以前からJEMSが明言していたローリング・ストーンズ1975年LAフォーラムでのミラード録音の公開。これまでのプラットフォームではいかなる形でも公式でリリースされた実績のある演奏(音源ではなく演奏というところがミソ)はアップロード不可というルールがあり、現在のJEMSはそちらに移行してのミラード・マスターの発掘を継続。そのようなルールのおかげでこれまでストーンズ75年のLAフォーラムのミラード録音マスターに関しては名盤『L.A. FORUM 1975 3RD NIGHT』でリリースされた三日目にとどまっていました。しかし今回はプラットフォーム変更の恩恵を受けて初日である7月9日の模様を捉えた名録音のマスターがJEMSによって発掘されたのです。この日は公式ライブアルバム『LOVE YOU LIVE』にアンコールの「Sympathy For The Devil」が採用されたが為に従来のプラットフォームでは公開不可能な音源に該当していた訳で、これは世界中のマニア待望でしょう。そうして遺された一連のストーンズLAフォーラム公演はミラードの録音キャリアにおける最初のピークであった75年においてZEP、フロイドと並ぶ彼の名作として語り継がれてきました。ミラードはこの時点でZEPのLAフォーラム、フロイドのLAスポーツ・アリーナで目覚ましい成果を挙げていただけに、ストーンズの初日からして素晴らしい録音を残してくれています。75年LAフォーラムにおける彼のストーンズ録音としては最終日に次ぐ絶品オーディエンスであり、75年ストーンズの定番オーディエンスの一つとしても親しまれてきたもの。それ故CDで多くのアイテムがリリースされてきたのですが、2006年にリリースされたDAC盤『LOVE YOU LOVE IN LOS ANGELES』が決定版として君臨し続けていました。ところがDAC(以下“既発盤”)のリリースからも20年近い歳月が経過。当時は決定版と称された同作も今となってはかなり派手な音作りであったことが今回のミラード・マスターによって証明されることに。実際あまりに音質が違うので、実は別の録音なのではないか?と錯覚しそうになるほど。それほど今回はマスターならではのナチュラルさやふくよかさが際立っている。既発盤がリリースされた2006年当時にマスターは出回っておらず、大なり小なりジェネ落ちが免れなかったコピーにあの音処理を加えた結果が既発盤の仕上がりだったのです。それに対し今回は2000年当時にJEMSメンバーが極秘入手していたマスターをDATに落としたバージョンが元になっており、それが桁違いのナチュラルさを生み出す結果となったのです。とはいえ大雑把なアメリカ人らしく(苦笑)マスターからDATに収録する際にオープニング「Fanfare For The Common Man」が既発盤と比べて短く収録されてしまっているのですが、そこはストーンズの演奏と無関係な部分ということ、なおかつ音質の差も顕著となってしまう事から既発を流用するような補填は施しませんでした。むしろ今回の公開に際してはDATの経年によって「All Down The Line」に一か所デジノイズが混入してしまったことの方が問題だったのですが、そこは今回リリースに際して別の個所をパッチすることで解消。パッと聞いたかぎりではどこをパッチしたのか気付かれないと思います。さらにマスターならではの状態を確信させてくれるのがフィナーレ「Jumping Jack Flash」からアンコール「Sympathy For The Devil」の曲間。ここが既発盤では大幅にカットされていたのですが、今回は前者終了後のミックによる「グッナイ」という挨拶が聞けるようになった上、既発盤では一回だけ聞こえた爆竹の破裂する音が今回は五回も(笑)収録されているのです。しかしこの爆竹、かなりの音量で鳴り響きますのでヘッドフォンで聞かれる際は気を付けてください。また本録音の持病であった「You Can't Always Get What You Want」におけるカットは過去のアイテムと同様でして、改めてテープチェンジによるものであったことが証明されました。しかしこの日は音質が良いですね。おかげでストーンズの演奏や75年ならではパフォーマンスが生々しい程に捉えられている。特にミックはこのツアーならではの振り切れた歌いっぷりで駆け抜けており「If You Can't Rock Me / Get Off Of My Cloud」や「Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)」などは「これぞ1975年のストーンズ」の典型と呼べるハイテンションな演奏が炸裂。さすがは「Sympathy For The Devil」が公式に採用された日だけのことはありますが、本当に75LAフォーラムは毎日の演奏が非常に素晴らしく、それぞれの日で振り切れまくったパフォーマンスが際立っている。同じようにハイテンションな演奏でありながら、公式リリースされたライブ映像、あるいはマルチトラックの名盤『L.A. FORUM 1975 4TH NIGHT』の12日と比べてもまた違った振り切れっぷりがあまりにも75年らしい。75年LAフォーラムという伝説の幕開けたる初日のミラード録音のマスターが遂に全世界のマニア待望の発掘。今まで数多くリリースされてきた過去のアイテム群とはまるで別次元なナチュラル感を是非ご自身の耳でお確かめください。これが7月9日のミラード・マスターだ!The Forum, Inglewood, CA, USA 9th July 1975 TRULY PERFECT SOUND UPGRADE Disc:1 (71:53) 1. Introduction 2. Honky Tonk Women 3. All Down The Line 。4. If You Can't Rock Me / Get Off Of My Cloud 5. Star Star 6. Gimme Shelter 7. Ain't Too Proud To Beg 8. You Gotta Move 9. You Can't Always Get What You Want 10. Happy 11. Tumbling Dice 12. It's Only Rock 'N' Roll 13. Band Introductions 14. Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) Disc:2 (74:52) 1. MC 2. Fingerprint File 3. Angie 4. Wild Horses 5. That's Life 6. Outta Space 7. Brown Sugar 8. Midnight Rambler 9. Rip This Joint 10. Street Fighting Man 11. Jumping Jack Flash さらにマスターならではの状態を確信させてくれるのがフィナーレ「Jumping Jack Flash」からアンコール「Sympathy For The Devil」の曲間。ここが既発盤では大幅にカットされていたのですが、今回は前者終了後のミックによる「グッナイ」という挨拶が聞けるようになった上、既発盤では一回だけ聞こえた爆竹の破裂する音が今回は五回も(笑)収録されているのです。しかしこの爆竹、かなりの音量で鳴り響きますのでヘッドフォンで聞かれる際は気を付けてください。12. Sympathy For The Devil 公式ライブアルバム『LOVE YOU LIVEの日