも歪みもなく聴けるのです。この音源は某有名研究家が提供してくれたのですが、その研究家の監修により貧弱だった低音を増強した上で徹底的にピッチを直すマスタリング。“現場の音”を忠実に再現せんがためのありとあらゆる手法を駆使しました。そうして蘇った鮮やかなサウンドは空前絶後。もともと激近を超えた密着感覚の録音でしたが、それが一切の歪みさえなく耳にねじ込まれるかのよう。コンサートとはまったく違う、仲間内の和やかな雰囲気の中、LED ZEPPLINのカバーをしたり、AEROSMITHのお遊びをしたり、「トニー・アイオミがさぁ!」と話し込む声までもが超リアル。ホームパーティらしい和気藹々としたムードがたっぷりと感じられるのですが、その中で鳴り響くサウンドがえらく暴虐。この混沌としたムードをどう表現すればいいのか……「手作りの轟音」? 「天才たちの遊び場」? ともあれ、将来の革命を予感させる凄まじい地下室パーティなのです。ディスク2:1987年5月6日KAOSオリンピア・ラジオ 続くディスク2は、2ヶ月後のラジオ出演サウンドボード。こちらも古くから知られる有名な定番で、ディスク1と同じく有名研究家による提供・監修によるもの。こちらのスペシャルは、オフィシャル・ボックスセット『WITH THE LIGHTS OUT』音源と、ラジオ・エアチェックのコラボレーション。公式ボックスは、放送前マスターから3曲「Anorexorcist」「White Lace and Strange」「Help Me, I'm Hungry」が採用されていましたが、それを使用しつつ、残りを現存するエアチェックの最良音源で補完し、完全版に仕上げている。もちろん、ディスク1と同様に研究家の監修によるマスタリングで最高峰サウンドに仕上げました。そのサウンドで描かれるロックは、まさに“NIRVANAの原型”と呼ぶべきもの。ディスク1のホームメイド感覚とはまったく違い、荒削りながらも“自分の音楽”と真正面から向き合うプロフェッショナルな視点が芽生えている。カート・コバーン自身が気に入ってデモにも使用していましたが、若干20歳の若き感性が世界の暗黒を感じ取り、切り取ったような“眩しい轟音”がまき散らされる。当時は“SKID ROW”を名乗っていたわけですが、『BLEACH』の「Floyd The Barber」「Downer」も演奏され始めており、まさに「革命の胎動」と呼ぶに相応しいマグマ渦巻く生演奏なのです。誕生の年“1987年”に2つだけ残されたライヴ音源。世界的な権威が監修したからこその過去最高バージョンです。ここから、革命が始まった。世界の誰もが知らなかった地下室の一夜から、誰もが知る革命家が世に飛び出していったのです。その巣立ちの瞬間を捉えた極上のライヴアルバム……いえ、これはもうロック全体のヒストリカル・アルバム。17 Nussbaum Road, Raymond, WA. USA 7th March 1987 The Evergreen State College, Olympia, WA. USA 6th May 1987 Disc 1(46:53) The First Show 17 Nussbaum Road, Raymond, WA. USA 7th March 1987 初ステージ。エアロスミスやツェッペリンのカバー演奏しています。 1. Downer 2. Aero Zeppelin 3. If You Must 4. Heartbreaker Jam 5. How Many More Times Jam 6. Mexican Seafood 7. Pen Cap Chew 8. Spank Thru 9. Hairspray Queen Disc 2(33:36) KAOS Olympia Community Radio The Evergreen State College, Olympia, WA. USA 6th May 1987 1. Love Buzz 2. Floyd The Barber 3. Downer 4. Mexican Seafood 5. White Lace And Strange 6. Spank Thru 7. Anorexorcist 8. Hairspray Queen 9. Pen Cap Chew 10. Help Me, I'm Hungry Kurt Cobain - Guitar, Vocal Krist Novoselic - Bass Aaron Burckhard - Drums