ウイングスの「ワン・ハンド・クラッピング」はこれまでも既発盤は多数あれど、本作はほとんどが初登場音源で占められており、驚きをもってファンに迎えられるであろう。これまで誰も聴いた事がないセッション流出音源を時系列で実にCD3枚に渡り収録したシリーズの最新作である。ディスク1には1974年8月26日のセッションが収録されている。オープニング・ジングル「One Hand Clapping」にも複数のテイク/バージョンがあり、さらに前後のチャットまで収録されている。「Jet」と「Junior's Farm」などは歌も演奏も非常にラフなRaw Takeを収録。この時代の疾走感あふるる演奏は本当に素晴らしい。それをエフェクトがかかっていないポールの歌唱で聴ける。「Let Me Roll It」はギター音を確認した後に高らかなカウントで始まるRaw Take他、これまたボーカルにエフェクトがかけられていないバージョンを収録。このようなRaw Takeの数々は、まさに目の前で歌っているかのような生々しいボーカルで本作の目玉のひとつであろう。「Little Woman Love」のリハーサル音源ではポールとリンダの会話などと共にスタジオの雰囲気が感じられる。ディスク2は1974年8月27日のセッションが収録されている。「Band On The Run」のRaw Takeもまた演奏前のスタジオの様子から収録されており、ベース音が極端に大きいのもウイングスの特徴であろう。本作に収録のいずれの曲も、未加工のボーカルがダイレクトにポールの歌唱の魅力を再確認させてくれる。「Go Now」は後のツアーと異なりエレピでイントロが奏でられているのはスタジオならでは。「Bluebird」では演奏前にポールが指示を出している様子、それにリンダがおどけて答えている様子から収録されている。そして有名な未発表曲[Soily」は採用されなかったアウトテイク。「Live And Let Die」のRaw Takeも、他の曲と同じようにエフェクトなしのボーカルにドタバタしたドラムである。ディスク3の前半は1974年8月28日のセッションが収録されている。この日はバンドではなくポールがピアノで弾き語りを行なっている。ディスク3の後半に収録の通称「BACKYARD TAPE」も初登場音源を含む過去最長の収録となっている。どうだろう。1974年8月末に行われたセッションを時系列、曲ごとに収録。さらに10月に入ってからの再レコーディング及びオーバーダブのセッションまで、One Hand Clapping のセッション音源もここに極まれりという感じである。これまでのRECORDING VAULTシリーズ同様、ほとんどが初登場音源、これまで聴けたテイクも曲前後のチャットを含め長く収録している。これぞまさしく、ウイングス・ファンが求めていたタイトルであろう。 初登場音源を多数含むONE HANDのセット 曲前後のチャットも収録 DISC ONE August 26, 1974 ONE HAND CLAPPING 01. Raw Take partial 02. Rough Mix w/overdubs 03. Guitar track & overdub 04. Piano 05. Original Film Mix 06. Film Mix 2024 JET 07. Raw Take JUNIOR'S FARM 08. Raw Take LET ME ROLL IT 09. Raw Take 10. Mix 2010 11. Lead Vocal no delay MY LOVE 12. Raw Take MAYBE I'M AMAZED 13. Raw Take 14. Synth Overdub w/Guitar track 15. Rough Mix 16. Mix 2010 17. Original Film Mix 18. Film Mix 2024 LITTLE WOMAN LOVE/ C MOON 19. Rehearsal 20. Take 1 21. Take 2 Outro / Shine A Light Extras 22. Does your chewing gum lose its flavor - Denny Piano Jam 23. Session chats DISC TWO August 27, 1974 BAND ON THE RUN 01. Raw Take #1 Original Film 02. Raw Take #1 2024 Film Mix 03. Raw Take #2 04. Guitars & Lead Vocal BLUE MOON OF KENTUCKY 05. Raw Take GO NOW 06. Raw Take #1 07. Raw Take #2 BLUEBIRD 08. Raw Take 09. Session chat 10. Lead guitar SOILY 11. Outtake 1 12. Outtake 1 Control Room 13. Outtake 2 partial 14. Outtake 2 Control Room 15. Rough Mix Edit Outtakes 1 & 2 WILD LIFE / HI HI HI 16. Raw Medley Take 17. Rough Mix LIVE AND LET DIE 18. Raw Take EXTRAS 19. Drum Jam / Billy Don't Be A Hero 20. Drum Practice #1 21. Drum Practice #2