本作に収められているのは「1974年5月31日ロングビーチ公演」。そのステレオ・サウンドボード録音です。前述のように、このサウンドボードはLPブートレッグ『FRIED ALIVE!』を起源とした既発群が知られており、本作はその最高峰を更新する1枚なのです。そのアップグレードは質と量の両方に及ぶ。何よりも重要なのが収録時間。伝説LPではカットされていたパートをCDの新発掘マスターで補完。「Baby, Let Me Go」も聴ける完全版に仕上げられているのです。「CDも完全版なんでしょ? じゃあ、いらないじゃん」と思われるかも知れませんが、話はそうカンタンでもない。本編の解説でも触れましたが、実はサウンドそのものも新発掘マスターとはだいぶ異なっているのです。これは謎でもある。そもそも『FRIED ALIVE!』もKNAC放送とされてきたのですが、今回のエアチェックとはバランスが異なる。別ミックスの別放送が存在したのか、あるいは『FRIED ALIVE!』は放送とは異なる経緯のサウンドボードなのか………それは今後の研究によって明らかになっていくのかも知れません。そして、その別サウンドが結構良かったりもする。本編プレスCDが伝説放送そのままのナチュラル感だとするなら、本作はダイレクト感が強化されたパワフル・サウンド。前述のようになぜサウンドが違うのかは判明しておらず、『FRIED ALIVE!』が音加工されていたのかも知れません。ともあれ、本作のパワフル・サウンドの方を気に入る方がいても不思議ではないのです。CDは新発掘マスターの真実、引いては放送の真実に迫れる文化遺産アルバムです。それに対し、本作は伝統録音を最長化したアップグレード盤。どちらも手法は違いながらも、伝説サウンドボードの最高峰を更新する新名盤なのです。どうぞCDの新発掘ナチュラル・サウンドと合わせ、たっぷりとお楽しみください。Long Beach Auditorium, Long Beach, CA. USA 31st May 1974 STEREO SBD UPGRADE! (40:51)1. Narration 2. Intro 3. Deuce 4. Nothin' To Lose 5. She 6. Firehouse 7. Strutter 8. 100,000 Years 9. Black Diamond 10. Baby, Let Me Go ★追加収録 11. Outro * Different Mix