2000年のオアシスは彼らのライブ史においてもっとも面白い時期の一つでしょう。ツアーの期間は半年に満たなかったにもかかわらず、その間に兄弟喧嘩からのノエル離脱、しかし過去の経験を踏まえグループとしては代理ギタリストを据えてツアー続行、そこから最後は元のさやに納まってツアー完遂。おかげでツアー開始当初の日本公演と終盤のイギリスではまるで別のライブの様相を呈していたのです。それ故オアシスのライブ史の中でもマニアからすると実に面白い一年であった。そんな波乱の一年を有終の美で終わらせることができた名演が8月に出演したリーズ・フェスティバル。このステージが2000年の彼らにとって最後のステージとなっただけでなく、正に歴史的名演と呼ぶに相応しい一日でもある。その模様は当時のラジオにて放送されたものの、残念ながらライブ序盤の三曲がカットされるという不完全版。それとは別にライブを完全収録したオーディエンス録音も存在しており、リアタイではそれぞれのアイテムがリリースされていました。数年前にはその二つを組み合わせた『THIS ISN'T THE FUNERAL』のようなタイトルもリリースされましたが、先月オアシスの再結成が発表されたタイミングに相応しく今回は改めて2000年リーズ・フェスティバルのSBD+AUDによる完全版マトリクス&リミックスタイトルをリリース!まず何と言ってもAUDを用いたライブ冒頭の三曲。この日のAUDも聞きやすい音質ではあるのですが、一方でメリハリを欠いた印象だったことは否めない。それ故SBDとの乖離も大きかった訳ですが、今回同時リリースとなる95年アールズ・コート同様、こちらでも最新AIテクノロジーを駆使して違和感を徹底的に解消。これはもう既発タイトルと「Go Let It Out」を聴き比べていただければ一目瞭然なのですが、あのメリハリのなさ、それでいて野外録音特有の刺々しさなどが払拭され「これがあのAUDか?」と疑いたくなるほど迫力と聞きやすさを兼ね備えた状態へと豹変!この成果はあまりに大きく、おかげで「Supersonic」以降のラジオで放送されたSBDパートへとすんなり聞き通せる仕上がりは初心者でも安心して楽しめることを保証します。それだけではありません。まず今回は最大限SBD音源とAUD録音音源をマトリクス!(既発タイトルのように単に欠損箇所をパッチしているのみではありません)。また既発タイトルではボーカルのサ行が刺さる音質でしたが、AIで分離したボーカルトラックにディエッサーを用いることで、より自然な音に改善するリミックスも実施。加えて既発ではAUD部分の拍手がそのまま残って気になるポイントでしたが、今回はほぼ自然に除去されています。この緻密なマトリクス&リミックスによって重厚感が増し、公式ライブ盤『FAMILIAR TO MILLIONS』に近い音質に仕上がったことで、既発タイトルの『THIS ISN'T THE FUNERAL』よりも格段に音質が向上しています。もちろん放送ではカットされた曲間に関してもAUDを緻密にアジャスト。名演のSBDという事でマニアには愛されてきたラジオ放送パートでしたが、この部分に関しても既発とは異次元のアッパー感にて楽しんでもらえることかと。最初に申しましたように2000年のツアーはとにかく変化が激しく、公式ライブ盤『FAMILIAR TO MILLIONS』のウェンブリー・スタジアムからも一か月が経過ということから、それとはまた雰囲気が全然違う。ウェンブリーでは公式の収録や二日目のリアム泥酔ステージのテレビ放送(こちらは『WEMBLEY STADIUM 2000 DAY 2』DVD-Rでどうぞ)といった波乱があり、その点リーズは最終日に相応しい堂々たるステージングが終始輝きを放っている。特にノエルの力強さはこの日の象徴と言ってよく、「Cigarettes & Alcohol」のエンディングでZEP「Whole Lotta Love」からフリートウッド・マック「Oh Well」のリフに展開するのはこの時期ならでは。さらにフィナーレの前にはヴェラ・リンのスタンダード「We’ll Meet Again」の歌詞を引用しながらオアシスのラストライブでない事を宣言する名MC。そこから始まった「Rock 'n' Roll Star」は一度演奏を止めて観客を煽った上でやり直すという熱演!そして何と言ってもライブ冒頭でノエルがかます「これは葬式なんかじゃないんだぜ!」というMCがこの日の演奏の充実ぶりを約束してくれていたように思えてなりません。おまけに先日の再結成の告知が8月27日だったのに対し、今回のリーズが24年前の8月28日だったというのが今となっては感慨深い。波乱の2000年ツアーを締めくくった歴史的名演を改めて完全収録してみせただけでなく、ステレオ・サウンドボードのパートをメインとしつつもオーディエンスが違和感なくまとめられた衝撃の決定版!Temple Newsam Park, Leeds, UK 28th August 2000 MATRIX & REMIX OF SOUNDBOARD & AUDIENCE RECORDING UPGRADE Disc:1 (48:11) 1. Fuckin' in the Bushes 2. Go Let It Out 3. Who Feels Love? 4. Supersonic 5. Shakermaker 6. Acquiesce 7. Step Out 8. Gas Panic! 9. Roll With It Disc:2 (50:06) 1. Stand by Me 2. Wonderwall 3. Cigarettes & Alcohol 4. Don't Look Back in Anger 5. Live Forever 6. Hey Hey, My My (Into the Black) 7. Champagne Supernova 8. Rock 'n' Roll Star [Aborted] 9. Rock 'n' Roll Star Liam Gallagher - vocals, tambourine Noel Gallagher - guitar, vocals Gem Archer - guitar Andy Bell - bass Alan White - drums Zeb Jameson - keyboards (support) MATRIX & REMIX OF SOUNDBOARD & AUDIENCE RECORDING