晩年のマイク・ミラードがキース・リチャーズとエクスペンシブ・ワイノーズのライブまで録音してくれていたことは『LOS ANGELES 1993: MIKE MILLARD MASTER DAT』のリリースによって証明されていましたが、やっぱり彼は行ってた88年のキースとワイノーズのライブ。この日の彼は友人に頼まれ、なおかつ友人の機材を借りての録音だったとのことですが、彼が向かったのは12月のハリウッド・パラディアム。そう、マニアでなくとも会場名だけでピーンと来るはず。彼が録音したのは公式や懐かしのミストラル盤でおなじみのハリウッド・パラディアムだったのでした。さらにパラディアムは72年にストーンズでもコンサートを敢行できただけのことはある大きめのシアターであり、今回のミラードによるオーディエンス録音は少し距離感のある録音状態。それにしても誰もが慣れ親しんだパラディアムをオーディエンス録音で聞かれる日が来たというのは驚き。おまけにミラード録音ときた。晴れて公式でもコンプリートでの配信が実現したハリウッド・パラディアムですが、今も昔も公式は曲間をこれでもかと摘まんでしまっている。もちろん今回はそういった小細工のない客席からの記録ですので、例えば「Time Is On My Side」の前で客席から「Happy Birthday」コールが起こる様子が聞かれるのは実に新鮮。ミストラル盤ですとこの場面はかすかに聞かれましたが、そこはオーディエンス録音だけあってはっきり聞き取れる。これこそオーディエンス録音ならでは。ミラードが好ポジを確保できなかったせいで冒頭からファンの奇声が登場しますが、それとて88年ツアーのリアタイ迷盤だった懐かしのキニー製『LA CONNECTION』のような耳をつんざくような大きさではないのでご安心ください(笑)。むしろサウンドボードで聞きなれたキースのパラディアムをオーディエンスで聞くという体験はあまりにも新鮮で、改めて当日は盛り上がっていたことを再確認。そして彼の録音はカセット替えのタイミングから「Connection」がほぼ未収録となっているのですが、この部分は公式から補填。流石に公式は音が良いわけですが、ミラード・マスターも、前述の通り、生難しい高音質ですので、音の切り替わりも含め、それほど違和感なく楽しめます。おなじみハリウッド・パラディアムをまさかのミラードが録音してくれていた文字通りのオーディエンス・ドキュメント。懐かしのエクスペンシブ・ワイノーズとの88年ツアー、しかもパラディアムのアザーサイドとしてマニアならきっと楽しんでもらえるはず!Hollywood Palladium, Los Angeles, CA, USA 15th December 1988 PERFECT SOUND Disc:1 (47:58) 1. Introduction 2. Take It So Hard 3. How I Wish 4. I Could Have Stood You Up 5. Before They Make Me Run 6. Too Rude 7. I Wanna Be Your Man 8. You Don't Move Me 9. Make No Mistake 10. Time Is On My Side Disc:2 (48:48) 1. Big Enough 2. Whip It Up 3. Locked Away 4. Little T&A 5. Struggle 6. Happy 7. Connection 8. Rockawhile 9. It Means A lot Keith Richards - guitar and lead vocals Waddy Wachtel - guitar and backing vocals Steve Jordan - drums, backing vocals, bass, keyboards Charley Drayton - bass guitar, backing vocals, drums Ivan Neville - keyboards, backing vocals, guitar, bass Sarah Dash - backing vocals, percussion Bobby Keys - saxophone