グラミー賞を総なめし、シーンの盟主として君臨していた『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』時代のU2。世紀のスペクタクルで全世界を圧倒した“ELEVATION Tour”の超極上IEMアルバムが新発掘です。そんな本作に永久保存されているのは「2001年7月12日ケルン公演」。そのイン・イヤー・モニター傍受音源です。“ELEVATION Tour”と言えば、2つのオフィシャル映像作『ELEVATION 2001: LIVE FROM BOSTON』『U2 GO HOME: LIVE FROM SLANE CASTLE, IRELAND』が象徴ですが、もちろん本作は別公演。まずは当時の活動概要を俯瞰し、それぞれの位置関係を確認してみましょう。2001年:“ELEVATION Tour”・3月24日ー6月22日:北米#1(50公演)←※公式ELEVATION 2001・7月6日ー8月8日:欧州(20公演)←★ココ★・8月11日ー9月1日:英国(12公演)←※公式U2 GO HOME・10月10日ー12月2日:北米#2(30公演)これが“ELEVATION Tour”の全体像。本作のケルン公演は、大陸ヨーロッパ篇である「欧州」レッグの5公演目にあたるコンサートでした。2つの公式映像の間を繋ぐような本作ですが、クオリティも超極上。当店では海外のU2研究家の研修を受けて数々のプレス名盤をお届けしてきましたが、本作はその最新作。イヤモニ特有のムキ出しな芯が鮮烈で、セパレート感も絶大。4人が紡ぐ1音1音が脳みそのシワに刻まれるような猛烈なシンクロ感が味わえます。また、意外なほど作品然としてもいる。IEM音源は観賞用ではなく、あくまで現場スタッフがショウを進行させるための作業用の音。そのため、入りタイミングを極度に強調した不自然ミックスだったり、スタッフの指示声が聞こえる事も少なくありません。実のところ、本作にもスタッフの指示声がなくもないのですが、IEMにしては異例なほどわずか。そして、それ以上なのが音切れしない艶やかさとミックス・バランス。オフィシャル級と呼ぶには生々しいものの、音楽的にキッチリと整っており、曲間の大歓声も自然に感じられる。というより、生放送のFMラジオかのような聴き応えのライヴアルバムでもあるのです。そんなリアル&美麗なIEMサウンドで描かれるのは、公式2作品とも似て非なる“ELEVATION Tour”のフルショウ。ここで『ELEVATION 2001』『U2 GO HOME』の両方と比較しながら整理してみましょう。オール・ザット・ユー・キャント・リーヴ・ビハインド(7曲)・Elevation/Beautiful Day/Kite/New York(*)/Stuck In A Moment You Can't Get Out Of/In A Little While(*)/Walk On 90年代(13曲)・ヨシュア・トゥリー:Where the Streets Have No Name/Bullet The Blue Sky/With or Without You・アクトン・ベイビー:Until The End Of The World/Mysterious Ways(★)/The Fly(*)/One(★)・その他:New Year's Day(★)/I Will Follow(*)/Sunday Bloody Sunday/Desire/Stay (Faraway, So Close!)(*)/Bad(*)※注:「★」印は公式作『ELEVATION 2001: LIVE FROM BOSTON』で、「*」印は『U2 GO HOME: LIVE FROM SLANE CASTLE, IRELAND』で聴けなかった曲。……と、このようになっています。『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』を軸とした構成は変わらないものの、配分バランスやセレクトは変化。日程と同じように、公式2作の中間となるセットでした。そんな中で、特にハッとなるのが「In A Little While」。実は、このショウの前日にオランダのミュージシャン/画家であるハーマン・ブルードがホテルの屋根から飛び降りて自殺。この曲は、そのニュースも生々しい中で捧げられているのです。また、U2のライヴと言えば、自在に挿入される様々な名曲の断片(スニペット)演奏も美味しい。上記はメイン曲のみですが、この日はスニペットも多彩で、特に「Desire」の合間に差し込まれる「Hawkmoon 269」「Running to Stand Still」は貴重。前者「Hawkmoon 269」じゃ1989年12月以来、後者「Running to Stand Still」は1993年12月以来となるサプライズでもありました。公式『ELEVATION 2001』『U2 GO HOME』の間を繋ぐ大陸ヨーロッパ篇とも言える極上IEMアルバムです。コアな研究家だからこそ知り得た秘宝マスターを永久保存した2CD。「2001年7月12日ケルン公演」のIEM傍受音源。海外のU2研究家が研修した極上マスターで、IEM特有のムキ出しな芯も鮮烈ならセパレート感も絶大。4人が紡ぐ1音1音が脳みそのシワに刻まれるような猛烈なシンクロ感が味わえます。全編で音切れしない艶やかさ、整ったミックス、自然な歓声……IEMに起こりがちな欠点も見当たらず、公式『ELEVATION 2001』『U2 GO HOME』の間を繋ぐ大陸ヨーロッパ篇とも言えるフル・ライヴアルバムです。Koelnarena, Cologne, Germany 12th July 2001 IEM(from Original Masters) Disc:1 (63:20) 1. Intro. 2. Elevation 3. Beautiful Day 4. Until the End of the World 5. New Year's Day 6. Kite 7. New York 8. I Will Follow 9. Sunday Bloody Sunday / Get Up Stand Up 10. In My Life / Stuck in a Moment You Can't Get Out Of 11. In a Little While 12. Band Introductions 13. Desire (with "Hawkmoon 269" and "Running to Stand Still" snippet) Disc:2 (63:46) 1. Stay 2. Bad (with "40" and "Wild Horses" snippets) 3. Where the Streets Have No Name 4. Mysterious Ways (with "Sexual Healing" (Marvin Gaye) snippet) 5. The Fly 6. Bullet the Blue Sky 7. With or Without You 8. One 9. Walk On